鐘の音
明日一日でこの一年も終わる。わたしには素晴らしい一年だった。そう思える。人は出会い、別れて行く。多くの出会いがあって、多くの別れがある。去っていった人たち。去って行ったわたし。居心地の良い空間を求めて私は彷徨うのだと思う。安定を求めることを何故か選ばずに今日まで来たけれど。安定と言う言葉が嫌いだった。それを手に入れたほうが幸せだと多くの人に言われた。安定することが目的で生きていくと思うと人生が終わりのように思えた。不安定でもいいから、先が見えなくてもいいから、自分で道を開いて行きたいと思っていた。随分躓きもあったし、怪我もしたと思う。でも自分で選んだ道だから間違いはあっても後悔はしない。間違って人は覚えるから。道は開けると思う。あまり自分に無理しなくても。自分が行きたい方へただ向かえば良いのだと思える。31日の夜中は除夜の鐘を聴きに行きたいと思う。あのお寺の鐘の音は荘厳な感じがして好きだ。子供の頃夕方五時に鐘が鳴ると家路を急いだ記憶がある。私の子供時代の記憶から鐘の音を消すことは出来ない。今でも私の中で鐘の音は鳴り続けている。