カテゴリ:読書
……久々の読書記録です。
冬は仕事上の読み物が多くて、読書記録も緩慢な私。 頭を休めるのにちょうど良い話題の本が……と、つい年末のヨーカドーで購入してしまいました。 斎藤知裕『KAGEROU』 【中古】単行本(小説・エッセイ) KAGEROU【画】 年末時点で5刷でしたが、これは業界人ならひとめでわかる急拵え本…… なんと、本文に使ってる用紙が(たぶん足りなくなって)揃ってないのだ~。驚 書籍としてはやたらに真っ白な紙が混ざっていて、横から見ると縞に見えるほど。おい 初刷はもっとわかりやすい事故本だったらしいが……そんな話聞くといたたまれないよ。 ……よほど爆発的に売れたのねん。というあたりで。 中身については、いつものもんたまさんレビューに譲っても一向に構わない。 つまりまあ…… これはないか。 ってとこ。笑 でもまあ、私としてはもともと期待薄だったせいか、そこまでの幻滅はなかった。 あれ? 毒舌期待したよね? 笑 会話文の自然さに比べると、心理説明やら描写やら比喩やらのかたさが目立つのは否めない。 比喩が悪目立ちしちゃうのはもんたまさんも書いていたが、そこはまだ一作目だし、かえって本人の原稿がきちんと尊重された証のようにも思えて好感すらもてる。 ……優しいでしょ私? 笑 おそらく、自分なりにキャラ設定も見えているのだろうし、「ドラマの台本」みたいな感じに読んでみるとこんなもんか、と思わないわけではない。 ラストにはそれなりの工夫(意外性)もあったし、伏線のつもりかい? という伏線もあったし。 ←あ、充分けなしてる? ただ、人物については、描写と思想があってないのよね……。 たとえば、主人公を言葉で「冴えない」と書いたとして、作者は全然そいつを冴えないやつと思ってない。 だから、主人公の発想がいちいち勝ち組的というのか、「冴えた」人生を歩んだやつしか持ち得ないような動きだったり考えだったりするところが散見されて、妙に納得がいかない。 (ドラマで冴えないキャラにカッコイイ役者さんが割り振られるのに似た違和感がある。笑) 一例を挙げるならば、不審人物として現れたキョウヤくんを認めるきっかけが「自分と同じ考えを口にした」からだったりとか。 まだまだ自己中心? 世界狭いなー、とは思ってしまった。 ま、まだ若いんだし。 次回作をいつ出せるかで、職業作家たりうるかは決まると思う。 少なくとも3作目まではつきあいますよん。笑 ……自己中心といえば、完全に世界を確立した感のあるこの方の作品も読んだ。 吉本ばなな『どんぐり姉妹』 【送料無料】どんぐり姉妹 この人のぶっきらぼうな文体というか描写というか、まったく好きじゃない作風なんだけど、それですら(カゲロウのあとではことに)懐かしく感じるくらい(笑)。 読み慣れてきたのかなあ。 この人の作品の中には、ほんの一瞬だけ、ものすごく真に迫った瞬間があって、「平屋の西武」みたいなごく些細なものと一緒に、がっとリアルにやってきて、泣かされることがたまに、ある。 その瞬間に会いたくて、ほかのところを無理して(笑)読むわけだが…… 『王国』いけるかなあ。無理かもなあ。タメイキ。 次は、年始にkokoさんにいただいた春樹訳チャンドラーに挑戦します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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