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カテゴリ:└ 将棋
【瀬川晶司棋士略歴】
昭和45年、横浜市生まれ。 小5で将棋に夢中になり、小6でプロを志す。 中3のとき、中学生選抜選手権大会で優勝。 同年、奨励会(プロ棋士養成機関)に入会。 22歳で三段になるが、「年齢制限」(26歳までに四段になれなかった場合は強制的に退会となり、二度とプロになるチャンスは与えられない)により、26歳で奨励会退会。 一度は将棋と縁を切ったが、無心に将棋を指す楽しさを思い出し、大学在学中にアマチュア強豪として大活躍。 その後、サラリーマンとなるが、プロの公式戦への出場資格を得て20局以上を戦い、7割以上という驚異的な勝率をあげる。 平成17年、日本将棋連盟にプロ入りを希望する嘆願書を提出。 周囲の協力もあり、戦後初めてのプロ編入試験将棋を実現させる。 平成17年11月、試験将棋に合格してプロ棋士となる(フリークラス、四段)。 (平成18年にプロ編入制度が正式に決まり、平成26年に今泉健司棋士が制度化後初の合格者となる) 平成21年5月、フリークラスからC級2組へ。 平成24年8月、四段から五段へ。 本書は、瀬川棋士の自叙伝です。 「純粋に、好きなことに一生懸命になる」「あきらめない」ことの眩しさを思い出させてくれる一冊。 今、藤井聡太四段フィーバーで注目されているプロ棋士の世界ですが、プロ棋士になることが、どれほど大変なことか(まず奨励会に入ることの難しさ、そしてプロになれるのは奨励会の三段リーグを勝ち抜いた2人のみ、リーグは半年単位)も、わかります。 そして、本書は「『出会いの奇跡』の物語」でもあると感じます。 しょったん(瀬川棋士)が小学5年のときの担任、苅間澤先生。 『ドラえもん』が大好きで、「意識しないところで自分を『のび太』に重ねあわせていたのかもしれない」という当時のしょったん。 「入学してから四年生までずっと、成績は冴えなくて何に対しても自信が持てなくて、いるのかいないのかわからない存在、それが僕だった」(p.51) 苅間澤先生と過ごした1年間は、クラスの子どもたちすべてに、たくさんのものを与えてくれたといいます。 例えば、将棋に熱中し始めたしょったんが言われた言葉。 「どんなことでもいいから、それに熱中して、上手になったことがある人は、いつか必ずそのことが役に立つ日が来ます。そういう人はまちがいなく、幸せをつかむことができます」 「だからね、セガショー。君はそのままでいいの。いまのままで十分、だいじょうぶよ」 プロ編入試験将棋の第一局に敗れ、重圧に押し潰されそうになっていたときに届いた、ドラえもんの葉書。 「だいじょうぶ。きっとよい道が拓かれます」との文字。 差出人の名は、ひらがなで、かりまさわひろこ。 なんて素敵な先生…。 25年ぶりに先生からもらう「だいじょうぶ」。 苅間澤先生の他にも、たくさんの人々との「出会いの奇跡」が書かれています。 将棋を始めたときからのライバル、健弥君。 将棋センターの席主、今野さん。 家族。 奨励会、プロ棋士の方々。 プロ編入を応援してくれた人々。 読みながら、たくさんの人に応援される「しょったん」を感じ、 そして不思議なことに、読んでいる自分も応援されている気持ちになります。 「出会い」を力に変える「しょったん」の真っ直ぐさと、本当に好きなことに一生懸命になる生き方から、たくさん力をもらえる一冊です。 自分の好きなことは何だろう。 夢をかなえることを、あきらめない。 子どもだけでなく、大人でも何歳でも、そこに立ち返ることができるんですよね! 自分も、がんばろう〜と思えます。 瀬川棋士のお人柄が溢れる本書。 (大ファンです!) とてつもなく厳しい戦いの世界の話なのに、読後感は、とても温かです。 瀬川棋士のサイン入り本。 息子の宝物。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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