カテゴリ:第三章 241 ~ 300 話
ここは先程までマーシャと供に居た部屋。 近衛兵に運ばれてベッドに横たわっている利江。 利江 「う、う・・・・ん・・・・」 [神霊巫女]マーシャ 「気が付いた?」 ゆっくりと目を開く利江。 [神霊巫女]マーシャ 「黄龍道(おうりゅうどう)元帥様にたて突くから・・・・」 利江 「黄龍道(おうりゅうどう)元帥・・・」 [神霊巫女]マーシャ 「中央前方に座っておられた方です。」 身体を起こしながら、 利江 「あの人が・・・・ここの大将なのですね。」 [神霊巫女]マーシャ 「そう、この大竹林寺の総元帥です。」 利江 「私は・・・・私の考えを述べただけです。間違ったことは口にしていません。」 [神霊巫女]マーシャ 「ここではあの方が絶対なの。 口答えするだけで回りはピリピリ、なのに『やられ ちゃうんだから』なんて言えば即刻退場です。 命があるだけ有りがたく思わないと。」 利江 「でも、討伐という名の元に世界征服を行うなんて、許せる行為ではないです。」 [神霊巫女]マーシャ 「正義感が強いのね。 だけど、あなたはもうここの次期[神霊巫女]なのです。ここのしきたりに従うしかあ りません。それは心得ておいて下さいね。」 利江 「私は、ここのしきたりになんで従うつもりはありま…(せん)・・・・あっ !? 」 突然、利江が胸のペンダントに目を向けた。 [神霊巫女]マーシャ ( えっ !? ) そしてマーシャも大きい水晶玉に目をやる。 すると、その水晶玉とペンダントの[探神霊石] が、アクアブルーの光を放ち淡く、ふわ、ふわっと点滅していた。 利江 「こんどは別のがっ!」 [神霊巫女]マーシャ ( こ、この娘 !! [探神霊石]よりも早く反応している! それも源石球よりも、そして能力を高める 装飾をしているこの私よりも・・・) 「その色は、氷を司る のものです。」 利江 「氷を司る 白虎・・・猛獣のような叫び声でした・・・・。」 [神霊巫女]マーシャ 「目覚めが近づいています。 [水]を司ると[氷]を司る、この二つが同時に目覚める となると、今回は大洪水と氷河期が同時に来ることになります。 言い伝えによると、[三獣神]が同時に複数現れることは過去無かったと聞きます。 今回は複数・・・・まさに全人類が壊滅することでしょう・・・・。」 利江 「そんなこと、そんなことはこういち君が許すはずが無いわ。 きっと、きっとなんとか してくれるはず。」 [神霊巫女]マーシャ 「私に言われても・・・・ そのこういちとは陳南家 南流伝承者のことですね。 私は陳南家 南流伝承者のことは よくは存じ上げません。 ですが、相手は[三獣神]、人間の敵う相手ではありません。 それに勝つかどうかよりも、私達の役目は黄龍道(おうりゅうどう)元帥様に[三獣神] の状態を報告するのが役割です。」 利江 「マーシャさん、お言葉ですけど私はこの[力]を陳南家 南流伝承者のために使わせて もらいます。 世界征服を企む一味に服従も情報提供も、絶対にしませんっ!」 [神霊巫女]マーシャ 「 ・・・・ 利江ちゃん。 あなたは強い意志の持ち主なんですね。 それに、そのこういちという人に何かの熱意 を感じます。 同姓なら友情・信頼、異性なら信頼、または・・・愛・・・でしょうか?」 利江 「えっ・・・ !? 」 [神霊巫女]マーシャ 「どちらにせよ、固い絆で心を繋がれている様に見えるわ。 大事になさいね。」 利江 「あ・・・は、はい・・・・。」 少し照れた様子の利江。 うつむきながら頬が赤く染まるのであった。 ~ ~ ~ そのころ、既に大竹林寺の拠点に侵入した密林の中の4人と一匹は、 スンチャ 「おぃタロ、待ってってば・・・・」 密林を進むペースが落ちないタロに付いていく4人。 徐々に遅れ初めていた。 チーラン 「ずっと走りっ放なし。 さすがに疲れた・・・・。」 チュウラン 「よし、休憩を取ろう。」 スウラン 「タロ、待て!」 スウランの掛け声で振り向くタロ。 4人が後方で立ち止まる姿を見て走る足を止めた。 そして4人の方にゆっくりと戻り始めた。 スンチャ 「タロのやつ、なんでおれの言うことは聞かないんだ? まったく・・・・」 チーラン 「初顔合わせでも警戒されてる。 相性悪い、きっと。」 スウラン 「愛情の問題よ (^ ^ 」 スウランの足元に歩み寄ってきたタロが、突然前方に振り返ったっ! チュウラン 「んっ !? みんな、隠れろっ!」 彡さっ、彡ささっ! 無言で大きな木の幹の後ろ、草むらの中に身を潜めた4人とタロ。 そのまましばらく沈黙が続いた。 しばらくすると、前方から迷彩服姿の木軍兵が木の上を、そして木々の間を火軍兵達、タロ とチュウランだけが地面の下を行く土軍兵の進行も目で追っていた。 そして上空には空を真っ黒に染める程の大群の空軍兵が空を舞い、同一方向を目指していた。 その間、スンチャとチーラン、スウランらはお互いにチラチラと目線を合わせていた。 どのくらいの時が過ぎたのだろう。 次から次へと尽きることのない程の大軍勢がようやく 通り過ぎ、辺りは何事もなかったかのように静けさが戻り、4人の緊張も次第に解けてきていた。 最初に口を開いたのはチュウラン。 チュウラン 「何かが起きた。」 チーラン 「我々、気づかれた?」 スウラン 「違う。 あの大群、我らには大げさ過ぎるある。 だが白氷山鍾乳洞に向かって一直線・・・。」 スンチャ 「確かに俺たちが入ってきた入り口に向かっていたような気がする。 他にもここに入った やつが居るのかもしれない・・・・・」 チュウラン 「たぶん、ザウバー達だ。」 チーラン 「やつら、ここへの入り口、発見した?」 スウラン 「我ら大少林寺は追ってこない。 ならチュウラン推理きっと正しいある。」 スンチャ 「見ての通り、あの大軍勢で迎え撃つ。 ならば恐らく戦闘員達に違い無い。」 チュウラン 「よし、我々は先に進もう。 幸い近くに川も無い。」 スンチャ 「川?」 チュウラン 「水軍の通り道。 それに、力軍も遅れて通過する。注意して進む。」 スンチャ 「よ、よく分るなぁ。」 チーラン 「こういち、クンナからの報告聞いた。」 スンチャ 「そう言えばそんなことを聞かされたような・・・・」 スウラン 「しっかり頭に入れる! 命落とすぞっ!」 スンチャ 「あ、あぁ・・・。」 チュウラン 「よしっ。」 再びタロの後ろから深い密林の中を進む4人であった。 (珍しく慎重だな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年02月28日 15時11分47秒
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