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2024年02月16日
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カテゴリ:読書
最近は「押し活」なんて言葉があるようだが、好きな作家を応援するのも押し活に入るんだろうか。
それはともあれ、まったくタイプの違う二人の道産子作家、私は好きです。
共に北海道に生まれ育ち、ただ同郷であるという共通点への親近感なのかわからないけど、
これからもどのような作品を書いてくれるのかと楽しみにしています。

物語で結ばれた熊のリアル 直木賞を受賞して 河﨑秋子 北海道新聞

 数年前の夏の午後のことだ。私は別海町の実家周辺を歩いていた。道東にしては珍しく暑く、風のない日だったと記憶している。進行方向の、橋を挟んで二百メートルほど先の道路を、黒い生き物が四本足で横断していた。
 大きく、そして全体のフォルムがシュッとしていた。胴も足も長い。
 私は最初、犬かな、と思った。昔よりは少なくなったとはいえ、道東の農村部では時折野犬が出ることもあるし、(腹立たしいことだが)誰かが飼いきれなくなった犬を密(ひそ)かに置き去りにしていくこともある。
 そういえば、あの黒い動物は以前飼っていたピレネー犬ぐらいの大きさだ。そうだ、あの子が真っ黒な毛並みだったらあんな感じかもしれない。あまりの大きさに遊びに来た友人から「熊ー!」と逃げられていたことだし…と考えて、ようやく気付いた。
 あれ犬じゃない。熊だ。夏で食物が足らず、痩せている熊だ。
 理解した途端、比喩ではなく全身から嫌な汗が出た。実際に野生の熊を見たのは初めてだった。
 この地域に熊がいることは頭では分かっているはずだった。三毛別(さんけべつ)事件や福岡大学ワンダーフォーゲル部事件をはじめとした、開拓期などの熊被害について文献を調べてもいた。それらによって自分の中に作り上げていた熊のイメージは恐ろしく、獰猛(どうもう)なものだ。知識と想像から引用された恐怖に、私の筋肉は強張(こわば)った。
 しかし、当の熊はというと、私の焦りどころか存在にも気付かず、悠々と道路を渡り終えて道路脇の藪(やぶ)に消えていった。大きな川が流れている地域なので、川沿いに移動していたのだろう。
 熊は私の恐れなどにかかわらず、彼らの生き方を貫いていた。個体差の大きな生き物だから、好んで人間や家畜を襲う熊もいるが、多くは人間がいることなどさほど気に掛けずに彼らの営みを続けている。それは何百年前から大きく変わることはない。当たり前のことだが、人間が作ったアスファルトの道を悠然と横切る熊の姿を見ながら、私は彼らの『普通の生活』を垣間見ていた。
 その後、私は熊に遭遇していない。牧草ロールのテープを破られたり、家族がトラクターに乗っている時に目撃したというので、家の周りに熊が生息していることに変わりはないのだろう。大きな被害がないまま、距離を保てるのは良いことだ。
 今回、明治を舞台に、猟師が出てくる物語を書いて直木賞をいただくことになった。主人公の猟師は熊と戦い、その命を奪う。その理由は稼ぎのためであったり己の存在意義のためであったりするが、それを書いた私自身は熊と戦った経験がない。作中の描写の要素になったのは、実際の猟師さんたちが書かれた手記や私の山歩きの僅(わず)かな経験によるものだ。あくまでフィクションである。
 そして、それでいいと思っている。
 現実と空想を混ぜて物語と為す。それこそ最も人の心に届きやすい道だと私は思い定めて小説を書いてきた。実際の熊は作中よりも穏やかだったり怖かったりするだろう。しかし架空の物語を読まれた方の頭の中には、その人なりの熊の恐ろしさが刻まれる。あるいは、それは尊さでさえあるかもしれない。
 それでいいのだ。少なくとも、書いた側の私は、そうあって欲しいと思っている。
 大きな賞を機に、拙著は多くの人に読んで頂けているそうだ。物語を通してそれぞれに結ばれた熊の姿と恐ろしさ。実体を持たないからこそその人のリアルな熊の像を、機会があれば聞いて回りたいとさえ思っている。
 <略歴>かわさき・あきこ 1979年、根室管内別海町生まれ。北海学園大経済学部卒。2012年「東陬遺事(とうすういじ)」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)。14年「颶風(ぐふう)の王」で三浦綾子文学賞を受賞し単行本デビューした。19年「肉弾」で大藪春彦賞、20年「土に贖(あがな)う」で新田次郎文学賞。21年「絞め殺しの樹」が直木賞候補、2回目の候補作「ともぐい」で第170回直木賞を受賞。


<桜木紫乃 居酒屋さくらぎ>いち原作者の矜持 北海道新聞
 ありがたいことにときどき、映像化のお話をいただく。浮かんでは消え、消えては浮かぶ泡に似て、実現にこぎ着けるのはわずか。そのわずかの実現も、さまざまな事情で完成までに時間を要する。
 ひとかどの大人が集まって、自分の専門分野で責任を持って仕事をするわけだから、譲れないところ飲み込むところはさまざま。
 おおよそ生活者の想像できる金額を遙(はる)かに超えた制作費用を聞いて、尻込みしてしまい黙り込んだこともある。
 十年以上も前のこと、映像化にあたりラストシーンを大幅に変更したいとの申し入れがあった。
 原作は、過去の過ちをひっそりと償い続ける老いた弁護士が、出会う人との関わりによって心解け、心のみ一歩踏み出すという内容だった。
 小説のラストは、別れた息子の結婚式の招待を断るのだが、映像化するにあたってはそこを大きく変えて、結婚式に向かうことにしたい、という。理由は「映画館を出たお客さんが、少し視線を上に向けられるように」。
 映画は映画人が作るもの、小説家は小説を書くのが仕事と割り切っているので「どうぞ新しい物語として自由に羽ばたかせてください」と応えた。本気で「小説はただのきっかけでいい」と思っていたし、いまもその思いは変わらない。
 しかし主演の俳優さんとご飯を食べた際に言われた言葉が、なぜか今も胸でくすぶり続ける。彼曰(いわ)く「もっと自分の書いたものを大切に、最後まで責任を持ったほうがいい」。
 責任を取れないことには口を出さないと決めているし、映画は映画とも思っているのも確か。当時のわたしには、口を出さぬことが原作者として出来る最大の応援だった。
 いい大人が何十人何百人と関わってくる世界だ。その名を賭けて好きに作ってもらったことに悔いはない。現場はとても和やかな印象だった。
 興行成績はふるわなかったが、今もときどきテレビで二次使用され人の目に触れていることを思えばありがたい限りだ。
 あれからずいぶん時間が経(た)った。自分なりに全力で小説を書き続けてきた。時が経つほどに、当時俳優氏が言ったひとことの重みが増してくる。
 映像が全国津々浦々を相手にどんな作られ方をしようとも、北海道に生まれ育った私が書いた小説のラストは変わらない。はっきり言って、どんなに情にほだされようとも、息子の結婚式に向かうことはないのだ。なぜなら、捨てた過去を惜しんだりしないのが、北海道人の無意識下にある「矜持(きょうじ)」と、物語を書いた私がそこばかりは譲れないからだ。
 胸を張って明日の自分とつき合うために、そう易々(やすやす)と「内地の価値観」に取り込まれたりはしないのである。
 血縁を担保にせず、情を垂れ流しもせずにやってきた人間の責任の取り方もある。
 答えを出し終わった物語が別の表現方法でどう変更されても、そうそう心が揺らぐことはない。映像は映像で楽しんでもらえればいいのだから。
 しかし、だ。もしもラストを書く前に逆の結末を提示されたらどうだったか。私という人間、あるいは生き方を解(わか)ってもらうために、自分はどう構え、どう差し違えようとしたろうか。思いは尽きず。





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最終更新日  2024年02月16日 16時17分04秒
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