カテゴリ:第三章 241 ~ 300 話
[火軍長]欧陽 康(おうよう こう) 「・・・・という経緯、この後青龍が現れまして、我々は一端非難した次第です。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「ほぉ、世界制覇を目論む一団がか・・・。 どの時代にもそんなヤカラがおるものだ。 だが、我が大竹林寺始まって以来の損傷を被っておる。 放っておく訳にもいくまい。 それに大少林寺も軍を向ける前に邪魔が入ったか。」 [近衛軍副長]トンコウ 「申し訳けございません、私の策が軽率過ぎたようで・・・・」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「いや、その一団の[力]がその策には加味されておらん。無理もない。 今後両方を相手にせねばならん、ここから策を練り直しても遅くはあるまい。」 広間の周りに複数のかがり火が炊かれ、薄暗いながらもチラチラと明かりが灯っていた。 中央やや上座に近衛軍副長を先頭に、後ろに控える7人の軍長たち。 広場中央で報告が行われている前方上座に位置する右斜め前の小スペースには、大きい 水晶玉の前に上座を背にしたマーシャが座り、一緒に報告を聞いていた。 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「マーシャよ、[三獣神]の動向はどうじゃ?」 [神霊巫女]マーシャ 「はい、現れた青龍の[気]は依然保たれた状態。再び地上に現れるのは時間の問題かと。 そして他の二神のうち、一神も活発な動きに変わってきております。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「うむ、皆の者、聞いての通りだ。 今再び永き眠りからさらなる一獣神が目覚めるとのお告げがあった。 このままここで待機しているだけで[三獣神]がこの世を一掃してくれる。 だが、我ら大竹林寺の申し子達は、表の人類が生存しているうちにその持てる[力]を 知らしめんがため、自らの能力を持って表を討伐することにした。 なればこの地に生ける人間、その全てを我らの手で葬り去ろうではないか。 まず手始めはその世界制覇を目論む一団、これらを亡き者にせねばならん。 今までように、簡単には倒すことが出来ん。 皆の力をしっかりと結集させ、今こそ大竹林寺の[力]を見せてやろうではないかっ!」 『 おぉっ! 』 [神霊巫女]マーシャ 「黄龍道(おうりゅうどう)元帥様、私の方からも一つご報告が。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「なんであろう。」 [神霊巫女]マーシャ 「はい、時早いことに、[神霊巫女]である私の跡継ぎが見つかりましてございます。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「ほぅ、それは愛でたい。」 [神霊巫女]マーシャ 「これへ。」 マーシャがやんわりと後方の近衛兵に会釈した。 背筋をピシっとした後、方向転換して奥に消えて行く近衛兵。 そして、利江の両脇を介添 えする二人の近衛兵に連れられて、利江がその広場のマーシャの後ろに案内された。 [神霊巫女]マーシャ 「[神霊巫女]利江にございます。」 一同が注目するマーシャの後方には、いつもの格好で恐る恐る広場を見渡す利江の姿が。 『おぉぉ…』 『まだちっこいなぁ』 『ざわざわ…』 [神霊巫女]マーシャ 「何分にもまだ到着したばかり。 能力を高める装飾品はこれからになりまする。 まずはご報告まで。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「利江とやら、恐れることはない。今日からここがお主の住む場所である。 マーシャに付いてしっかりと学ぶがよい。」 利江 「なぜ・・・・、なぜ世界を討伐しなければならないのですか?」 後ろに待たされている間に、広場での会話を耳にしていた利江。 開口一番、黄龍道(おうりゅうどう)元帥をキリっとにらみ、質問をぶつけたのであった。 [近衛軍副長]トンコウ 「これ、黄龍道(おうりゅうどう)元帥様に口答えするものではないっ!」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「まぁよい。 何分にもまだ到着したばかりと聞く。 これからしっかりと頭に叩き込めばよい。 利江とやら。 活発な人柄とお見受けするがその理由を聞いてどうするのだ?」 利江 「[三獣神]が、どのみち[三獣神]が一掃するんでしょ? ならばそのままそぅっとしといても、いいんじゃないですか? それに、[三獣神]なら、陳南家 南流伝承者が必ず倒してくれます。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「ほぅ~? 面白いことをいう。 陳南家 南流伝承者とな。 お主、大少林寺から入れ知恵されておるな? なれば聞かせてやろう。 我々は陳南家 南流伝承者など眼中にないわ。たかが拳法にたけてるだけで[三獣神]を 倒せるとははなはだ可笑しいわい。 [三獣神]を倒す者とその昔から、大少林寺が大会を開いて世話しているようだな。 だが、そんなちっぽけな能力では蟻一匹が象を相手にするようなもの。 迷信にも程があるというもの。期待しても無駄なことだ。」 『あっはははははは』 (各軍長達から笑いが起き、広場に響き渡った。) 利江 「笑いたければ笑えばいいわ。 [三獣神]も、そしてあなた達も、こういち君にやられちゃうんだからっ!」 [近衛軍副長]トンコウ 「おぃ。」 近衛兵にアゴで合図したトンコウ。 その近衛兵は利江の腹に一撃を加えて気を失なわせ、 両側から抱きかかえて奥へと連れて行ったのであった。 [力軍長]王 極鵬(わん きょくほう) 「元気のいいお嬢さんですな。 そういえば、わしの出た今年の総本山対極試合。 観客席に今のお嬢さんが居たような 気がするわい。」 [土軍長]杜 土俊(と どしゅん) 「連れて来られて間もない[神霊巫女]は皆な最初は反発すると言うぜ。」 [木軍長]仲孫 棟(ちゅうそん れん) 「これ、マーシャ殿の前だぞ。」 [土軍長]杜 土俊(と どしゅん) 「あっ、こりゃ失言でした・・・・。」 [神霊巫女]マーシャ 「 ・・・・ 最初は訳がわからないものだ。察してあげよ。」 [土軍長]杜 土俊(と どしゅん) 「は、はい・・・・。」 [水軍長](とう すいじゅ) 「しかし、私は既に陳南家 南流伝承者に出くわしているかもしれない・・・・。」 [力軍長]王 極鵬(わん きょくほう) 「ほぅ~? それはまた。」 [水軍長](とう すいじゅ) 「拠点にする町を討伐に出向いた時、ある修行僧に見事に邪魔をされてな。 討伐が不成功に終わったことをふと思い出してたところだ。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「うむ、 新しい[神霊巫女]の前ではああ申したが、陳南家 南流伝承者、目の上のたんこぶの 一つには違いない。 王 極鵬に腕試しとして出向いてもらったが、なんとも格が異なっていたそうだな。」 [力軍長]王 極鵬(わん きょくほう) 「とてもじゃないがわしらには倒すことなど敵わぬわい。」 [火軍長]欧陽 康(おうよう こう) 「豪腕の熊と呼ばれる程の王(ワン)が、そこまで言うのは珍しい・・・・」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「そりゃそうだろう。 おれは大少林寺に告知に行ったとき、総本山対極試合の出場者、師範 秦 岱明 (しん たいめい)と一度剣を交えた。 中々の腕前だったよ。 その総本山対極試合の頂点だ、一筋縄ではねじ伏せられまい。」 [空軍長](りゅう くうさい) 「だが、陳南家 南流伝承者は[三獣神]を相手するだろう。その隙に我々は行動できる。」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「陳南家 南流伝承者 は味方ではないと思って行動するがよい。 こやつに関して、面白い手コマがある。まさかこんなに早く使うとは思ってもみなかっ たがな。まぁ楽しみにしておれ。」 [近衛軍副長]トンコウ 「なれば、陳南家 南流伝承者は黄龍道様にお任せし、我らは放っておいてもよかろう。 問題は目的を同様に持つ世界制覇を目論む一団、真っ向から激突する。」 [力軍長]王 極鵬(わん きょくほう) 「やるしかあるまい。 どの道、地上界は[三獣神]で壊滅、生存者も我らが残りの最後まで全滅するのだ。 どこの誰なんか関係ねーよ。 立ちふさがる者は全てだ。」 [近衛軍副長]トンコウ 「うむ、その通りだ。 何分にも敵の兵隊の数は減らしたようだが、大将格の腕前が凄い らしい。戦力をしっかりと集中して望むように。」 『ははっ!』 そのころ、白氷山の鍾乳洞では・・・・ 黒鼠 一(イークン) 「さすがに鍾乳洞ってのは肌寒い場所ですね・・・。」 黒鼠 三(サンクン) 「狭いしそれに入り組んでいる。迷子になるなよ。」 戦闘員達を率いるザウバー、クラウス達の隊が、ぞろぞろと長い列を成して鍾乳洞を進んで いた。 (俺達の力を過信しすぎてねーか) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月04日 13時29分53秒
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