カテゴリ:第三章 301 ~ 363 話
利江 ( お、お父様っ !! ) 目をまん丸にして驚く利江。 [近衛軍長]チュウラン 「総元帥とはいえ、やって良いことと、悪いことがある! それを・・・掛けがえの無い軍兵達を・・・貴様は・・・貴様は・・・」 握り拳を作り、力が入るチュウラン。 [近衛軍副長]トンコウ 「近衛兵が要らぬことをしゃべりましたようで・・・・」 [近衛軍長]チュウラン 「要らぬ事とは何事だっ! 軍長には報告する義務がある。話をした近衛兵は正しい。 トンコウ、貴様も同罪かっ!」 ( 今にも叩き伏せんばかりの勢いで身を乗り出す。 ) [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「まぁまぁ、心を落ち着かせよ。 ふぅ。。。 軍兵達はな、自分達の力を試したかったのだよ。 それに、このまま発散させなければ、そのストレスとうっぷんが、内側に向かない とも限らなかった。 大部隊の長としては、そのハケ口も見つけてやらねばならん。」 [近衛軍長 補佐]チーラン 「だからって・・・・」 [近衛軍長 補佐]スウラン 「やって良いこと、悪いことあるっ!」 [竹林総元帥]黄龍道(おうりゅうどう)元帥 「お前達も私を困らせるのかね・・・・。」 利江 「チュウランさん達は・・・・この黄龍道元帥の娘・・・」 [近衛軍長]チュウラン 「そうだ。我ら姉妹はこいつの娘。」 [近衛軍副長]トンコウ 「軍長殿、今ここで明かしきらなくても・・・・」 [近衛軍長]チュウラン 「利江は[神霊巫女]だ! なら隠し事は無用であるっ!」 [近衛軍副長]トンコウ 「は、はぁ・・・。」 ~ ~ ~ こちらは大少林寺 総本山。 事情を知る大少林寺の口封じも兼ねて、討伐軍として[月光軍]総勢で出向いたのだが、 リツコの後輩に当たる峨眉拳 棲 陽江(す ようこう)を通じて、総本山対極試合の参加者達 が、大少林寺の武僧に混じり、彼らを待ち受けていた。 そして・・・ [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「くそぉっ、煮るなり焼くなり好きにしやがれっ!」 闘技場広場では、[月光軍]の屍(しかばね)の中、両腕、両足を縄で縛られた[月光軍長] 曹 富夜(そう フウヤ)が真ん中に座り込み、その周りを総本山対極試合の参加者達が取り囲 んでいた。 師範 秦 岱明(しん たいめい) 「あんずるな、我々は無益な殺生をするつもりは無い。」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「だが、おれはこいつらの隊長だ! 一人のうのうと生き恥さらせるか!」 北方クンフー 李 チュンスク 「忠義はけっこうなことだ。だが、人としてやっていい事と悪い事がある。」 周りを囲む総本山対極試合の参加者達に割って入る館長。 館長 「さようじゃ。 人の命、自分達の勝手で殺生して良いはずなどない。 たとえどの様な理由が あるにせよじゃ。 恐らくはお主の頭(かしら)である黄龍道元帥にも天罰が下ることじゃろうて。」 そこへ、血相を変えて飛び込んで来たのが、 クンナ 「館長様、た、大変でございますっ」 師範 秦 岱明(しん たいめい) 「どうした、そんなに慌てて・・・・。」 クンナ 「あ、あれをご覧下さいませっ」 門の外を指差すクンナ。 急いで総本山の闘技場から門の外に足を運ぶ面々。 すると、 広州明冥道 候流 侯 玉穂(こう ぎょくすい) 「なんだとっ!」 広東鋼刃道 析 角鷲(せき すいじゅ) 「なんとっ!」 武当拳 玄 高揚(げん こうよう) 「えぇっ !? 」 みんなの視界に飛び込んできたのは、眼下が水没し大きな波打つ大海原のような 景色だったっ! 我流拳 樗 敬雲(ちょ けいうん) 「どうなっているんだ!」 峨眉拳 棲 陽江(す ようこう) 「みんな水没してるアルっ !? 」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「あぁっはっはっはっはっ。 皆死ぬ。 一人残らずこの世から滅亡するんだっ!」 館長 「あの巨大な竜巻は先だっての・・・・青龍が再び現れおったか・・・・。」 広東鋼刃道 析 角鷲(せき すいじゅ) 「あの様子では、下流では末恐ろしい事態に !? 」 峨眉拳 棲 陽江(す ようこう) 「我ら・・・ここに居てよかったと言うことあるか・・・ [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「あはははははは。 もう誰も止められんぞっ!」 師範 秦 岱明(しん たいめい) 「だまれっ!」 ピシっ ( 内側から外へ弾くように手の甲で叩く。 ) [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「くっ・・・・」 館長 「我々には陳南家 南流伝承者殿が付いておる。 この機会じゃ、皆様にお聞かせしよう。 まずあの竜巻の中におる巨大な龍、伝説の[三獣神]のひとつ、[青龍]じゃ。 他に[白虎]、[朱雀]、この名はみなも知ってのとおりじゃと思う。 彼らは数千年に一度この世に現れては、生物体系の取り締まりを行っておる。 ある生物だけ天敵無く育つと、他の種の絶滅が起こる。 結果、微生物に至るほとんどの共存する生物に対しての偏りが起こる他、これに より食物連鎖の変化による地球規模の環境の破壊が始まる。 これを正すのが目的じゃと言われておる。 [三獣神]が現れると、あるときは大洪水、あるときは氷河期、あるときは火山 の噴火などで、その地球環境の脅威となるものの排除を行っておる。」 北方クンフー 李 チュンスク 「ではあの青龍はっ!」 館長 「その中の、まさに大洪水を引き起こす能力の持ち主であろう。 今世紀に現れし[三獣神]の目的、排除されるのは、恐らくは我々人間じゃ。」 みな一様に驚いた表情を見せたが、神妙なおもむきで静かに聴いている。 館長 「現在、多くの国が各種環境破壊に手を染めておる。 人間は過去に無く、地球環境から見れば凶悪な生き物に他ならない。 その凶悪な生物である人間は、四千年より以前、我ら人類をあの[三獣神]から 守れる者を育てなければと始まったのが陳南家 南流と呼ばれる特殊な能力を持つ 人材の育成じゃ。 当初、それに協力した強い部族がおってな。 大少林寺の祖先たちがそれに当たる。 総本山対極試合、その発端がそれじゃよ。 今では皆さんのように人類最強の面々が束になっても敵わぬあの少年。 我らが総本山対極試合にて頂点を目指す相手、その陳南家 南流伝承者殿は何を隠 そう、我々人類を守るため、あの[三獣神]と戦うために生まれてきたのじゃ!」 『なんですとっ!』 広州明冥道 候流(こうりゅう)候 玲訓(こう れいくん) 「あのバケモノを退治するために !? 」 館長 「そうじゃ、彼の祖先は代々、その目的のために鍛えておる。そして今日、その目的 を果たすため、我々人類をあの[獣神]から守るために立ち上がってくれる。」 北方クンフー 李 チュンスク 「人間が・・・・人間があんなバケモノに勝てるのか・・・?」 甲賀忍術 影鬼 「彼もバケモノには違い無い。拳を合わせた我らが何より肌で知っており申す。 しかし、あんなのを相手になど・・・・」 KYiiiiiiiiiiっ! こういちはというと、水面から顔を出す山に移動し、ようやく地に足を付けた。 こういち 「まったく、なんて水量を放出していやがるんだ。 軍隊なんかじゃダメだ、まるで刃が立たない。 早く食い止めないと、町や村がみんな水没してしまう・・・・。 これだけ一面が水浸し(みずびたし)だと、堰き止められる物が何も無い。 ならば・・・・ ならば青龍、お前を倒す以外に手立てが無いってことだっ!」 ドッゴーーン彡彡彡 突如[気]を発したこういち、すると辺りが一変したっ! 顔を出した山々の木々が皆空中へともぎ取られ、宙を舞い出した! また、こういち付近の水面は、巨大な丸い透明の球に押し付けられたように、水面が球状 に凹んでいる。 それも直径200mはあろう大きさだ! そこから巨大な津波が波状的に広がりを見せていたっ! な、なんという巨大な力っ! 青龍の巻き上げる大竜巻の暴風をもその辺りは打ち消されている。 この[気]の発生に、 はこういちに顔を向けた。 そしてこういちは・・・・ こういち 「なんだ、水没しないで済むのか・・・・」 そう、発する[気]が水面を反発するような力になっているので、こういちは空中に浮 いた状態になっていた。 こういち 「泳いで損した・・・・。 そんなことよりも青龍よ、今度は挨拶抜きで行かせてもらうよ。 (キリっと青龍をにらんだ。) まずはこいつでどうだっ! いっけーー、南流 空撃波 !! 」 巨大な[気砲]が青龍に向かって一直線っ! そして青龍を襲うっ! (アニキはうまいもんだ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月19日 14時09分20秒
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