カテゴリ:読書
……雨が続くので、だらだらと家で読んでいた本。秋の読書第1弾を。
まずは読売新聞書評欄で見つけて即買いした、久々の角田さんの新作。 (って、画像はすでに中古扱いなのね……本の寿命の短いこと。泣) 角田光代『ひそやかな花園』 【中古】単行本(小説・エッセイ) ひそやかな花園【10P24sep10】 夏のキャンプに集まっていた仲間たち。ある年突然キャンプは中止され、互いの連絡先もわからなくなった。 あれは、なんの集団だったのか…… 三十代の男女7人が、小さいときに行われていたキャンプの記憶を手がかりに、自らの出生の「秘密」と向き合う物語。 桐野夏生『柔らかな頬』的な大人のどろどろの話かと思ったのだが、カズオ・イシグロ『私を離さないで』的な奇妙な共同体の壮大な実験……の要素が絡み合い、ぐいぐい読ませる内容だった。 ネタぱれになるので書きにくいが、それぞれの抱える問題は、結局それぞれの「出生の秘密」ゆえではあるまいと私には思われた。 「生まれていなければ、その悩みを悩む自分の存在はない」という結論的なもの? にも、私も賛成だな。 まったくやっかいなのは人間の意識ってやつで…… まことに人間のこころってやつは、技術の進歩には追いつけないことよとしみじみ思いました。苦笑 次。 いつも文句ばかり垂れながら、たまに手に取ってしまう伊坂さん。 伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』 バイバイ、ブラックバード これは、太宰治の未完の遺作、『グッド・バイ』に構想を借りた現代の物語ということで、読んでみたが……うーん。意外につまらん話。笑 確かに、構想としては現代が舞台の方がしっくりくるよね。 伊坂作品の会話や男女のギャグやらがどうにも面白くない(笑)ので、男の魅力に説得力がないのではあるが、ともかくも「話型」をきっちり使って5話=5人との別れを書き切り、その間一緒に歩いている「繭美」なる女性との距離がだんだん縮まっていくあたりのさじ加減はなかなかにお上手。 頭のよい人の手遊び、という感じの作品ではありました。 そういや恋愛小説書かないのかなあ……この人。 で、こちらは課題図書。笑 原武史『滝山コミューン』 内容はもんたま氏批評に譲ってもよいのだが、教育論と「自身の思い出」とが混在する「異色のノンフィクション」ですね。 どうも、取材対象と筆者との距離感をはかりかねて最後まで読みにくかったが……力作であることは認めました。 小学校生活って……教師の権力介入を排除することはまず難しい。 「ぼろ班」「追求」ほど露骨ではないにせよ、その集団の論理で動かなければある程度の制裁(精神的な負担とか)は課されるし……集団の中心で居続ける「核」もまた同じ負担がある、というのは発見ではあったけれど、それも確かにその通りだろうと思う。 私は著者ほど賢いわけではなかったけど、やっぱりへそ曲がりで「集団嫌い」だったので、これほど特殊でない環境でも、それなりの違和感は持ち続けていたのよね。 みんなが涙する中、卒業式に「ほっとした」なんて感覚もフツウにあったしね。笑 なので著者だけが特殊な体験をした、とまでは思わない。 当時の電車の沿線やら街の発展の様子などが混じってくる意味も正直よくわからなかったが、小学生なりに「コミューン」を抜け出たくてもがいていた暗喩、だったのか、とは、桐野さんの解説を読んでやっとわかったという間抜けな私。笑 (そして脱出した先が「皇室崇拝」のブルジョア体質の学校だった、というオチには笑った。) しかしそれでも、教育ってなんなんだろうね。と改めて考えさせられました。 教師もみんな手探りで……そのときの政治思考やら地域性にも左右されて。 (親は不在に感じましたが……まあ成績以外は見てないんだろうしね。) その後激しいイジメや登校拒否などの時期を経て、「評価しない」「個性重視」「指導しない」というところに行き着いている。 そして親の側は賢くなりすぎて学校への信頼が薄れて……教師とはなんとやりにくい職業だろうかといま思います。 うちの娘たちは小学校をどんなところと捉えているだろう……。 もう既に闘っているのかな。 子どもに戻りたくない、と思うのはこんなときです。ごめんなさい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 27, 2010 12:14:19 PM
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