カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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木の上の枝にちょこんと座り、幹に背中を付けて話す Ryuichi。 チーランの前に立ち、 Ryuichi をにらむこういち。 こういち 「こんな朝っぱらから何用だ。」 殺流拳 Ryuichi 「なんだよ久しいのに、無愛想な挨拶だな。 なに、一戦交えてもいいんだけどよ、この林、二人で戦うと無くなっちまうだろ。 まぁ林どころか、近くの山の2つ3つは吹っ飛んで無くなるかもな。 なぁその練習、おれにもやらせてみろ。 おれも上手いもんなんだぜ♪」 彡ピョン 木の枝から飛び降りるとこういちの横を素早く抜け、こういちの練習していた同じルート の木に向かってジャンプ、そしてジグザグに木々を渡り始めた。 シュ シュ シュ シュシュ ( ここで蹴りか )ズガっ★ シュ シュシュ ( ここも )ズガっ★ シュ シュ バサ バサ バサ バサバサ ドスっ バサ バサバサ ドスっ バサ バサ ササッ ササッ チーラン ( !! ) 一往復して、スタート地点で立ち止まる Ryuichi。 殺流拳 Ryuichi 「どうだい、大したもんだろ。」 こういち 「 ・・・・ 」 殺流拳 Ryuichi 「さてっと、挨拶はもういいや。 今日はよ、ちょいと陳南家 南流伝承者さんの耳に情報をと思ってな。」 こういち 「情報?」 殺流拳 Ryuichi 「あぁ。 近く、大竹林寺が動く。 永きの約を破り表に飛び出すようだぜ。 おれにはどうでもいいことなんだが、おまえさんには知らせておこうと思ってな。 おまえさんの使命に関わる部分に便乗する算段らしいぜ。」 チーラン ( !! ) こういち 「おいらの使命だと?」 殺流拳 Ryuichi 「おれに隠し事はいらねぇよ。 みんな知ってるからな。 これを聞いたおまえがどう動くか、拝見させてもらおう。 じゃ、伝えたぜっ!」 彡シュバッ 話終えた後、その場から姿を消す Ryuichi。 こういち 「 ・・・・ 」 チーラン 「だ、だれ? あいつ。」 こういち 「総本山対極試合 今年夏の季の出場者だったやつだ。」 チーラン 「こういち・・・、まるでこういちだった。 動き。」 こういち 「らしいな、見てたみんなが同じこと言ってたよ。」 チーラン 「チーラン、かなり驚いた。 こういちがもう一人・・・・ でもチーラン分る。 こういち、同じじゃない。」 こういち 「ほぉ、違いがチーランは分るのか。 こんな短時間で。」 チーラン 「判る。 チーラン、いつもこういちの練習見てる。 木の揺れ方、違う。 けど、スピードは・・・・同じか解らない。」 こういち 「だな、それに木を蹴りに行ったとき、やつは蹴り抜いた勢いのまま後ろに吹き抜けた。 その後ろの木でターンしてからルートに戻りジグザグに渡り始め、2つ目も・・・・ やつのお陰で、少し疑問が解ってきた気がする。」 チーラン 「あんなやつ出て来る、総本山対極試合、とんでもない・・・・」 こういち 「あいつは別格さ・・・。」 ( 隠し事は不要・・・か・・・ ) 手足に巻き付けていた丸太を結ぶツルを切り、地面に落とすこういち。 プチ ドサドサ チーラン 「それも違う。 こういち、重り付けてやってた ^ ^ 今日は持ち帰らないのか?」 こういち 「毎日だと、積み上げる場所が無くなってしまうから。 さて、戻るか。」 チーラン 「うん。 ありがと。。。」 こういち 「礼はいらないよ。 あいつ、おいらが回避させるのを知ってて打ってきた。 あいさつ・・・だからな・・・。」 チーラン 「うん。」 ( こういち、うれしかった。 ) ~ ~ ~ 大少林寺に戻る道沿いで歩を進める二人。 こういち 「ところでチーラン。」 チーラン 「なに?」 こういち 「自分に合った道具、何か見つかったか?」 チーラン 「うん、見つかった♪ ・・・というか、結局・・・だ。 チュウラン、三節棍。 スウラン、双剣。 チーラン、雹が馴染んでいる。」 こういち 「そうかぁ、雹か。。。 チーランの使いこなし、中々あの域までは見れるもんじゃない。 それに、体が柔らかいから見ていて美しい舞に見えるし、向いてると思う。 素敵な出会いが出来てよかったね。」 チーラン 「うん。。。」 こういち 「あとは雹の先端を相手に掴まれたときの対処を、いくつか考えておくといいだろう。 無手、そして小道具の備えなどね。 チーランは三人の中では非力な方だ。 パワープレーは難しい。 だけど、スピードは抜群。 そこを生かすのがいい。」 チーラン 「うん♪」 ガルゥゥゥ・・・・ グワァオオっ 突然、道路脇の奥に林が見えるその手前の深い茂みの中から、二匹の獣の威嚇で吼える声 が聞こえてきたっ! チーラン 「・・・ん !? 」 こういち 「先程からやりあっていたよ。 自然界の掟、そのまま放っておいたのだが・・・・」 高さが1mあろう深い茂みから、一つの吼える声と供に、高さが3mは超えているであろう 巨大な野生の熊が、仁王立ちで立ち上がったっ! グワァオオオっ! チーラン 「うわっ !! 」 二人からは少し離れたところではあったが、茂みの上に突如現れたその姿に驚くチーラン。 すると続いて巨大な熊の前方では、茂みの草むらが カサカサ と動き、白い色の塊が 巨大熊に向かってジャンプ一番、襲い掛かったのであったっ! GARRRRRRRRR GAOOOOOOOOOOOっ! 茂みの上に見えた姿は、手足を広げて飛び掛る野生の猫のように見えた。 しかし巨大な熊は、飛び掛るその獣を巨大な前足で一叩きっ! Kyainnnnnn・・・ その白い猫に見えた獣は、こういち達の目の前まで飛ばされてしまうっ!。 転げる白い獣。 見ると体長 60cm 程のまだ子供。 そしておびただしい鮮血のその下には、灰色の縦じまが見えた。 チーラン 「虎の子・・・。」 白い子トラは、苦しそうに横たわった身体を前後の足で起こそうとしている。 そこへ、こういちが歩み寄っていく。 こういち 「勇敢なんだな。」 白い子トラの横でしゃがみ、頭を数回なでてあげる。 こういち 「おまえは偉いぞ。 自分で一度戦うと決めたらおまえさんのように最後まで諦めずに戦う。 素敵な姿だよ。」 白い子トラは力を抜いて、だまってこういちを見つめて聞いている。 こういち 「だけどね、今回は力の[差]が有りすぎ・・・・。 無茶もいいとこだ。 今命を投げ出すのが無駄だと思ったら、引くときはちゃんと 引いて、次にリベンジってのも大事なんだぞ。 生きていればそれが出来る。」 その言葉に、とても悔しそうな顔をする白い子トラ。 こういち 「しょうがないなぁ・・・・。 本当なら助けないんだぞ。。。」 そう言い終わるとその場にスッと立ち上がるこういち。 グワァオオオっ! そのままこちらをにらみ吼えている巨大熊に、視線を合わせた。 と、突然っ! チーラン ( !! ) チーランは巨大な[気]を感じたっ! 同じ様に目の前の巨大な熊、突然戦意を喪失した顔で茂みに4つ足での立ち姿に戻る。 そして茂みの草を カサカサカサ と揺らしながらこちらを見ること無く退散したので あった。 こういちの足元で苦しそうにしていた白い子虎は、驚きもせずにずっとこういちを見つめ ていた。 こういちは再びしゃがみ込み、血まみれの白い子トラを撫でてあげる。 こういち 「まず、そのケガを治療しなきゃ。 いいよ、安心して。そのまま寝てて。」 わきの下に両手を添えて、そっと抱き上げるこういち。 白い子トラは、安心したかのようにそっと目を瞑り、こういちの懐のぬくもりを感じて 眠りについたのだった。 (ほらぁ、ダメって言ってるでしょ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時08分48秒
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