カテゴリ:読書
……またまた時間があいてしまった、読書記録。汗 最近は芥川賞よりもずっとブンガク的でおもしろいのが、イギリス連邦およびアイルランドの英語で書かれた小説に与えられるブッカー賞であると思う今日この頃。笑 日本では、八十年代の終わりに、長崎生まれの英国籍作家カズオ・イシグロ氏の『日の名残り』が受賞したこと、また2005年にも同氏の『わたしを離さないで』が最終候補に残ったことで話題になった。 というわけで、ずっと気になっていたカズオ・イシグロ。 とりあえず最新作『わたしを離さないで』に手を出した。 わたしを離さないで ひょえー。 おもしろかった!! ←批評の語彙、なし。爆 「提供者」と呼ばれる人々の世話をする介護人、キャシー・Hが、子ども時代を過ごした施設での出来事を独白する、というスタイルだが、いろいろとネタばれになってしまう危険があるため、あらすじはここに書きにくい。 閉鎖的な施設での生活、限られた人間関係の中での葛藤、「人間」的成長、という点で、なんとなく『アンネの日記』などを思い出させる細部なのであるが、かなりかっとんだ設定に魂をつかまれる。 いや、逆なのかな。 かなりかっとんだ設定で、私などが素直に読めない物語のはずが、細部のリアルさのせいで心底怖ろしい世界の現出になってしまっている、というべきかも。 ……とにかく、夢中で読み続けました。 いや~。 次。 で、もちろん2005年の受賞作も読んでみた。笑 海に帰る日 ジョン・バンヴィル『海に帰る日』。 闘病の末に亡くした妻との思い出と、少年の日に強烈な印象を残して去ったある一家の思い出とのはざまに生きる、老年の美術史家の回想。 たいしたストーリーではない、と言い切ってもいいのだが、個々の場面がいちいち美しい。 (文章もそこそこ好みだが、訳文の限界はあるので。原文で読めたらさぞ美しかろう。) 砂を蹴立てて物語の中に飛び降りてくるような、少女との出会い。 ひとりしか声を立てない追いかけっこ。 毎夏ホテルで開かれたダンス・パーティの音(だけ)。 牛乳屋の小道。 井戸端で髪を洗う2人の女(フェルメールの「牛乳を注ぐ女」そっくりのポーズ、などと記される)、 などなど、 映画監督が喜びそうな要素が、文字だけでものすごく再現され得ることに、改めて感嘆。 いつのまにやらすっかり秋だし、そろそろ長編を読みたいかな、という方におすすめの2冊なのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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