カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
沼のほとりのとある村。 綺麗な満月が沼面に映し出されている。 そこに生息している生物の影響であろう、時折、水面にやわらかな波紋が走り、 映し出された月の形がおほろげに踊る。 耳を澄ますと、各所で張り合うが如く誇らしげな蛙の鳴き声と、虫たちの涼しげな鳴き声 が合唱となってこだまする。 夕食が終わり、家族でだんらんを取る村民の明かりが木材・レンガ等で作ってある家の窓や、 わずかな隙間などからこぼれている。 早寝早起きが習慣である村なのであろう、この時間、家から出歩く人の姿はほとんど 見られない。 ほんの数人の男性村民が、川から水を汲んできた帰りだったり、薪を背負って山からの 家路に着く人がいるくらいだ。 村民A 「よう精が出るのぉ。」 村民B 「女房が身体を壊しとっての。 水汲みがこの時間だべさ・・・。」 村民A 「わしとて備蓄があると思うとったが、飯炊く時に気が付いての。」 村民A 「そんじゃまた。」 村民B 「お休みよ。」 そんなすれ違い座間の会話がなされて二人が別れた後だった。 シュ→→→ スコン! 村民Aの右斜め前の家の壁に、かすかな風切り音の後、一本の矢が刺さった。 村民A 「な、なんだぁ~?」 ビックリして辺りを見渡す村民A。 人影は先程の村民Bの後ろ姿しかない。 刺さった矢の元に歩み寄る村民A。 すると、その家の主も音を聞き、扉から外に出てきた。 村民C 「どしたぁ。」 村民B 「矢がよ、どっからか飛んできただよ。 ほれ。」 村民C 「なんでぇ、矢かいな。 物騒だなおい。」 村民B 「見てみぃ、なんか手紙がくっついてんぞ。」 見ると、黄色い紙が縛り付けてあった。 村民C 「かわい子ちゃんからの恋文ならえぇんだけんどな。」 村民B 「んなことあるかいよ。 それ言うなら黄色いヘンケヂだべな。 どっかで聞いたこどあんぞ。」 村民C 「そのヘンケヂって・・・なんだべさ?」 村民B 「おらが知るかよぉ。 どっかで聞いた話だ。 それにかわい子ちゃんが矢を放って渡すかふづう。」 村民C 「ちげぇねぇ。 なんかワクワクしてから見でみでぇじゃねが。 どれどれ・・・・」 ・・・・・ 村民B 「どした?」 急に青ざめた顔になり、どもりだす村民C。 村民C 「た、た、た・・・・」 村民B 「なんだ、なぞなぞかぁ~? 『た』が三つだから・・・・たたみ屋からだべか?」 村民C 「た、た、大変じゃっ!」 村民B 「なんだよ急に・・・・」 村民Cから手紙をむしりとる村民B。 するとその文面には、 村民B 「う・・・うわぁーーーっ!」 村民C 「い、急いで村長んとこさいがなきゃよ!」 村民B 「よす、急ぐべ!」 『おぉーい、村長ーー、てーへんだーーっ!』 『おぉーぃ・・・・』 ~~ ~~ ~~ 村長 「なんじゃとっ! 大竹林寺が・・・・改新討伐に赴くじゃとっ! 統治目的で・・・。」 村民C 「矢が家に打ち込まれたでよ。 それについとった。」 村長 「大竹林寺が何者かは知らんが、統治ってなぁ・・・すなわち侵略じゃ・・・・ みなはここから急いで避難するんじゃっ! 弓矢でとなると・・・・もう近くにおるということじゃ。 急ぐんじゃっ!」 ??? 「けへへ。 もう遅いぜ♪」 村長 「むむ。」 村長達が会話していた部屋の入り口に立つ一人の男。 ??? 「あの悲鳴が聞こえないのかなぁ~。」 すると外では、 『キャーー!』 『何すんだよっ! うわーーっ 』 [土軍長]杜 土俊(と どしゅん)(???改め) 「第7進軍を任せられている。 隠密の俊とはおれの事さ。 全員の命、もらったぜ~♪ どうせな、長くない人生だったんだよ。 1日早いか1週間早いか1ケ月早いかの違いさ。 あんたらもすぐに後を追わせてやるよ。」 というと、腰に刺した短刀を素早く引き抜き、その場に居た村長を始め、その他の村人に あっと言う間に切り付けたのだった。 これが、大竹林寺の言う[改新大戦]の始まりであった。 こちらの村でも・・・・ 『うわーー』 『きゃーー』 『た、助けてく・・・うぉっ』 あちらの町でも・・・・ 『何するんだっ! うぐっ』 『に、逃げろーー』 『いやーーー』 女、子供にも容赦ない惨劇が繰り広げられたのであった。 (まぁ広ろすぎら) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時13分20秒
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