カテゴリ:第三章 241 ~ 300 話
『まだまだぁだぁ~!』 一歩、二歩と後退しながらザウバーの正拳、ローキックを交わし、正面のパンチは受け流す 師範。 だが・・・ 『 うーーりゃっ 』 突然スピードのある蹴りが師範を襲ったっ! ズコーーン 『ぬぉっ!』 蹴りを三節棍で受けてはいたものの、その三節棍ごと打ち砕き、師範の体が見事に飛ばさ れたっ! それにも動じず、スンチャ、スウラン、チュウランは続けてザウバーに打ちに行くっ! その時、 ??? 「そこまでだっ! アルヨ。」 三人がまさに打ち込む・・・というよりは、既にザウバーが三人を蹴りに行きかけたその時 だった。 第二門の前に、金と赤の羽織物を着た小さい坊さんが押しつぶした声で叫んだ。 小さい坊さん 「そこまでアルヨ。」 一同が、金と赤の羽織物を着た小さい坊さんに注目した。 頭はレゲエ風で白いひげを生やした姿はまさにナンチャン匠人である。 受け流して命に別状はなさそうだが、苦しそうにして立ち上がれない師範。 師範 「く・・・、肋骨を逝ったか・・・・」 動きを止め、小さい坊さんを見つめるチュウラン、スンチャ、それにチーランとスウラン。 そして・・・・ ザウバー 「おぉ、チビ匠人、待ってたぜ。」 蹴りに行く動作を止めたまま話すザウバー。 その足を戻してから、 ザウバー 「今日はおまえとやりたくてな。わざわざ足を運んだって訳よ。 てっきり逃げちまったかと思ったぜ。」 スウラン ( !? ゆうすけ・・・? ) 小さい坊さんをじっくりと観察して、チュウラン、チーランと顔を合わせるスウラン。 唇の動きがみな一緒だった。 館長も横で驚きながらも、その場をゆうすけ扮する小さい坊さんに任せたようだ。 小さい坊さん(ゆうすけ) ( ま、間に合ってよかった・・・・。師範と言えどザウバー相手には・・・ ) 「私、なぜ逃げるアルカ。 まずみんな、その場から退くアルネ。 ザウバーとやら、私に何回向かってきても無理ある。修行の度合いが異なるアルヨ。 さっさと引き上げるヨロシイ。」 ザウバー 「ばかな、末席よりも上段者である師範 秦 岱明(しん たいめい)がこの様だ。 おまえごとき倒すのはわけないわい。 今日は貴様を倒すっ! 引き上げる訳にはいかないぜ。」 小さい坊さん(ゆうすけ) 「今日の師範、お腹壊している・・・、力入らないアルヨ。」 師範 ( わ、私は、げ、腹痛中なのか・・・^ ^||| ) 小さい坊さん(ゆうすけ) 「日が悪かっただけね。」 最後となる師範を、スンチャとチュウランが肩に担いで第二門前に引き上げたのを見て、 小さい坊さん(ゆうすけ) 「ザウバーとやらよ、今日のところは引き上げろ アル。 先程まで我々と戦っていた大竹林寺の[月光軍]、その仲間が今どこに向かっているか 知っているか? 異人を製作している工場に進軍しているはず アル。 戻って加勢した方がいいんじゃないかアルヨ。」 ザウバー 「なにっ! きさま、何故 戦闘員の工場のことを知っている!」 小さい坊さん(ゆうすけ) 「御仏は何もかもお見通しじゃ。」 ザウバー 「工場が襲われる? そういや一度襲ってきてたな。 だが、やつらに寝首をかかれるおれ達じゃねぇよ。 それに、おれはおれの道を突き進 むことを信念としている。 戦闘員の誰が死のうと関係ねぇのさ。」 小さい坊さん(ゆうすけ) ( く・・・・、こいつ、やはり戦闘員の組織に服従してない。 弟のゾルダが言っていた通りだ・・・・。 ) ザウバー 「よう、チビ匠人さんよ。 ごたくはそれくらいにしとけや。 ひとつずつ邪魔者を整理するだけ。 その今日の信念は、おまえをぶっ倒すことよっ!」 『 いくぜーーーっ! うぉぉぉぉぉっ! 』 シビレを切らしたザウバー、一直線に小さい坊さん(ゆうすけ)に向かって突進してきたっ! 小さい坊さん(ゆうすけ) 「クンナっ!」 叫んだのとほぼ同時に地面の土が、突然横一文字に溝の様に沈んだっ! ┓┓┓ ズボボボボっ! ┏┏┏ 突進してきたザウバーをものの見事に足元から飲み込んだっ! ザウバー 「うぉっ!」 土砂に巻かれながら落ちていくザウバー。 その様子を第二門の後方に非難していた師範、チュウラン達が見守る。 小さい坊さん(ゆうすけ)は右手を高く上げて、飲み込まれたザウバーを目で追っている。 小さい坊さん(ゆうすけ) 「今だっっ!」 振り上げていた右手を勢い良く下ろす小さい坊さん(ゆうすけ)。 土砂の落ち込みが一段落したころ、その溝からザウバーが飛び出してきたっ! ズボっ とそのとき、横から太い丸太が宙を舞って次々とザウバーに向かって飛来したっ! ザウバー 「こんなことでこのザウバー様が・・・・」 ==ズコーーン★ 頭に一撃をくらったザウバー、横に飛ばされそこでも、 ズコーーン★== 飛ばされた場所に次々と向かってくる丸太。 ==ズコーーン★ ズコーーン☆★== ==ズコーーン★☆★ 彡ドサ 地面に飛ばされ這い蹲るザウバー。 スウラン 「ゆうすけ、すごいっ!」 小さい坊さん(ゆうすけ) 「だがこのトラップ、 元々スペック戦闘員用に造ったものではない。 こんなことではザウバーは・・・・」 困ったことに、ゆうすけの予想を超える出来事が次々と起こり始めていた。 大少林寺の敷地裏側では、[月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ)がザウバーの襲撃に気を取 られている大少林寺の修行僧達の裏をかき、敷地に忍び込んでいたのだった。 [月軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「今のうちに、敵城視察だ。」 各房はもぬけの殻。 廊下にもひとっこ一人、人の姿は無い。 外壁を中心に素早くあちらこちらを偵察している。 そしてこちらも・・・・。 食事を取るスペースの奥、キッチンの片隅に身を潜めて隠れていた利江。 その横にタロの姿も。 利江 「表では今どうなっているのかしら・・・・」 手を添えて耳を澄まし、音で状況を確認している利江。 その時、タロがスッと立ち上がり、食堂前の広場に体の向きを変え、その地点をキリっと にらみながら、 『 GARRRRRRRRRRRRU… 』 小さく唸り始めた。 利江 「どうしたの? タロ。」 タロはじっと広場を見据えて小さく唸ったままだ。 そこへっ ササササっ 小走りに走りこんできた[月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ)の姿がっ! ふとタロの存在に気づき、足を止めた。 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「なにっ、白虎だと !? 」 タロと目線を合わせる。 タロの唸り声が少し大きくなり始めた。 『GARRRRRRRRU・・・』 お尻を上げ身体は低く構えたタロ、その横から利江が顔を出した。 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「しまった !! 見つかったか !! 」 利江とタロに向き直る[月軍長]曹 富夜(そう フウヤ)。 (紹介するまでもないと思うけど。) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月23日 11時29分23秒
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