カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
~ ~ クンナ 「あいてててて・・・・・」 利江 「もうちょっとよ、がまんしてね。」 イスに座り、利江に背を向けて治療を受けているクンナ。 かなり痛そうな顔をして耐えていた。 利江 「キズは深いところで1cm くらい、首の下から脇の下近くまで切れてたわ。 肩甲骨があったから、深くならなくて済んだみたい。」 利江が行っていたのは傷口を縫い合わせる作業だった。 スンチャ 「利江ちゃんは手つきがいいね。 まるでお医者さんみたいだ。」 利江 「子供のころからケガが多くて・・・・ それで、お医者さんは無理だから、看護婦さんになろうかなって夢見てたの。 色々な本を読んだわ。 こんな実戦なんてほとんどないけど (^ ^;;; 」 チュウラン 「うまい人に縫ってもらう、それいい。 チュウラン、自分でやった。 うまくいかなかった・・・・。」 利江 「その腕の傷、自分で処置したんですか !? 」 チュウラン 「大丈夫と強がって・・・・処置受けなかった・・・・。」 利江 「ちょっとしみるわよーー♪」 オキシドールを染込ませた脱脂綿で、縫ったキズ口の上をちょんちょんと触れる利江。 クンナ 「ウギャャャャーーーっ!」 建物を揺るがさんばかりにデカイ声で叫ぶクンナ。 利江はお構い無しに作業を続ける。 そしてガーゼに軟膏を塗って貼り付ける。 テープを手際よく貼り付け、 利江 「はい、おわり♪」 クンナは歯を食いしばり、顔を真っ赤にして痛みをこらえている。 利江 「一週間は無理しちゃダメよ。 傷口開いちゃうから。」 クンナ 「くぅ・・・・・・・。 あ、ありがとう・・・・。 一週間もか・・・・。」 利江 「そっ。 傷口が再び開いちゃうと、次は付きづらくなりますからね。 そしたら、その開いた傷口に、唐辛子を入れちゃうんだから。」 クンナ 「わ、分りましたっ !! 無理しないで治療に専念しまーーすっ!」 利江 「よろしい。」 クンナ 「ふう・・・・」 スンチャ 「あはは、そのため息が全てを物語っているね。」 クンナ 「笑い事じゃねーぜ・・・・。」 辺りは真っ暗。 みな夜食も終え、夜を思い思いに過ごす時間。 そこへ、 チーラン 「クンナっ! 大丈夫かっ!」 走りこんできたチーラン、そして、 スウラン 「切られたって? 胴体、繋がってるか?」 と二人が心配してやってきた。 クンナ 「見ての通りさ・・・・。」 チーラン 「おぉ、生きてて、よかった。」 スウラン 「ちゃんとくっ付いてるな、胴体・・・。」 スンチャ 「なんだなんだ、冷やかしにきたのかおまえら。」 チーラン 「ちがうっ! 生きてるか見に来たんだっ!」 スウラン 「チーラン、違う。 心配して来た・・・だ。」 チーラン 「そうだ・・・・。」 クンナ 「ありがとよ。 ただ、あまり笑わすな。 キズが痛むよ。」 チュウラン 「まっ、大したことない。 よかった。」 さらにそこへ、 ゆうすけ 「おーーい、みんなーー。 新しい情報が入ったぞーー。」 ゆうすけと師範がその部屋に入ってきた。 ゆうすけ 「よぉクンナ、大丈夫か?」 クンナ 「あぁ。」 師範 「元気そうだな、よかった。」 南ちゃん 「で、新しい情報ってやつは?」 ゆうすけ 「そうそう、それなんだけど、 大竹林寺の侵攻、ちょっと様変わりしてきたようだ。」 チーラン 「様変わり?」 ゆうすけ 「あぁ、竹林山の西側と南側の侵攻がピタッと止まったみたいなんだ。」 スンチャ 「止まったって・・・どういうことだ?」 ゆうすけ 「うん、考えるにその方面で何かあったんじゃなくて、他で何かの障害に出遭ったんだ と思う。つまり、戦力を束ねてそこにぶつけるためさ。西側と南側の軍団は他の軍団 と合流するために方向を変えたと見ていい。」 スウラン 「合流、それ、北と東にか?」 ゆうすけ 「今日のあの町での出来事では動きが早すぎる。 それに・・・」 以前、師範が広げた地図を再び師範から受け取り広げながら、 ゆうすけ 「前に異人に襲われたっていう町が・・・・ここと、ここと、、この辺り。 でさ、円弧になったでしょ。 この中心付近のこの辺りにあの組織の工場があると推定できる。 すると・・・・」 チュウラン 「北東、竹林山からは北東になる。」 ゆうすけ 「うん、そう。」 クンナ 「もしかして・・・・」 ゆうすけ 「謎の組織と、大竹林寺の部隊がそこでぶつかった。 被害が大きかったから、仲間を集めている・・・・。 こんな感じかな。」 師範 「つまり、手は組んでいなかったということになる。」 スンチャ 「その工場って辺りから、南東へかなり進んだところがここ大少林寺だ。」 ゆうすけ 「うん。 普通に考えたら、その拠点を叩いた足で、目の上のたんこぶのここを襲う。 とっても合理的だよね。」 スンチャ 「まさにそれだっ! そこの次がここって訳だっ!」 ポカっ ゆうすけ 「だからピンポイントなのっ! それは普通中の普通の話っ!」 スンチャ 「いっつつ・・・・」 チーラン 「普通、違う・・・・どう?」 ゆうすけ 「恐らくやつらはこっちの情報網のことを知っている。 だから、そんな動きがこっちの耳に入るのは分るはずだ。 そこでひと捻り。 我々がその順番で襲うと思ってくれているのなら、奇襲攻撃が有効となる。 と、相手が考えていたら・・・・。」 チュウラン 「情報の入った今、チャンス。」 ゆうすけ 「うん。」 スンチャ 「今晩にでも、来るか !? 」 ゆうすけ 「まぁ否定はしないけど。 ところがおれは、さらに先を読んじゃうのよ。。。にひひ。。。 あのね・・・・・」 ゆうすけの弁論を、みんなうなづくように聞いていた。 (何があっても今日はダメですからね) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月09日 10時42分02秒
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