カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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漆黒を迎えた大少林寺近くの岩山。 月明かりが時折雲間に見え隠れしながら辺りを照らす中、 ドン ドーン ドンドン 静かな山並みに、重いトーンの音が今日もこだまする。 ゆうすけ 「ほんと、よく飽きずに毎度同じこと繰り返してやってるよな・・・」 こういち 「だから同じじゃないよ。」 ゆうすけ 「だけどよ・・・」 こういち 「いい、見てて。 これがいつもやってる 空撃波。 」 そういうと、横に突き出ている岩に左手を添えて、右手を縦に動かし、 岩を切断。 スパっ 左手に乗せた1m3くらいの岩をそのまま前方空中高く放り投げ、 彡ひょい その軌道を確かめた後、左手を右わき腹の辺りに水平に出し 少し指先を丸め、 続いて右手拳をその下を素早く通過させ 空中の石に向かって拳を打ちぬいたっ ドンっ という音の次には、 ドーン と、大きな塊が空中で砕け散ったっ! 続いていくつも打ち抜くこういち。 ドドン ドドドンドン 砕けたいくつもの岩が、さらに打ち砕かれていったのだった。 ゆうすけ 「あぁ、いつものだ。」 こういち 「ところがさ・・・」 次にこういちは、足元に落ちている比較的小さめの手の平サイズの石を拾うと、 これも空中に放り投げた。 こういち 「そしてこれが、」 今度は、手の平をその石に向けてかざした。 すると、手の平は何かが発射された反動で、ピクっと動いた。 スパーン 石が砕け散ったっ! こういち 「違うだろ。」 ゆうすけ 「ち・・・違う・・・・というよりこれって・・・・」 こういち 「そう、殺流拳 Ryuichi が使った気砲さ。ガイザーも・・・かな。」 ゆうすけ 「お、お前も使えるのか・・・?」 こういち 「みたい・・・。 でもあまり練習してこなかっただけ。」 ゆうすけ 「みたいって・・・伝承者として全部身に付けているんじゃないのかよ。」 こういち 「一通り教わったさ。 だけど全てを簡単に練習できる訳じゃないから・・・。」 ゆうすけ 「でよ、その・・・使い勝手はどうなんだよ。」 こういち 「後のやつ。 南流 衝撃波。 こいつは威力があり、到達速度も速いね。」 ゆうすけ 「見た感じ、空撃波は空気の弾を打ち込んでいるのに対し、 今のは[気]、空気を動かさずに突き抜けていく感じだ。」 こういち 「そうみたい。 ただ、使いすぎると疲労が増すんだよね。 だから今まであまり練習しなかったんだ。 今くらいの程度なら、ほとんど問題ないけど。」 ゆうすけ 「中学生くらいからならか・・・。 すると、デカイの打つとかなり消耗するってこと・・・・。 ガイザーにしろ、Ryuichi にしろ、あの時・・・・ 彼らも実はそのまま戦うと不利になってたかもってことか・・・。」 こういち 「同じならね。 あんなデカイのぶっ放したら、相当疲れが出たと思うけど・・・。」 ゆうすけ 「どちらも一瞬たまげたけど、[気砲]のたぐい。 そうか、そんな裏があったのか・・・・。」 こういち 「さっきの答え。 ここでたまぁに交ぜて練習してたから、同じじゃない。 力加減が難しかったし・・・・」 ゆうすけ 「そ、そっか・・・・なるほど。」 そこへ、スウランが近づいてきた。 スウラン 「ゆうすけ、ここか。」 ゆうすけ 「よう、スウラン♪」 スウランはゆうすけの隣に座り、ゆうすけの頭と肩に手を添え、 自分の膝に導いてあげた。 スウラン 「スウラン、大少林寺の中 彼女出来ない。 でもここ、大丈夫。」 なすがまま、そのまま膝枕に甘えるゆうすけ。 こういちもその場にペタンと腰を据えた。 ゆうすけ 「なんか照れくさいや。。。 あの中では、他の修行僧達を刺激しちゃうからな。 ねえさんが紐解くまでは大少林寺は女人禁制。 悪く思われるとまた逆行して 禁止にされてしまっても・・・・な。」 スウラン 「悪い前例 作りたくない。 守るべきは守る。 ナンチャンの練習見学、いいデート場所ある。」 こういち 「ここではこういちでかまわないよ。」 スウラン 「そっだった。 けどどちらで呼ぶ、判らなくなる、 当分ナンチャンでいく。 チュウラン、利江と一緒。 利江に護身術教えてる。今も。」 ゆうすけ 「護身術は助かるな。いざというときに役立つ。 けどよ、そりゃ普通の痴漢とかに言える話であって、やつら、 スペック-1では焼け石に水、どうにもなんないな。」 こういち 「おいらが守るさ。」 ゆうすけ 「けどよ、年がら年中 護衛 もしてられないだろうに。」 そこへ、クンナが慌てて駆け寄ってきた。 『おぉ~ぃ。』 スウラン 「クンナ、どうした。」 スウランの膝元から、ムックリと起き上がるゆうすけ。 クンナ 「今、今館長様のところに、巡礼者から情報が・・・・。 こういちに知らせるようにと。」 ゆうすけ 「何があった?」 クンナ 「あぁ、なんでも、異人らしき小集団が、竹林山に向かっているらしい。 そう言えば判ると・・・。」 ゆうすけ 「竹林山・・・って・・・・」 こういちを見るゆうすけ。 スウラン ( !! ) こういち 「 ・・・・ 」 ゆうすけ 「何しに向かっているんだろ、やつら・・・・ 偶然や、たまたまそっち方面に・・・なのか、それとも・・・」 こういち 「クンナ、ありがとう。 報告を確かに受けたってじっちゃんに伝えて。」 クンナ 「なんのことがわからんが、分った。」 再び来た道を戻りだすクンナ。 スウラン 「竹林山って、[魔物の住む山]と言われている山のことか?」 ゆうすけ 「あぁ、おれも館長様から聞いたよ。 魔物やら、部族やら色々と言われているらしいが、大竹林寺の連中って ことだ。 その話、よく知ってるな。」 スウラン 「スウラン住んでた村、その近く。 小さいころに[魔物の住む山]と教わった。 近づくなと。」 こういち 「そこに何故やつらが・・・・」 ゆうすけ 「今はわからん・・・。 もう少し情報を集めなきゃ。」 (火の無いところに煙は立たないというからな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月04日 16時28分21秒
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