カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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そしてそれから1時間後・・・・ 彼らは、再び現れたっ! [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「行けーーっ!」 次々と塀を乗り越えて中に入ってくる月軍兵。 先程同様にとても身軽でバク転をしながら進む者も。 『おーりゃー』 『行くぜっ!』 シュシュっ サッサっ 第二門後方から現れる武僧達、再び応戦する。 『 ハイ! ハイっ! ハイっ! 』 キーン バシっ さっ ザっ キーン バシっ この様子を櫓(やぐら)の上から見つめる二人。 南ちゃん 「なんで倒さなくていいの・・・?」 ゆうすけ 「ヘタに倒してしまうと、こちらにも増員の兵を向けられてしまうからな。 それに、やつらの最初の攻撃を見たろ。 あいつらも本気で立ち向かって きてない。 作戦通りってことさ。 お互いね。」 南ちゃん 「なるほどね・・・。」 ゆうすけ 「さて、1時間後にこうしてやつらがまた来たってことは、狙い通り。 即ち、こういち、お前にも動いてもらわなくちゃな。」 南ちゃん 「分った。 朝・・・でいいんだよね?」 ゆうすけ 「双方の体制が整う前にね。 それも夜が明ける前にだ。」 南ちゃん 「おっけ~☆」 二人の眼下では、これまた再び師範と曹 富夜(そう フウヤ)が対じしていた。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「なんだ、またあんたか。 ごくろうなこった。」 師範 「それは私のセリフでもある。」 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「ふ、 暇そうだな。 おれが相手してやってもいいぜ、大少林拳 師範 秦 岱明(しん たいめい)さん。」 師範 「ほぅ、私の名を知った上で立会いを望むとは。」 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「まぁな。 総本山対極試合、大少林寺代表者。 ちょいと腕試ししてみてぇじゃねーか。」 師範 「よかろう。 相手をしてやる。」 ハーっ 木棒をしっかりと握り、最上段の階段から、身をひるがえして曹 富夜(そう フウヤ)の 前に着地する師範 秦 岱明(しん たいめい)。 月軍を無手で相手にしていたスウランが二人の様子をチラっと見た。 左右2本の短剣を腰後ろから引き抜き、クルクルと手で回す曹 富夜(そう フウヤ)、 両刃の剣で中央縦に山なりになった形をしている。 それが月明かりを反射させ、 剣の回るところでキラキラと光を放っていた。 横に後ろ足で移動したり、体を入れ替えて横に前に進むようにと間合いを取る曹 富夜。 師範 秦 岱明は、木棒をクルクル上段、腰と振り回しながら間合いを取る。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「行くぜ、師範っ!」 前に出る曹 富夜(そう フウヤ)、腕を上げ頭上でキラキラと剣を回して襲い掛か るっ! カーーン キーーン 師範が木棒で当てて避けた位置はなんと師範の膝下っ! キラキラと光る位置からははるか遠いところで受けていた。 キーーン キーーン カン キーーン キン キーン カンカン キンキーーン 曹 富夜(そう フウヤ)の素早い動き、そしてそれをしっかりと受けきる師範の姿。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「やはりやるなぁ。 みんな受けちまうのかよ、大したもんだ。 だが、まだまだ序の口、いくぜ~っ! 月光、乱れ打ちっ!」 素早い足運びで師範の周りを回り始めた曹 富夜(そう フウヤ)、 師範 秦 岱明(しん たいめい)は身体を斜に構え、前後左右と目でその動きを追う。 シャキーーン シャキーーン 曹 富夜の手にした両刃の剣を横に向け、そして何かを巻きつけてある腕、その手の甲から、 真っ直ぐに伸びる短剣が現れた! そして、 『テェヤーーっ!』 突然周りを回る動きから、鋭角に切りつける動きが混ざり、外周の円の中をジクザグに 動く曹 富夜(そう フウヤ)。 師範を後ろから前から、そして横からと幾重にも切りつけたっ! キン キンキン カン キン キンキーンっ 師範は、立ち位置にて曹 富夜(そう フウヤ)の動きに合わせて回転を始め、 曹 富夜(そう フウヤ)の向かってくる攻撃を、一つずつ丁寧に棒先で受けていたっ! キンキンキン カン キンキン キン キンキーンっ キン キンキン カン キンキン カン キンキーンっ キンキンキン カカン キンキン カンカン キンキーンっ [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「くっ、おれの動きに付いてくるのか。 なら、これでどうだっ! 月光、光臨の刃っ! 」 高速の動きから一転、急に立ち止まると腕を頭上でクロスさせた! すると、目を覆うような激しい光が辺りを襲った! 師範 「むっ、目潰しだっ!」 腕を上げて光から目を守る師範。 その腕の下、先程立ち止まっていた位置には既に曹 富夜(そう フウヤ)が居ないことを 悟る師範。 そして目を瞑り、木棒の三等分にした辺りを両手で持った。 ジャリン、ジャリン [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「食らえーーーっ!」 キン キンっ ドスドスっ! 師範、なんと声のした方とは逆の横に身体を向け、曹 富夜(そう フウヤ)の左右4本の 剣を握る拳のところを左右の棍先で受けた後、そのまま右横からの蹴りを連続でお見舞い していたっ! 飛ばされる曹 富夜(そう フウヤ)の体っ! 『うぉぉぉぉっ!』 ==彡彡ドサっ彡 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「な、なんてことだ・・・・。 こいつも受けて尚も蹴りを打ち込んでくるとは・・・・」 師範の頬に一筋の赤い線が入り、続いて鮮血が頬を伝った。 目は瞑ったまま、木棒を三節棍に変化させていた。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「見えて・・・・見えていなかったはず・・・・・」 師範 「目だけが相手の位置を知るアイテムではない。 耳からくる音、気配、[気]の位置、他にも張りめぐらしているものはある。」 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「くそ、得意な夜でも苦戦か・・・・。」 そして、 『よし、引き上げるぞっ!』 掛け声とともに広場で戦っていた月軍が、再びサーーっと引き上げていった。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「さすがは 『総本山対極試合』 出場者、少林拳 師範 秦 岱明(しん たいめい)、 たっぷりと楽しませてもらったよ。だが続きはまた今度だ。 じゃ~なっ!」 シャキン シャキン 拳の上から出していた剣を収めると、広場の様子を確認した後、塀を超えて退散して いったのだった。 スウラン 「師範。」 師範 「大丈夫だ。 けが人を確認しろ!」 そしてさらに1時間後、三度大竹林寺の月軍が同等の人数で襲ってきた。 その中に[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)の姿はなかった。 月軍は、数分間の戦いの末、再び引き上げたのだった。 (こらそこ! なにニタニタする) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時23分49秒
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