「被差別部落のわが半生」 山下 力/ 著
「被差別部落のわが半生」山下力/著、平凡新書は、図書館から借りてきた。〈以下、Amazonレビューより〉出版社/著者からの内容紹介現代の被差別部落問題とは何か。かつて「糾弾屋」と呼ばれた著者が、社会の変化、特措法による部落の変化の中で、女性・弱者を含めた新たな運動に取り組み、次の世代に語りかける。 カバーの折り返し被差別部落出身者であることに悩み、隠し、 28歳にして「これこそオレが言いたかったことだ」と、 初めて部落解放運動に目覚める。 その後の解放運動の中で「糾弾屋」と呼ばれた著者が、 山あり谷ありの自らの半生を振返り、 どのように試行錯誤してきたか、 どのように部落解放運動と取り組んできたかを、 次の世代の若い仲間に生き生きと伝える。書かれている内容は、当然ながら軽いものではない。しかし、読み物としてとてもわかりやすいし、とても面白かった。一人の人間が、悩みながら迷いながらも、その時その時真剣に考えて良しと思ったことを精一杯行動している。生得的に差別したくなる体質を持っているようにも思える人間は、「差別」を克服できるのだろうか。山下氏は「差別の能力」は「言語の能力」と「倫理の能力」と並ぶ、人間の生来的な能力だという。「差別は能力」という捉え方が、私にはとても新鮮だった。そして、「人には倫理の能力もある」という言葉に、挫折や被差別の辛さを体験しながらも、多くの仲間たちや素晴らしい人達との出会いの中で、人間(社会)に対して決して絶望したり諦めることはないということを体得してきた、彼の底力を感じる。人間は差別したくて仕方のない生き物だけど、「倫理の能力」がブレーキになる。だから、この「倫理能力」が壊れたり低下しないように、いつもメンテナンスや能力を高める努力をしなくてはいけないと言う。また、自ら「糾弾屋」だったと言う彼は、これまでの活動のあり方にも、冷静な反省をしている。これはなかなかできることではないし、それだけでも彼は素晴らしいリーダーなのだろうと思う。先日、新聞で「被差別部落の青春」角岡 伸彦 (著)という本の紹介記事も見た。近いうちに読んでみたいと思う。