カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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戦闘員 「ブルーガー様、後を追わせた2名から通信が入ってます。」 ブルーガー 「繋いでくれ。」 『はっ。』 ブルーガー 『どうした。』 追跡した戦闘員 『すいません、見失いました・・・。』 ブルーガー 『致し方あるまい、どの地点で見失ったか確認してから戻ってこい。」 追跡した戦闘員 『了解しました。』 ブルーガー 「見失ったか・・・・ ギョッキ、彼らが戻ったら知らせてくれ。」 チョウ・ギョッキ 「かしこまりましたっ!」 グ・リョクコウ 「さすがに簡単には突き止めさせてもらえませんな・・・。 しかし、いささか驚きましたな。 まさか地中を使うとは。」 テイ・チョンミン 「でも地中を這いずり回ることが分っただけでも心の準備が出来る。」 ブルーガー 「それが今まで守り続けることが出来た一つの証であろうな。 うちの戦闘員も不意を着かれてしまう訳だ。」 グ・リョクコウ 「さて・・・、どのように守りましょうかの・・・。 移動の都度周りに杭を打つ訳にも・・・・」 チョウ・ギョッキ 「た、確かに・・・・」 テイ・チョンミン 「地面ばかり気にしてもいられないだろうし・・・」 どんよりと重い空気がブルーガー率いる調査隊の宿舎に流れた。 ~~ ~~ ~~ こちら大少林寺では、修行僧全員を一堂に集められ、館長からの説明を受けていた。 館長 「よいか、相手の出方を伺うまでは手出しをしてはならぬぞ。 万が一・・・ 万が一、大竹林寺がこの大少林寺を襲うことがあれば止むをえん、 我々は大少林寺の歴史と名にかけて、それらを守らねばならん。 心して望むように。 あとの体制は師範の指示にしたごうこと。」 師範 『今、館長様のおっしゃられた通り、念のため我々は・・・・・』 スンチャ 「なんてことだ・・・。」 クンナ 「大竹林寺、噂には聞いていたがそんな役目を負っていたのか・・・・」 チーラン 「三獣神がいよいよ復活・・・」 スウラン 「チュウラン・・・・」 ( 姉チュウランを見つめるスウラン。) チュウラン 「 ・・・・ 」 ( 歯を食いしばり、力の入るチュウラン。険しい顔付きだ。) ゆうすけ 「なぁ、こういち。 お前、どう出るんだよ・・・・。」 こういち 「侵略戦争をおっ始めるんなら、それはおいら達の生活を脅かす脅威だよ。 三獣神と変わりねぇよな・・・ なら答えはひとつだ。」 利江 ( こういち君・・・・ ) 悲しそうな顔をする利江に敏感に反応したタロ、利江の顔を見ながら自分も 悲しい顔付きで利江を見つめていた。 ゆうすけ 「そう言やぁタロ、ぼちぼち自然に戻さなきゃいけないんじゃないか? このままここに居させる訳にもいかないだろうし、相手の標的になるかもしれない 場所にってのも良くないだろうし・・・・」 こういち 「そうだな、そろそろ戻さないと。 利江ちゃん。」 利江 「う、うん。 そうよね・・・・」 ちょっぴりセンチメンタルな利江。 二人と目線を合わせてゆっくりとうなづく利江。 三人はタロを連れて門外へと向かった。 ~ ~ 門からかなり離れた所まで来てから、 利江 「タロ、ここでお別れよ。」 ゆうすけ 「元気で暮らせよ~♪」 南ちゃん 「じぁな。」 タロを茂みに置いて、大少林寺方面に戻る3人。 だが、タロは笑顔で利江の元に戻ってきてしまう。 利江 「タロ、ダメっ! 悲しいけどもうタロはお家に戻らなきゃいけないの。 お父さんやお母さんも心配してるでしょ!」 パシっ タロのお尻を叩く利江。 目頭からは大粒の涙を流しながら心を鬼にして叱る。 自分が叱られていることは分っているようだ。 だけど戻らなきゃいけないことが分らないタロ、なんで叱るんだよーと困った顔で 利江を見つめ、首をかしげていた。 利江 「タロっ! 戻りなさいっ! あっちよ、あっちに行くのっ!」 南ちゃん 「タロはずっと一人で生きてきたかもしれない。 狩の仕方からそんな気がするんだ。 ってことは、戻るところが無いんじゃないのかなぁ・・・。」 利江 「もぉ・・・・」 とそこへ、 館長 「本人が戻りたくないようなら仕方ないかのぉ。」 ゆうすけ / 利江 「館長様っ!」 ビックリして振り向き、声を出す二人。 南ちゃんも立ち上がって館長を見つめた。 館長 「一度は自然に戻そうとしたんじゃ。あとは本人の意思じゃて。 それに形はどうあれ、本人の意思じゃから一緒に居てもペットとは言わんじゃろ。 首輪もしとらんし、鎖に繋いでもおらん。 柵でかこってもおらん。 どうじゃな。」 利江 「いいんですかっ !? 」 館長 「いいも悪いも。。。」 南ちゃん 「本人の意思じゃからのぉ。。。」 館長 「さよう。 幸い、僧侶達に危害を加えた報告が一件もない。 身近においてあげてもよかろう。 これもお釈迦様の思し召しじゃろうて。」 ゆうすけ 「利江ちゃん、よかったじゃん♪」 利江 「ありがとうございます、館長様っ!」 (ペコっとお辞儀をした利江。) 「タロ、お散歩終わり。 一緒に帰りましょ♪」 ナァ~ォ♪ 利江の呼びかけに応えるように、笑顔で返答したタロ。 再び目頭から大粒の雫が滴り落としていた利江であった。 ~~ ~~ ~~ その晩、利江は自分の部屋に居た。 タロはちょこんとフロアに半身を起こして横になっている。 ベッドに横になりながら、独り言をつぶやく利江。 利江 ( 三獣神・・・かぁ。 獣の吼えるようにも叫ぶようにも聞こえてくるあの鳴き声。 どんな姿をしているのかしら・・・・。 その姿は・・・? 楽しみではないけど、あの鳴き声、今は私にしか聞こえないのよね・・・ タロには聞こえないよね・・・。) 背中の横を、自分の舌でペロペロと舐め、毛並みを整えているタロ。 利江 ( [神霊巫女]・・・。 出現を予知するだけなのかしら。 私にはまだ現れるようには感じない。 確かにペンダントの点滅の頻度は以前より段々と早くはなってきているけど。) Tシャツの襟からチェーンを手繰り寄せながら手の平で[石]をかざす利江。 利江 ( 大竹林寺にもこの能力を持った人が居るらしいけど、どんな人なのかしら。 遠い親戚なのかぁ・・・。 年齢は? その人はお婆さんくらいだったりして。。。 それとも私と変わらない少女かなぁ・・・ ) タロは満足そうに目を瞑り、自分の手を枕代わりにしてうつ伏せで寝ている。 利江 ( タロはこのままでいいのかしら・・・・。 一緒に居ると私も和めるんだけどね。この子にはそれでいいのかなぁ・・・ まっ、本人の意思よね♪ ) そのまま利江もいつのまにか眠りに付いてしまった。 部屋の窓から月明かりが部屋の中を照らし出していた。 虫の鳴き声もやさしい子守唄に聞こえる。 外にはとってもきれいな満月が煌々と輝いていたのだった。 (ヘンケヂって・・・なんだべさ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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