カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
~ ~ 普通なら誰もが寝静まっている深夜。 大きな門が閉ざされた大少林寺の第一門から後方第二門の前に師範、そしてスウランが 立ち構えていた。 師範 ( ゆうすけ:恐らく侵攻速度からして、別働隊は今夜辺り襲う可能性が高いです。 まず相手の最初の突撃人数が大事です。 ここで大人数を揃えてきていたら本格的な攻撃ですので、こちらも総員で 迎え撃つ必要があります。 こちらを作戦[A]としましょう。 もし・・・・ ) ゆうすけの作戦を思い浮かべていた師範。 隣に立つスウランも同様に思い出していた。 まだ日付変更時間前。 作戦[A]に備え、他の上級者であるチュウラン、スンチャ、 チーラン達は自部屋にて待機している。 そして他の武僧達も師範の後方、第二門の後ろに20人が待ち構えている以外は同じく 自部屋にて息を潜めて待機していた。 クンナだけが利江の監視の下、医療室のベッドで軟禁されていた。 利江 「何があっても今日はダメですからね。」 クンナ 「くそ、こんな大事な時に・・・・」 でも万が一、一大事になったら・・・その時は行かせてもらいます。」 利江 「ゆうすけ君は、今日はしっかりと休むチャンスだよって言ってたわ。」 クンナ 「しかし・・・」 利江 「いよいよとなったら・・・・その時は仕方有りません。 でも、大竹林寺のその多くの戦力は戦闘員製造工場に集結しているようですから、 ここは一大事にはならないだろうと。 その後の本格的な戦闘になったらケガ人も増えることでしょうから、クンナさんは先に 治してしまって、次の戦力に加わることを心がけて下さい。」 クンナ 「わ、わかりました・・・・。」 その時、利江の横でうつ伏せで寝ていたタロが、急にムクっと起き上がり、 『 GARRRRRRRRRRRU 』 と正門の方向をにらみ、唸り始めた! 第一門後方、第二門前の師範の目には、門横の高い塀の上部に左右横一列に次々と人影が 飛び乗り、現れる姿が映った。 その数、ざっと30人余りだろうか。 塀の最上部から次々とこちら側に着地する人影達・・・・。 スタ、 スタ、スタ スタスタスタ、 スタ、 スタ、・・・・・ 師範 「武僧、掛かれっ!」 抜群のタイミングで師範から号令が出たっ! その掛け声と共に、第二門に控えていた武僧達が、木棒片手に一斉に飛び出してきたっ! 師範 ( ゆうすけ:塀を乗り越えてきたらもうこちらの敷地です。 そしたらこちらも動いていいでしょう。 相手を打ち込んでも、『夜間の練習をしていて誤って打ち付けた。』で 相手が言い掛かりをつけても筋を通せます。 塀を乗り越えた時点で住居不法侵入で非は相手にあります。 ) 『 ハーーイっ! ハイ! ハイっ! ハーーっ! 』 夜襲で相手に奇襲をかけたつもりだった人影達。 逆に奇襲を受けてしまったのだった。 その人影達、 見た目は古びて薄汚れた布でできた衣服を身にまとい、足は作業性を良く する為か包帯のような布で足首上から膝下まで巻かれていた姿が月明かりではっきりと 見えた。 両手に短刀を持ち、大少林寺の武僧達の打ち込みを受けたり交わしたりと戦いが始まった。 巧みに短刀を操り、そして俊敏な身の交わし。 人影達は中々の使い手である。 だが、大少林寺の武僧達もどうして。 その操る木棒を駆使して、しっかりと応戦。 『 ハイ! ハイっ! ハイっ! 』 キーン バシっ さっ ザっ キーン バシっ スウランは腰にぶら下げた左右双方の剣を手にせず、無手で第二門の階段最上段から 飛び降り、目前の戦いに参戦したっ! 『ハーーイっ ハイハイハイ、 ハーーイっ!』 バシっ ドスっ! 人影の振り回す短刀を、それを持つ手、相手の膝、腿(もも)などに打撃を加えて受け、 身をひるがえしては打撃を与え、剣など無用とばかりに次々と人影を倒していく。 ガシっ バシバシ ドスっ! 全体の戦況を観察していた師範、 師範 「 作戦[B]だっ! 」 突然叫んだっ! すると、第二門後方に控えていた伝令が、建屋に走りこんで行った。 伝令者 「作戦[B]です! 作戦は[B]でーす!」 と、館内を叫びながら走り回った。 『作戦は[B]でーす!』 チュウラン 「[B]か、よし。」 チーラン 「[B]。」 スンチャ 「[B]だな。。。」 『作戦は[B]でーす!』 利江 「ほら、[B]ですってよ♪」 クンナ 「[B]か。」 利江 「はい、安心してお休みなさいね。」 なんと、作戦[B]を聞いた控えていた武僧達は、一斉に布団を被って寝てしまった のだった。 第一門と第二門の間のスペースを見渡せる位置にやぐらを組んだその上に、ゆうすけがいた。 ゆうすけ 「やはりこりゃ[B]だろうな。 相手の戦力が少な過ぎる。」 そこへ、敷地境界線をグルリと見回ってきた南ちゃんが到着。 サッ 南ちゃん 「敷地境界線付近、他には居ない。 ここだけだ。」 ゆうすけ 「うん、次のやつらの動きで決まりだ。」 戦いが繰り広げられている二人の眼下では、新たな動きがあった。 第二門前、最上段に立つ師範の階段下に、一人の人影が立った。 ??? 「おれは大竹林寺、[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)という。 人呼んで闇夜のウルフたぁおれのことだ。 大少林寺よ、今宵は我ら大竹林寺が大少林寺に対し、戦線布告にきた。」 師範 「戦線布告とな。 なぜ約を違え、我らを襲う。」 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)(???改め) 「それを応える立場には無いんでね。 ただの伝言係りだ。」 師範 「ただの伝言で、なぜ戦闘になる。」 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「体が動いちまうのさ。 口だけでなくな。 それに奇襲を受けたのであれば戦いになって当然だろうが。 戦線布告はした。 問題はなかろ~に。 じゃ、伝えたぜ。」 なぜかニンマリとした[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)、師範と合わせていた視線を 後方の戦闘していた人影達に向け、 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「よし、引けっ!」 立ち回っていた人影達が、その一言で一斉に壁を越え、退散していったのだっ! そして最後に、[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)も素早く退散したのだった。 あっさりと隊をその場から退いた[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)。 ゆうすけ 「なっ (^_-)-☆ 」 南ちゃん 「本当だ・・・・」 師範 「けが人を確認しろ!」 スウランも立ち去る人影を追わず、広場の戦況を確認していた。 武僧 「キリ傷4名、他スリ傷、打撲数名、全員軽傷で無事です。」 師範 「よし、一休みしていろ。 2時までは我々の当番だからな。」 『はいっ』 (それは私のセリフでもある) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時23分03秒
コメント(0) | コメントを書く
[第三章 188 ~ 240 話] カテゴリの最新記事
|
|