カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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二人の元に歩を進めながら、 ブルーガー 「ここにいる戦闘員にも情報を知る者がいないか聞きに来た。」 戦闘員達の前に立つ二人よりも一歩前まで進み立ち止まる。 ブルーガー 「ちょっと教えて欲しいのだが、この国に伝わる伝説のことで知りたい。 この中に、[神霊石]って聞いたことあるやつ居るか・・・?」 この言葉を聞き、数十人の戦闘員の約7割の者が「知ってる」と答えながら 挙手をした。 ブルーガー 「うむ、ならば、手を上げた者に聞く。 聞いて知っているだけでなく、その有りかなどの噂を口に出来る者はいるか?」 手を上げたそのほとんどが手を下げ始めた。 だが二人だけ、上げた手をそのままにブルーガーを見つめていたのだった。 ブルーガー 「よろしい、そこの二人、順番に聞かせてくれないか?」 手を上げた二人、顔を見合わせながらまず一人が口を開いた。 グ・リョクコウ 「わしはグ・リョクコウいう。 若いころ、じいさんに聞いた話しだ。 あの山の向こうに、神が宿る石、[神霊石]と言われる石があるそうじゃ。 その神様を怒らすと、とても恐ろしいことが起きるとの言い伝えじゃ。 というてた。」 テイ・チョンミン 「あたいはテイ・チョンミン。 神が宿る話は同じ。だけんど、その神の宿る石を守る民族がいると聞く。 幻の民族で、今尚その石を密かに守り続けていると。 その神に願い事を話すとかなえてくれるらしい。 だけど、一度に聞くのは3つだけ。 願いを聞くと数千年の眠りに着いて、起きるまではただの石に戻ると聞く。」 ブルーガー 「うむ、よく話してくれた。 その二人、私についてくるがいい。 もう少し詳しく話を聞きかせてくれ。 ザウバー、クラウス、邪魔したな。」 クラウス 「いえ、知る者がいてよかったですな。」 ブルーガー 「噂や伝説だけに、話の中身が異なって伝わっているようで、 いくつか食い違いも出てきている。 重複するところを掻い摘んで・・・・となるが、近く、戦闘員を引き連れて 出陣することになろうぞ。」 ザウバー 「楽しみにしております。」 ブルーガーは二人を連れて奥に姿を消した。 ~ ~ ~ 再び人の行きかう別の町中。 にぎやかな町並みの中、なにやら広い路上に人が集まっている場所がある。 通行人は道路の真ん中を広く囲むように見学している。 その大きな輪の中心には人民警察7人と、そしてモメ事を起こした黒服数人がいた。 人民警察 「黒鼠(くろねずみ)、今日こそ逮捕してやる!」 「大人しくしろ! 我々に歯向かうと刑が重くなるぞ!」 黒鼠 一 「けっ、町民に囲まれて身動きが取れなくなったのをいいことに・・・」 黒鼠 二 「町民には危害を加えない主義だが、警察は別だぜ。」 黒鼠 三 「俺たちをただのコソ泥と思ったら大間違いだぞっ!」 黒鼠リーダー 「警察の、ケガしたくなければ道を開けることだ。 いよいよとなったら俺たちも容赦なく危害を加えるからそのつもりでいろ。」 見た目の風貌は、まるで忍者にも見える姿。 顔も黒い布で覆ってあり、人となりを見ることが出来ない。 異なるのは、日本刀ではなく片刃の円弧の大きい剣を腰に付けている。 服装はこちら中華皇国の拳法着のそれのようだ。 人民警察 「よし、取り押さえろっ!」 人民警察の一人が掛け声をかけると、一斉に黒い集団に飛び掛る警察官達。 黒鼠リーダー 「仕方あるまい、わが身を守るためだ。警察官には覚悟してもらおう。 一(イークン)、身の程を知らないこいつらをぶっちめてやれっ!」 黒鼠 一 「そうこなくっちゃ。 いくぜっ、覚悟!」 黒鼠 二 「オレ達を甘く見た自分を悔いることだなっ! けへへっ♪」 迫り来る警察官達に立ち向かう黒鼠の一味。 7人の警察官に対し、なんと向かったのはたった一人、一(イークン)だけだっ! 警棒を右手に襲い掛かる一人目の人民警察官。 『一人で何が出来るっ!』 斜め上段から警棒を振り落とすっ! びゅー ズコっ いとも簡単に一振りの警棒を交わして懐に入り、膝蹴りで腹を一突きっ! 続く警察官も・・・・ ズボっ ズコっ ガシ★ ドコっ 見事な舞の如く、体を右に振ったと思いきや、身体を回転させて右の裏拳、 左に振ったと思うと、下からの手套と次々と警察官を倒す一(イークン)。 四人目の警察官の振り込んできた警棒を手の甲で受け、そのまま顔面に 拳を叩き込む凄まじさだっ! 後に控えていた警察官3人も足が止まり、たじろぐ姿を見せていた。 と、その時、 『まてぇーーーっ!』 人民警察の捕り物を囲うように見学していた野次馬の後方から、誰かの叫ぶ声が。 黒鼠の一味、そして3人の人民警察官らが、その声の主の方向を見た。 クンナ 「待てまてーーーっ!」 駆け寄ってきたのは、大少林寺の修行僧のクンナ達だった。 クンナ 「誰だーー! また悪さしてんのはっ!」 人民警察 「大少林寺の。。。」 「助かった。。。」 黒鼠 二(リャンクン) 「なにっ !? 大少林寺の修行僧だと?」 黒鼠リーダー 「ただの修行僧ではない・・・・あれは武僧だ・・・・。」 黒鼠 一(イークン) 「ク、クンナ !? 」 見物人がさーっと道を開け、出来た通路に走り込んだクンナ達。 黒鼠の一味の前で立ち止まる。 クンナ 「騒ぎを聞きつけて来てみれば、黒鼠の一派か。 なぜ夜間の盗み専門のおまえらが、白昼に乱闘を起こしてる。」 黒鼠リーダー 「背に腹は変えられん事情があってな・・・」 黒鼠 三(サンクン) 「女? 大少林寺に女の修行僧かよ。」 チュウラン 「女、悪いか。」 クンナの後ろから姿を見せたのは、同行していた三姉妹の長女チュウランだった。 黒鼠一味の三人を見渡すクンナ、 そして人民警察との一戦で、顔を覆っていた黒い布がズレて一人素顔を露出して いた男を見て、 クンナ 「なにっ、一(イークン)?」 黒鼠 一(イークン) 「久しぶりだな。」 クンナ 「おまえ・・・・黒鼠に? あはは。。。弱虫でいつも泣きべそかいてたお前が黒鼠かよ。 なにも出来ないのとちがうか~?」 黒鼠 一(イークン) 「今は見ての通りだ。 中々楽しいぜ。 そういやガキのころはクンナに一度も勝てなかったな。 だが、今は違うぜ。」 残った3人の人民警察官達が、倒れた4人を中央から外へ運びだしていた。 人民警察官 「四人同時に、それも一瞬で・・・・・」 クンナ 「一瞬で? お、お前がやったのか・・・?」 黒鼠 一(イークン) 「言っただろ、見ての通りと。」 クンナ 「いつそんな力を手に入れた !?* 」 黒鼠 一(イークン) 「話せんな。」 チュウラン 「異人・・・か。」 (さすがだな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月21日 14時27分34秒
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