カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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利江 「なんか・・・だなんて・・・喜ばしいことよ。」 ゆうすけ 「ん・・・なんていうか、心の準備無くというか、気が付いたらそうなっちゃった みたいな・・・。」 利江 「でも実際どうなの? なんか、二人で居るときって楽しそうよ。」 ゆうすけ 「おれってさ、なんか片思いで終わるタイプなんだろうなぁって思ってた。 自分を中心に考えればね。 ところが今回、逆に言い寄られてしまったんだ。 まるで想定外。 だけどさ、言い寄られるって悪くないもんだね。 何故か急にその人がクローズアップされてくるんだよ、気持ちの中で。 するとさ、嫌いじゃないっていう見方ではなくて、おれはこの娘の気持ちに応えてあげ られるかもって思い始めたわけ。 きっと言い寄られると弱いタイプなんだろうな。 だから、まだ恋とか愛とかは判らない・・・・。 でも、これからじっくりと煮詰めていけたらなぁってさ。」 利江 「それもカップルとなる組み合わせの一つの形なんでしょうね。」 ゆうすけ 「まだ夫婦って訳じゃないから、相手の気持ちも考えながらっていう余裕というか 大人になってっていうか、そんなのまだ無いから、かち合うこともあるだろうな。 成るように成るさ。」 利江 「館長様が私におっしゃった言葉と同じね。 ゆうすけ君は頭で色々と考え過ぎちゃうんじゃないの? 恋愛も。」 ゆうすけ 「確かに。 どちらも先のことは判らない。自分一人できばっても始まらない。 流れの赴くままにってことだからね。 頭使うのはおれの専売特許みたいなとこあるから・・・。 勝手に推理しちゃうみたいな癖がな。 それにしても、まさか利江ちゃんが、こういちの能力を上回るモノを身に付けていた なんて。 まったく、あの日は驚いたよ・・・・。」 利江 「うん・・・・なんか声・・・・獣のの吼えるような声がなんとなく聞こえて・・・。」 自分の首からぶら下がるペンダントを手にして、 利江 「今は何も感じないわ。」 こういちは、湖をただ じぃ~と見つめているだけだった。 ゆうすけ 「なぁこういち。」 こういち 「なぁに?」 ゆうすけ 「おまえならさ、この水面の上を走れるんじゃないか?」 こういち 「どうかな・・・・やったことないし。」 ゆうすけ 「いやさ昔TVでさ、水面を駆けるトカゲがいるのを見たことあるんだ。」 利江 「あっ、私も知ってる~♪ なんかガニ股みたいに走ってる姿が印象的だったわ。」 ゆうすけ 「軽量な体重に加えて、蹴る足が沈む前に次の足が浮力を得てって、足の回転の速さ と水面を蹴る力とその速度が伴わないと、人間では理論的に無理なんだが、 こういちなら、その理論値の上をいってると思うからさ。 歩幅や足裏の表面積などなど 違いはあれど、計算上では たとえば 体重が80kg の人が水面上を走るのなら、108km/時の速度で駆け抜け、 踏み込む足は 20回/秒、踏み込む脚力は体重の約一割増しでなら って。。 おまえ見てると、理論が関係なくなっちゃうからさ。」 こういち 「必要があればね・・・・。」 ゆうすけ 「たとえば、今この水面から動物が出てきたとする。 そんな時 どうやって戦うよ。 相手は水中を得意としていたらなおさらだぜ。」 こういち 「考えたこともないや・・・・」 ゆうすけ 「のんきだなぁ・・・ 今のうちに ケースbyケースの戦い方をイメージしといた方がいいぜ。 おれが考えてあげられるのはヒントだけだし・・・。」 こういち 「 ・・・・ 」 ゆうすけ 「それともう一つ。 気になることがあってな。」 こういち 「・・・?」 ゆうすけ 「おれはガキの頃からおまえを見慣れているし、成長をこの目で見続けていたから 気が付き辛かったんだが、 不思議なことを平然と姉さんと二人は行っているんだよ。」 利江 「不思議な事・・・・?」 ゆうすけ 「まぁさ、なんでかんでこういちについては不思議が多いけどよ、 この間さ、工場で姉さんがザウバーやスワンと戦ったろ。そんときに妙に・・・。」 利江 「えぇ、今思うと凄い豪華メンバーだった。。。♪」 ゆうすけ 「うん。 その時の光景が目に焼きついて離れないんだよ。」 こういち 「どういうこと?」 ゆうすけ 「姉さんはさ、ヒールじゃん。 いつも。」 利江 「そうね。 ファッションのこだわりだと思うわ。」 ゆうすけ 「まぁね。 でもさ、 あれだけ激しい戦いをしても・・・・ハイヒール、壊れないんだよ。」 利江 「そう言われれば・・・。」 ゆうすけ 「姉さんやこういちの脚力や俊敏な動きに対して、地面との摩擦をしっかり作り、 でその力を遺憾なく発揮出来てる。 これって、どう考えても不思議なんだよ。」 こういちは自分の靴を見る。 こういち 「近くの靴屋さんで買ったどこにでもあるやつだけど・・・」 ゆうすけ 「うん、そこなんだよ。 たぶん姉さんも同じだろうな。 特別な靴じゃない。」 起き上がるゆうすけ。 そして地面に両足を開いて立ち、一方を内から外に引きずって見せた。 ズズズ・・・ ゆうすけ 「こんなおれの力にだって靴はよじれ、もっと力を入れると悲鳴を上げ始める。 この力が、もっと強かったら・・・・」 利江 「もげたり破れたり・・・・」 ゆうすけ 「するだろうな。 普通。」 こういち 「ちっこいころは裸足だったけど・・・・」 ゆうすけ 「おれの推理が正しければ、何か潜在している能力があって、 それを無意識に利用しているのかもしれない。 こういちと姉さん。」 こういち 「潜在している能力・・・?」 ゆうすけ 「あぁそうだ。 知らずして使っている・・・意識してじゃなく。」 利江 「どんな能力・・・?」 ゆうすけ 「たとえば、身体を急に方向転換できる能力・・・かなぁ、 地面との摩擦を利用しなくても別の力で STOP AND GO ができるとか。 または、それに加えた浮遊術のたぐいかもしれない。 重力を無視なのか、自分で意のままに身体を動かせるっていうか・・・。 何かしらのこんな方向性の能力さ。」 こういち 「浮遊って・・・空中に浮かぶこと・・・?」 ゆうすけ 「数ある推測の一つだけどね。 つまり、別の力で体を動かさないと、靴はこういちの動きについていけないって。」 こういち 「なにも教わってないや・・・・」 ゆうすけ 「だとしたら、過去の伝承者も気が付いてないのかもしれない。 でも、間違いなく別の力は働いているよ。 または・・・こういちや姉さんの代で、新たに覚醒した能力かもしれない。」 利江 「そういえば、館長様も、歴代の中で一番だって。。。」 ゆうすけ 「どちらにせよ、その能力は使っている状態だって。」 利江 「ね、たとえばこういうことかしら。 こういち君は良く木々の間を地面に足を付けずに行き来する練習をしているわよね。」 こういち 「あぁ、ちっこい時に教わった練習方法だからね。」 利江 「その時、蹴る反動で蹴られた木がピクリとも動かなければ・・・・ ゆうすけ君の推測が現実として目に映るってことでしょ。」 ゆうすけ 「そぉ~♪ つまりそういうことよ。」 利江 「ゆうすけ君の推測する[何かの力]、それを意識して使えるようになればいいわけ♪ 意識して出来るようになったら、何が出来るようになるかは解らないけど。 特訓してみる価値がありそうよね。」 こういち 「特訓ねぇ・・・・。」 (きょとんとして応えるこういち。) ( 妙に利江ちゃんが前向きだなぁ。。。 ) その時こういちの目には、対岸に建つ青龍の神社の小さい社屋に、怪しい衣服で素早い 動きの数人が入っていくのが見えた。 こういち 「ゆうすけ、あそこっ 神社っ」 こういちの指差す方向を見るゆうすけと利江。 ゆうすけ 「なにか動いてたけど・・・」 利江 「人のような姿には見えたわ。」 ゆうすけ 「利江ちゃん、良く見えたなぁ・・・」 こういち 「なんか、木の皮か、それに見えるような衣服着てる人達が急いで中に入っていった。」 ゆうすけ 「神社の定期掃除かなんかなんじゃね~の?」 こういち 「そうかなぁ・・・」 (見事である) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時06分17秒
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