カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
.
南ちゃん 「そう、いい感じだね♪ みんな大したもんだ。。。」 チーラン 「ふぅ。。。」 負けず嫌いのチーラン、がんばり過ぎたのか、珍しくペタンと座りこむ。 みんなが休む場所に歩み寄ってきた南ちゃん、 南ちゃん 「えっとね 受けるとき、みんな勘違いしてたよ。 ガッチリ受ける と言ったけど、正しくは ガッチリと受け流す だね。」 ゆうすけ 「難しくはベクトルの法則ってことだ。 ある一つの力を例に取ると、真正面から受けてしまうと、それを止めるには 作用・反作用で、同じ[力]が必要になるってこと。」(カツカツカツ) 足元の地面に絵を書き始めたゆうすけ。 チーラン 「まんま受ける。 腕折れる・・・・」 ゆうすけ 「うん。 同じ[力]でなきゃ止まらないし、その[力]があっても場合により そう成りうる。 でもね、真っ直ぐに来た[力]は、あるモノによって分散することが出来る。 たとえばそのモノが地面だったとする。 太い白の矢印の[力]がこんな角度で当たったとする。(カツカツカツ) すると、青い点線と赤い点線の力の二つに分かれるんだ。絵は長さだけ参考にしてね。 この当たる角度によって赤青の点線の力(長さ)は変わるけど、よく見て・・・・ 地面が受けるのはこの青い点線の力だから、当たったところに同じ長さで青矢印を 書くね。 そして残りの力が跳ね返ってそのまま流れていく。 赤い点線の長さを跳ね返り方向に書くよ・・・ 理論上はこの進入角と当たった後の角度は同じにっと・・・」 (カツカツカツ) この実線の矢印が今の受け流すという[力]の部分になる。 ・ここでの地面 = 受ける腕や足 ・青の矢印 = 腕や足が受ける力 (または押し返す力) ・赤の矢印 = 元の[力]の残存。 (チップで空振りにさせる力) となる。 つまり、この青の矢印の分だけしっかりと受ければいいってことさ♪」 クンナ 「この地面の当たる角度が小さければ・・・・」 ゆうすけ 「うん、青の点線の長さが短くなる。 すなわち、押し返す力も少なくてすむってこと。」 チュウラン 「真正面。 そのままの[力]。」 ゆうすけ 「その通り♪ もっと実践的に例えると厚さ2cmくらいの平板。これを大きめの石や台に跨がせて 平らに置いて真上から手套を振り下ろす。みんななら訳なく割れるよね。これを 壁とかに斜めに立て掛けて真上から手套を振り下ろす。すると斜めの分滑り (上で は赤の矢印) が生じて割ることが難しくなる。 青い矢印が板を割るための力。 この 滑り が受け流しで力を逃がしている部分さ。 白い力をこんなに少ない力で対処出来るってこと♪」 チーラン 「板が我らの腕・・・。 受け流し 滑りで逃がす・・・か。」 チュウラン 「滑らせて軽減。」 スウラン 「ナンチャン、手抜きしている思った。」 南ちゃん 「ちゃんと打ち込んでいたさ♪」 チーラン 「こんなに違う・・・ [力]」 師範 秦 岱明(しん たいめい) 「したがって、なるべく打ち込まれた方向から必要最小限の角度に変えるように 受ければ、少ない、あるいは小さい[力]でもいけるということだな。」 ゆうすけ 「そっ♪」 南ちゃん 「異人、いわゆるスペック-1を相手にする場合、 最初に行う基本は、スキを与えないように、しっかりと攻撃を受け流す。 これを続けていくうちに、どこかで相手にスキが出来る。 そこを逃さずに、きっちりと打ち込む。 これを頭に入れておけば、少ない手数で相手にダメージを与えることができるさ。 スポーツの試合と異なり、審判は居ないから手数で判定負けなんてないからね♪」 チュウラン 「スンチャ。昼間それで一撃で・・・・」 スンチャ 「まぁね♪ 実戦は初めてだったが、スムーズに事が運んだよ。」 南ちゃん 「あとはスペック-1のスピードに慣れれば、みんなならそう難しくないはずだ。」 ゆうすけ 「みんな凄いぜ。 スペック-1を相手に出来るなんて。。。」 南ちゃん 「次はスペック-1を少し上回る動きで行くよ。」 スンチャ 「ってことは、こういちって呼んでもいいってことだな ^ ^v」 ゆうすけ 「理屈ではそうだが、呼び名に癖つけとかないと・・・・」 スンチャ 「やっぱダメかよ・・・・慣れないから呼び辛くて・・・・ じゃ、頭丸めてるときはってことで。。。^ ^; 」 『あははは。。。』 ~~ ~~ ~~ 漆黒を迎えた大少林寺近くの岩山。 電灯などひとつも無い大自然の中、月明かりが眩しく辺りを照らす。 ドン ドーン ドンドン 静かな山並みに、重いトーンの音がこだまする。 ドゴ、 ひょい ドーーン ドンドンドンドドドドン ゆうすけ ( まぁよく飽きもせずに同じこと繰り返してられるなぁ・・・ ) こういち 「同じじゃないさ。 最初のデカイのが弾けた後の破片は、いつも飛び散る方向がバラバラだもん。 それに、同じモーションではなく、小さい、少ないアプローチで威力を保つのに も新鮮味があるよ。」 ゆうすけ ( 瞬時に手元の空気を圧縮させて発射。 空気を利用だけに、物理的には到達速度に限界がある。 速度を速くすると威力だけが増すだろ。 理論的には空気の振動なら音速が最高速度ってことだ。 それと、ここは空気が薄い。 平地と比べ圧縮率が少ない分、威力も弱いはずだ。 ) こういち 「う~~ん、そうやって頭で考えてやってないから・・・ でも、ここではこう。 あっちではこうって感じはつかめてる。」 ゆうすけ ( まぁな。 理屈抜きだぜ、おまえは。。。 体で覚えてやがる。 ) チーラン 「ナンチャン。 独り言多い。」 ゆうすけ 「チーラン! いつから・・・・」 以前のように、大きな岩陰から姿を現すチーラン。 こういち 「おいら達と一緒にさ。 後ろから付いてきてたもんな。」 ゆうすけ 「独り言じゃないよ。おれと会話してたさ。」 チーラン 「ゆうすけ。 なぜナンチャンと無言で会話できる。 チーランにも教える。」 ゆうすけ 「おれにもわかんないよ。 子供のころからそうだったから・・・・ 何をどうやったからって訳じゃないから。」 チーラン 「 ・・・・ 」 スウラン 「チーラン。 やっぱりここある。」 手前の樹木が覆い茂る辺りから現れたスウラン。 ゆうすけ 「スウランか。」 スウラン 「ナンチャン来る。 夜チーランいつも居なくなる。」 チーラン 「 ・・・・ 」 スウラン 「まったく・・・・」 うつむき加減でスウランの話を聞き流すチーラン。 スウラン 「ゆ、ゆうすけ・・・。 ちょっとこっち来る。」 スウランは突然ゆうすけの手を取り、歩いてきた樹木の中に引っ張っていった。 ゆうすけ 「ち、ちょっと、スウラン・・・・」 腕を引かれながら、こういち、チーランを数回振り向きながらも同行する。 そこそこ離れた場所に来ると、繋いでいた手を離すスウラン。 そして振り向き、 スウラン 「な、ゆうすけ。」 ゆうすけ 「な、なに・・・?」 女性と手を繋ぎ、連れ沿うなんてなかったゆうすけ、ちょっとドキドキしていた。 スウラン 「な、・・・・」 ゆうすけ 「ん?」 スウラン 「な、ゆうすけ。 彼女いるか?」 ゆうすけ 「えっ !? 」 突然の予期せぬ質問に驚きと同時に、急に顔が赤くなるゆうすけ。 ゆうすけ 「唐突に・・・・ど、どうしたんだよ急に・・・・」 まごまごしながら赤い顔のまま話すゆうすけ。 スウラン 「な、あっちの国に彼女。いるか?」 まじめな顔して聞いてくるスウランに対し、ゆうすけもまじめに答え始めた。 ゆうすけ 「憧れる女性(ひと)はいるけど・・・・付き合っている人はいないが・・・ なぜそんなこと・・・・」 スウラン 「チーラン。 こういちがスキ。 こういち来ると暇みてはこういちの近くにいる。」 ゆうすけ 「そ、そうなのか・・・・」 スウラン 「われら姉妹、ずっと女として育てられてこなかった。たくましく。力強く。 だが、急に女を感じると弱くなると聞いた。」 ゆうすけ 「気持ちがそちらに取られる分、文武に集中できないからとそう言う人はいるな。」 スウラン 「チーラン。 違う。 文武もがんばってる。 えらい。」 ゆうすけ 「い、いいことじゃないか。。。」 スウラン 「いいこと。 それできること証明したい。」 ゆうすけ 「は・・・はぁ~?」 今度は、スウランがもじもじ始めた。 そして、 スウラン 「ゆうすけ。 彼女いない。 な、・・・・」 ゆうすけ 「あ・・・あぁ。」 スウラン 「スウラン。 ゆうすけスキ 彼女になる。」 ゆうすけ 「えぇぇぇぇっ !? 」 (でもそれ、全部) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年07月20日 16時40分18秒
コメント(0) | コメントを書く
[第三章 188 ~ 240 話] カテゴリの最新記事
|
|