テーマ:ショートショート。(573)
カテゴリ:物語
混沌という名のとある世界に 金色の光を放つ 一羽の鳥がいました。 その光は余りに強すぎて 何ものにも染まることなく、また 何ものに対しても、己が存在を誇示するだけの力を持っていました。 ある時 朱色をした一羽の鳥が、金色の鳥の前に降り立ちました。 静かに羽を閉じ、その身を縮め 朱の鳥は、恐る恐る金色の鳥へとその歩を進めました。 金色の鳥は凛とした表情のまま 朱の鳥を迎え入れます。 「私のような者の所へ、なぜそなたのような者が訪れるのか?」 朱の鳥は、目を伏せて答えました。 「私は私の色を知りません。あなた様なら私の本当の色が見えると思い、ぶしつけながら確認していただきたく、こうしてやって参りました。」 はて、という表情をした後、金色の鳥は朱の鳥に問いました。 「そなたの身を包む色は、それはそれは美しい朱の色をしている。そなたは己の身体を彩るその朱が見えぬのか?」 朱の鳥は、目を伏せたまま答えました。 「私には私の色は見えません。なぜなら、私は私であって私ではないからです。この色も、それを確かめるための目も、私のものではないのです・・・」 「これは異な事を・・・するとそなたは、その美しい朱の色を手に入れている現実すら、理解できぬということか?」 「私のそばにいる者は皆、私のことを朱と褒め称えます。ですが私には、いくら姿見の前に立とうとも、皆が言うほどの炎を自分の身に確認することはできません。」 ふう、とため息をつき、金色の鳥は尋ねました。 「では、そなたは何色を宿したいのか?」 朱の鳥は答えました。 「私は私色に染まりたいと思います。」 「なるほど・・・そなたのための、そなただけの色ということか・・・」 そう言うと、金色の鳥はしばし考えました。 金色の鳥は、おもむろに空に首を向け、朱の鳥に語りかけました。 「では、そなたに問う。あすこに青色をした龍がいる。あれはそなたの色か?」 朱の鳥は首を振りながら答えました。 「いえ・・・あれは私の色ではありません・・・」 「ほう、それはどうしてなのか?」 「私はあの青い龍のように清流のごとく、あるがまま全てを受け入れることが出来そうにないからです・・・」 次に金色の鳥は、近くにある大木の根元に首を向け、朱の鳥に問いました。 「ふむ・・・では、あすこに大地と同じ色をした亀がいるが、あの色はどうか?」 やはり、朱の鳥は首を振りながら答えました。 「いえ・・・あれも私の色ではありません・・・」 「ほう、それはどうしてなのか?」 「私はあの大地の精を吸収した亀のように、全ての存在を慈しむことが出来ませんから・・・」 金色の鳥はまたも納得した様子で、今度は少し離れた崖に首を向け、朱の鳥に尋ねました。 「ふむ・・・では、あすこに純白の虎がいるが、あれはどうか?」 やはり、朱の鳥は首を振りながら力なく答えました。 「いえ・・・あれさえも私の色ではありません・・・」 「ほう、それはどうしてなのか?」 「あの純白は憧れではありますが、やはり私には、あの虎のように己が身を焦がすまで戦うことなど出来ません・・・」 金色の鳥も、さすがにここまで聞いてしまっては、元の質問に帰らざるを得ませんでした。 「そなたはなぜ、自分の朱の色を疑うのか?」 朱の鳥は絞り出すように、思いを口にしました。 「それは・・・私のための私が無色だからです・・・」 「ほう・・・それはまた、どうして?」 「私は私のためだけに生きることを知りません。ですから、私は私の前では色がないのも同然なのです・・・」 金色の鳥は、朱の鳥の目を見据え問いました。 「ではそなたには、私の色は何に見えるのか?」 朱の鳥も、金色の鳥の目を見つめ答えました。 「黄金にも劣らぬ光を放つ金色です。」 「そうか・・・」 そう静かにつぶやくと、金色の鳥は、自身を覆う羽の全てを裏返しにしました。 するとそこには 一羽の黒色の鳥が現れました。 つづく 追伸 どうしてもうまいラストが思いつかない付かないため 自分にプレッシャーを与えるために あえて途中までをUPします・・・Σ(ノ∀`●)ァチャポン どうかみなさん どんどんあたしを追い込んでくださいd(・∀・)ネ♪ でも・・・ またもや逃げちゃったら その時はゴメンナサイ・・・・・・・(´∀`;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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