カテゴリ:第三章 241 ~ 300 話
大少林寺内の廊下で、 リツコ 「ここが大少林寺かぁ。 初めてだけど、懐かしい気もするわ。」 和恵姉さん 「峨眉拳の修行をしていたから、そこと似てる雰囲気があるんでしょ。」 リツコ 「えぇ。 でもこんなに広くなかったです。」 二人が歩くそこへ、 二十八房長 「これはお懐かしい。」 廊下の横の修行房の広場で、ケガの処置を受けていた房長達の一人が声をかけてきた。 和恵姉さん 「あら、二十八房長、お久しぶりね。」 その声に、各房長達が振り向いた。 『これはこれは。』 『懐かしいかな。』 『カズエ殿。』 二十八房長 「ご無沙汰致しておりまする。お元気そうで何よりでございます。」 和恵姉さん 「房長は元気そうではなさそうだけど・・・・」 二十三房長 「お見苦しい姿をお見せしております・・・。」 和恵姉さん 「相手が戦闘員ではね。 そのくらいのケガで済んだだけでも立派だわ。 こちらはリツコ、峨眉拳の心得があるの。よろしくね。」 リツコ 「リツコです、よろしくお願い致します。」 『かしこまりました。こちらこそ。』 二十八房長 「カズエ殿もお見えになったとあれば、百人力ですな。」 十五房長 「百人どころではありませんぞ。0(ゼロ)がいくつも足りもうさん。」 『そりゃそうじゃの。』 『あははは。』 二十三房長 「それにしてもカズエ殿、とうとう・・・・」 和恵姉さん 「えぇ、青龍が現れたわ。 残念だけど現実として目の前に・・・・。」 二十三房長 「なんとか・・・何卒、よろしくお願い致します。」 和恵姉さん 「出来る限りは尽くします。でもそれを頼むのならこういちだわ。」 目の前からこういちを寝床に付けたクンナが歩いてきた。 和恵姉さん 「ありがとう、クンナ。」 クンナ 「い、いえ、お易い御用です。 あ、カズエさん。 実は・・・・」 和恵姉さん 「なぁに?」 クンナ 「利江さんが・・・・」 和恵姉さん 「利江ちゃんがどうかしたの?」 クンナ 「はい、そのぉ・・・利江さんが大竹林寺の連中にさらわれてしまったんです・・・。」 リツコ 「なんですって !? 」 和恵姉さん 「利江ちゃんが?」 クンナ 「はい、月光軍のやつが忍び込んだ形跡があり、その後行方不明に。 今、スンチャ、チュウラン、他2名が後を追っています。」 和恵姉さん 「そう、なら報告が入ったらすぐに知らせて頂戴。 恐らく行き先は竹林山ね・・・。」 そこへ、ゆうすけが走ってきた。 ゆうすけ 「お~ぃ、スンチャから連絡が入ったぞ!」 クンナ 「どうだって?」 ゆうすけ 「利江ちゃんのこと、スンチャから聞いたよ。 えっとね、白氷山の鍾乳洞にこれから入るって。」 クンナ 「白氷山の鍾乳洞? ずいぶんと遠くまで・・・・。」 ゆうすけ 「大竹林寺の連中にさらわれたんなら、竹林山じゃないのかよ・・・・。」 和恵姉さん 「満月までまだ遠いでしょ。今竹林山に行っても出入り口が無いから。」 リツコ 「竹林山? ってあの魔物の住むって山のこと?」 和恵姉さん 「そっ。その魔物の正体は大竹林寺の持つ軍隊のこと。 そんな噂を流して人を近づけないようにしてたの。 それより白氷山の鍾乳洞かぁ・・・・ あとで館長のところに集合しましょう。」 ゆうすけ 「了解♪」 ~ ~ ~ 師範 「これが地図です。」 館長室の広いテーブルに巻物状の地図を広げる師範。 和恵姉さん 「ここが大少林寺、ここが青龍湖、そしてここが白氷山。 竹林山はここね。」 ゆうすけ 「竹林山から見ると、青龍湖と白氷山は二等辺三角形のような位置にあるんだね。」 館長 「うむ、良いところに気が付きますな。 それぞれに神が祭られておるんじゃよ。 そしてもうひとつ。 この竹林山の裏側にある赤炎山、ここにもの。」 ゆうすけ 「えぇっ! こ、これって・・・・」 和恵姉さん 「そう、神を祭ってある場所を結ぶと、正三角形になるでしょ。」 ゆうすけ 「その中心が竹林山なんだ・・・・。な、なんという・・・・」 リツコ 「なぜ彼らは白氷山の鍾乳洞に向かったのでしょうか。」 ゆうすけ 「そりゃー出入り口の竹林山が今は無い(から)・・・・・ !! もしかして、出入り口が無いための回避なんだから、そこにも大竹林寺に向かう出入り口 があるってことか・・・?」 和恵姉さん 「それしか向かう理由は無いでしょ。」 リツコ 「神の祭られているところに出入り口・・・・」 ゆうすけ 「 !! まてよ、以前こういちと利江ちゃんと青龍湖に行ったとき、祭られている小さい神社に 人間らしきうごくものがそこに入っていったのを見たことがあるっ! なんかこう・・・木の葉っぱみたいのを身体に巻きつけたみたいな…って利江ちゃんが。」 師範 「それが大竹林寺の忍者のような一味だったのかもしれん。」 ゆうすけ 「すべてのつじつまが合いますね。」 和恵姉さん 「今のところの資料をたどると決まりみたいね。」 館長 「さて、これからどうされますかな。」 ゆうすけ 「利江ちゃんを助けに行く。 ・・・だけでは済まないんですよね・・・・。 [三獣神]がいつまた現れるか・・・・これでこういちは束縛される。 そこには殺流の Ryuichi も現れる。 更に、大竹林寺の部隊が、ここ大少林寺を再び襲ってくることも想定しないと。 姉さんとリツコさんが加わってくれたことで戦力は十分なのですが、いつ・どこで 戦闘が起きるか読めないのがいくつかあるので・・・・ 動かす部隊に束縛が出ます。」 リツコ 「こういち君が束縛・・・?」 館長 「左様。 [三獣神]を倒すのがこういち殿の使命。 こういち殿は 陳南家 南流伝承者 なのですから。」 リツコ 「はい、こういち君の事は承知しております。 陳南家 南流の話は峨眉拳を学んでいたころに耳にしていました。 総本山対極試合 の主役であり、勝ち残るとその方と相手をすることになる。 倒せるのは神の域に達することの出来た者だけだと。 お二人の強さ、納得です。 その使命が・・・。」 この国の事情を知るリツコ、こういちの正体は綉榠餡の逮捕時 (Episode 01 第187-2話) に聞かされもしていた。 その本当の使命を聞かされ、その重さに心が同様していた。 そんな中リツコが何かひらめいたような顔でゆうすけを見て話しかけた。 リツコ 「ねぇゆうすけ君、ひとつ提案があるんだけど。」 ゆうすけ 「なんでしょう。」 和恵姉さん 「聞かせて頂戴。」 リツコ 「はい。」 ~ ~ ~ スンチャ 「タロ、頼むぞ。」 薄暗い洞窟の中に足を踏み入れている4人。 タロに先頭を任せ、その後ろを付いていく。 ポタン、ポタンとツララ状に垂れ下がった石を伝い、水滴が体を叩く。 (よく知っているのね) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月06日 16時22分12秒
コメント(0) | コメントを書く
[第三章 241 ~ 300 話] カテゴリの最新記事
|
|