カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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翌朝、大少林寺の館長の元に、数人の巡礼者から報告が寄せられた。 師範 「なんとっ!」 館長 「うむ、昨夜が満月を向かえた日じゃったから・・・・ 大群を吐き出すには竹林山が姿を現す時にじゃな。 それにしても、こんなに早くに動き出すとは・・・・。」 師範 「手にかけた村、町の全員を抹殺ですとっ !?、こ、これは・・・・。」 館長 「つまりはこの世を、大竹林寺の子孫で埋め尽くす魂胆じゃ。」 館長室入り口の扉の横に立ち、 こういち 「じっちゃん、これは紛れもなく戦争をおっぱじめたってことだ。」 隣に立つゆうすけ。 ゆうすけ 「こういちが言っていた通り、腕試しもあるな。 いずれここにも来るぜ。」 奥から巻紙になった地図を持参し、テーブルにそれを広げる師範。 師範 「これを見てくれ。 先程報告のあった襲われた村町に印を付けてみた。」 ゆうすけ 「竹林山を中心に放射状に手をつけている。」 師範 「報告のあっただけなので、これが全てではないと思う。」 ゆうすけ 「こんなに手広く一度に・・・・複数の軍隊がいると見ていい。 恐らく一つの軍が数箇所を攻撃しているだろう。 方面と進軍ルートを想定して束ねると・・・・・」 地図上に指で大きく区切りの円を描くゆうすけ。 ゆうすけ 「一つ、二つ、・・・・ 少なくても、10を超えるに近い軍隊数が動いているようだ。 抵抗したとしても多勢に無勢、掛かる時間は移動時間くらいだろうから。 問題は、一つの隊にどのくらいの人数を揃えているか・・・・ そしてどんな戦力か・・・・ってことだ。」 館長 「人数と戦力・・・全くの謎じゃな・・・・。」 ゆうすけ 「放射状に進軍しているってことは、真っ直ぐここ大少林寺を目指しているって 訳でもなさそうだし。 表面上はね。」 師範 「表面上は・・・?」 ゆうすけ 「えぇ、聞くと忍者みたいな集まりの軍でしょ。 私が指揮していたら、何も考えなくても別動部隊を目の上のたんこぶに向けますね。 派手に写るところを陽動と見せてね。」 師範 「 ・・・・ 」 ゆうすけ 「これだけじゃこんな程度しか分らないですよ。 まずどんな連中で、どんな武器で・・・とか、知らなきゃ策の立てようがありません。 今後襲われるであろう村町も守らなきゃいけないでしょうし。 こういち一人では広範囲すぎて、さすがに全部は無理です・・・・。」 こういち 「まぁ広ろすぎら。。。」 師範 「ゆうすけ君、頼みがある。」 ゆうすけ 「なんですか? 改まって。」 師範 「うむ、 我ら大少林寺の取るべき行動、部隊の動き、これらの作戦参謀になってはもらえんかな。 私もずっとここで指揮を取っている訳にもいくまい。 先陣に向かわねばならぬと思う。 どうかな。」 こういち 「うん、大賛成♪」 ゆうすけ 「まぁ戦いに行くよりはお役に立てるとは思いますが・・・。」 館長 「そうじゃの、ゆうすけ君にお願いしようかの。 頼みましたぞ。」 ゆうすけ 「大役ですね・・・・。 分りました、及ばずながら精一杯奮闘してみます。」 師範 「有り難い。」 ゆうすけ 「早速ですが準備に掛からないと。 まず、足の速いチュンホーに買い物に行ってきてもらいます。 品物は。。。」 手元にあった紙にスラスラと字を書くゆうすけ。 ゆうすけ 「これで良しっと。 師範様、二人で行かせて下さい。 時間がありません、最速で往復、可能な範囲で急がせて下さい。 出歩く部隊やここ本部との連絡手段です。 乾電池式の携帯用無線機です。 予算は概ねこのくらいです。」 師範 「わかった。 直ぐに手配させよう。」 ゆうすけ 「お願いします。 次に館長様、報告をして頂いた巡礼者のみなさんは今どこに?」 館長 「奥の部屋で休んで頂いているが。」 ゆうすけ 「よかった。 もう少し情報を集めたいので、接見しても構いませんか?」 館長 「無論構わんよ。 案内しよう。」 ゆうすけ 「ありがとうございます。」 席を立ち、館長の案内で後に続くゆうすけとこういちであった。 ~~ ~~ ~~ そのころ、ブルーガー率いる調査隊の面々は、テイ・チョンミンの勧めで、移動途中にある チョンミンの住む村に停留していた。 帰路的には少し大回りとなるが、竹林山と生産工場のおよそ中間に位置している。 周りは既に紅葉が始まった木々で埋め尽くされた森に囲まれ、涼しげな山風が吹き降ろし てくる。冬はカラっ風に成りそうだが、この時季は森林浴を従えてやさしくほほを撫でて ゆく。昨晩から村民より心温まる持て成しを受け、村の中央の広場にて、調査隊は笑顔で 朝食を取っていた。 チョウ・ギョッキ 「チョンミンのお陰で旅の疲れが癒されるよ。」 グ・リョクコウ 「有り難や。。。」 ブルーガー 「改めて礼を申すぞ。」 テイ・チョンミン 「よしとくれよ、照れくさいじゃないか。 うちの村は、みんな家族同然に接しているからな。 昔からこんな感じさ。」 チョンミン母 「チョンミンがお世話になりますだ。 チョンミンの母です。 ささ、召し上がって下され。。。」 摘んできたばかりの山菜のゴマタレあえを山盛りにしたお皿を差し出す母。 チョンミン母 「昔からこの子は跳ね返り者でさ。 村に居る日が少なく、いっつもどこかでフラフラしてて。」 テイ・チョンミン 「よせよオカァ・・・・」 チョンミン母 「なんのご縁か、こうしてまた笑顔で娘に会えるとは。」 チョウ・ギョッキ 「チョンミンは不良少女だったのか・・・・」 テイ・チョンミン 「うるさいっ! 昔の話だ。」 グ・リョクコウ 「チョンミンはクラウス様に連れられて着ておったな、確か。 わしはザウバー様に拾われたんだが。」 テイ・チョンミン 「あぁ、町で遊んでいるときにな。 あたいをナンパするなんて上等なやつだなって最初は思ったよ。 よそ者のくせにって。」 チョンミン母 「それがみなさんとの出会いの始まりだったんだね。 どうぞゆっくりとしていってくんないね。」 そう言うと、もっそりと立ち上がり、家に向かって歩き出した母。 ブルーガー 「やさしそうなお母さんじゃないか。」 テイ・チョンミン 「いつもあたいを心配してたね。 子供のころはうっとうしくて・・・。 ついつい家に居たくなくなってな。」 チョウ・ギョッキ 「で、不良少女の出来上がりって訳だ。」 テイ・チョンミン 「うっさいねっ! 今は違うだろうが!」 その時、 シュ→→→ ドス! 『うっ・・・』 バタン 突然倒れたチョンミンの母。 (お、オカァっ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時14分00秒
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