カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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ここは広大な自然が広がり大竹林寺のある大地。 その不思議な異空間には、とがった山にも見える岩で出来た階段が1つ空に向かって 伸びていた。 その階段を数人の男達が、二つ飛ばしやバク転で降りてくる。また、 一人が階段の頂上から飛び降り、手足をモモンガやムササビを思わすような側翼が広がり、 腕の上には、少し大きめの翼を操り、グライダーのように自由に大空を遊泳しながら 降りていく。 地上では密林の中を駆け巡る数人、一人だけのっし、のっしと歩く姿も見える。 その一堂、奥深くに小ぶりにそびえる尖がった山々のふもとの洞窟を目指していた。 ~ ~ ~ 黄龍道(おうりゅうどう)元帥の広間、 広間の周りを複数のかがり火が炊かれ、薄暗いながらもチラチラと明かりが灯っていた。 中央やや上座に近衛軍副長を先頭に、後ろに控える7人の軍長たち。 片ひざで座り、頭を下げた姿勢。 その姿は明かりが暗く、うっすらとその容姿、そして体格を伺い知るのがやっとな程。 前方上座に位置する右斜め前の小スペースには、大きい水晶玉の前に上座を背にした マーシャが座り、参集した8人を見据えていた。 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「みなの者、相変わらず素早い参集、見事である。 この伝達能力、そしてみなの能力をこの世の表舞台の人間達に思い知らせる刻がきた。 我らは長きに渡り、この[探神霊石]を表の人間から守ることを使命としてきた。 そしてまた、長い眠りについている[三獣神]の監視をも使命としてきた訳だが、 そこにある[神霊巫女]より報告が入った。 [三獣神]の一獣神が、そのいにしえからの深い眠りから間もなく目覚めるとのこと である。」 『おぉぉ。』 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「すなわち、一端の監視の使命の区切りを迎えることになる。 代々より受け継がれ、これらの任の全う。我ら大竹林寺は立派に守り通してきた。 余の代で、これがなされたこと、先代の匠もさぞ喜ばれていることであろう。 この区切りを持って余は定めとし、ここに決断した。 我ら大竹林寺は、新たな野望に向かって突き進むこと。」 『おぉぉ。』 『待っておりました。』 『いよいよですな。』 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「[三獣神]による人類全滅後の創世記を経て、 我ら大竹林寺は、次なる表の世界を支配することをここに宣言するっ!」 『おぉぉぉっ!』 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「あと二つ月刻を [改新大戦] の[始の日]と定める。 明日の晩に月刻を向かえるが、その次。 いよいよである。 それまでしっかりと準備をし、また英気を養うとよい。 尚、作戦は[近衛軍副長]より申し伝える。 よいな。」 『おぉぉぉぉっ!』 ~~ ~~ ~~ 今宵、グ・リョクコウの言う満月の夕刻、そして大竹林寺の言う[月刻]を迎えた夕刻。 グ・リョクコウ 「とうとうこの宿舎は襲われず終いでしたな。」 ブルーガー 「うむ、何かしらの防衛線の位置・距離があるのかもしれんな。」 テイ・チョンミン 「でもさ、その現れたり消える山を見ることが出来るだけでもさらに一歩前進なんじゃ ないかね。」 チョウ・ギョッキ 「伝説をこの目で見る。 もう伝説から現実に変わるからな。」 グ・リョクコウ 「まぁ現れても大したことはありゃせん。 景色の中に、山が増えるだけじゃて。」 ブルーガー 「ギョッキ、全員を集めよ。 残りの調査隊全員で見てやろうではないか。」 チョウ・ギョッキ 「はいっ!」 ~ ~ ~ ブルーガーの参集により、調査隊の残り全17人が宿舎前に集められた。 ブルーガー 「みなの者に告ぐ。 満月となるこの夜、骨の発掘に継ぎまた一つ伝説をこの目で見ることになる。 しっかりと目に焼き付けてくれ。 その出現するという山に、伝説の[石]があるのかどうかはまだ判らん。 そして[石]を守るという種族が居るかどうかもまだこの目で見ておらんがため 断言が出来ぬ。 しかし、既に我々はその種族に出くわしている可能性もある。 あの3人の遺体がそう思わせておる。 そう簡単に倒されるお主らではないからだ。 その山の出現に合わせて、ふもとまで隊を進行させたかったが、夜間の移動は 危険を伴うと判断し、今宵の見学のみに止める。 しかし、明朝は、この目で見た山に向かって隊を進めたい。」 グ・リョクコウ 「ブルーガー様・・・」 話を進めていたブルーガーに口を挟んだリョクコウ。 そして山に向かい、指を指し示した。 指の指すその先では、なんということだろう、 とても言葉では言い表わせない幻想的なスクリーンがそこにはあった。 夕刻で赤く照らされた山々のその奥から、ぼんやりと、もう一つの山々が姿を現し始めた。 『み、見えた・・・』 『あ、あれが・・・』 居合わせた戦闘員の口々から驚きの声がささやき始めた。 その後は、黙ってその景色を眺めている面々なのであった。 どのくらいの刻が経ったであろうか、 夜空には見事なまでの満月が、煌々と辺りを照らし始めていた。 (それはあっちに運べよっ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時07分13秒
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