カテゴリ:第四章 4-364 ~ 420 話
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呼び込みのボーイ 「こらこら、勝手に店内に入るな!」 武道団員 「人を探すだけだ。」 呼び込みのボーイ 「そうやって何か理由つけて、おれら門番をかすめるやろうが多いんだよ。 テメーらもその口かぁ? あん?」 武道団員 「おれらの看板見てもまだ同じことが言えんのか?」 呼び込みのボーイ 「看板だぁ~? どこぞやの『族』っけ兄ちゃんかいな。 看板見せりゃすぐにおとなしくなると思っとるチンケ野郎は、どうせ下っ端野郎じゃ。 ( 目線を胸のマークに移す ) ほぉ~、拳法家さんらしいがのぉ~、おれぁ一匹狼でここまできとんじゃいっ! 看板見てもビビらんわ、拳法がなんぼのもんじゃいっ! 腕見せぇやっ!」 武道団員 「悪いな兄ちゃん、そこまで言われて黙って引き下がる訳にはいかなくなった。 全拳 武道団の団長命令は絶対なんでな。 腕づくでと言うのなら仕方ない・・・。」 ボコ、ズコ・・・ 『うぇ・・・』 彡ドスン 武道団員 「おい、店入るぞ。」 あまりの速さに、何もできなかった一匹狼を張っていたというボーイ。 その倒れたボーイの横を、複数の団員が通り過ぎていく姿が・・・。 そしてまたこちらでは、 組員A 「おいこら。」 武道団員 「人探しだ、通してもらおう。」 組員B 「通す訳にはいかねぇなぁ。」 白いスーツの数人が、地下に続く通路を塞いだ。 組員C 「今日のこの店はな、うちの組長の貸切りなんでな、誰も通す訳にはいかねぇのよ。 分ったら帰りな。」 スペック-3戦闘員 キジュロ 「ジュリジュル、へっへっへ、貸切だぁ~? ますます怪しいじゃねぇか。」 数人の団員の後ろから、背中をやや丸くし現れたキジュロ、 組員B 「なんだ? こいつ・・・。」 スペック-3戦闘員 キジュロ 「探させてもらうぜ。」 そのまま組員が立ち塞がる人の壁に向かってのっしのっしと突き進むキジュロ以下武道団 員達。 組員A 「わからねえ野郎だな、ここを通す訳にはいかねぇーんだよっ!」 ズボっ ギジュロのわき腹に拳を一発ぶち込む組員。 だがモノともせず立ち止まり、ギロっとその組員を睨みつけ再び前に向き直り一歩、また 一歩と階段入り口に進みだすキジュロ。 組員A ( こ、こいつ、効かないだと !? ) 組員C 「野郎~、止まらんかっ!」 懐からチャカ(拳銃)を抜き出し、キジュロ目掛けて両手で支えて構えたっ! それを見た他の組員達も、次々と拳銃を抜き出し始めたっ! カシャ カシャ カシャ その様子を再び ギロっ と睨みつけるキジュロ。 スペック-3戦闘員 キジュロ 「そんなもん引っ張り出して・・・。 それで言う事聞かせられるとでも思っているのか~?」 組員C 「誰も通すなと命令を受けている以上、言うことを聞いてもらうぜ。」 スペック-3戦闘員 キジュロ 「やってみろよ・・・。」 組員B 「ただの脅しじゃねぇーんだよっ! 覚悟せぇーーっ!」 バキューーン 一発の銃声が、夜の繁華街の雑音にもみ消されつつこだまする。 だが、次に目にしたのは、既にジャンプしてキジュロの姿の無い場所を空しく通過した 弾丸が壁に突き刺さるのと同時に、横の壁を蹴り側面から組員3人に 斜め数本/// の 痕を残し着地したキジュロ。 その組員3人が次々と切り刻まれた姿で倒れていく姿だった。 ドサ、ドサドサドサ・・・ 『さすがキジュロ様。』 『黙って通してりゃ命までは・・・。』 右肩から斜めに刻まれた上半身、左肩から上しかない頭を鷲づかみにして拾い上げ、 スペック-3戦闘員 キジュロ 「行くぞ。」 『はっ。』 階段に滴り落ちる赤いスジを残しながら地下に消えて行くキジュロ率いる武道団たち。 『きゃーーっ!』 店からの悲鳴も街の騒音にかき消されていた・・・。 ~~~ ~~~ ~~~ 武道団の懸命なる捜査も、早一週間が過ぎていた。 セルフィー 「くそぉ、手掛かりがまるで無しかよ・・・。」 全拳武道団 [本部] 武道団長 スナーグ 「地下にこもられたら、大日本国中のドブさらいでもやらな見つからん。」 セルフィー 「お前の組織力もたいしたこと無いな。」 全拳武道団 [本部] 武道団長 スナーグ 「何もせん貴様よりは一歩ずつ近づいているがな。」 セルフィー 「無駄な労力をただ使えばいいってもんじゃないんだぜ・・・。 シュナイケルのやろう・・・、どこへ連れていきやがったんだ・・・。」 スペック-3戦闘員 キジュロ 「せっかくこういちの線から引っ張り出したってのにな。 まるで振り出しだぜ。」 全拳武道団 [本部] 武道団長 スナーグ 「そのシュナイケルとか言う者が引きずり込む場所の心当たりはないのか?」 セルフィー 「残念だがな・・・。 ヤツは神出鬼没で、ヤサがどこかなんてこっちが聞きたいくらいだ。」 全拳武道団 本部に集結していたこの部屋の片隅に、5色の[マントの男]たちも控えて いた。 その中で、[青マントの男]は胡坐(あぐら)をかいて座り、身体の前で両手で△(三角) の形を作り、目を瞑っていた。 その[青マントの男]が突然目を開けて武道団長スナーグの元に歩み寄ってきた。 そして耳元で何かをつぶやき、再び元の場所に戻って同じポーズを始めた。 [黒マントの男] ( ・・・あいつ、たまに団長に耳打ちしてるが、何を伝えていやがる・・・。 ) もそっと立ち上がった団長スナーグ、 全拳武道団 [本部] 武道団長 スナーグ 「さて今日は[東北支部]にでも合流してみるか。 キジュロ、付いて来い。」 セルフィー 「なぜ東北支部なんだ・・・?」 全拳武道団 [本部] 武道団長 スナーグ 「・・・・ 気分だ。」 怪しいマントをひるがえし、後方の扉に歩き出す。 すると5色の[マントの男]達も一斉に立ち上がり、団長の後を追うように付いていった。 それにキジュロも続いた。 セルフィー ( フン、金魚のフン共が・・・。 ) ~~~ ~~~ ~~~ 魚沼 貴子 「椿君・・・、本当に引き上げてしまうの・・・?」 椿 勇姿 「あぁ。 引き上げ命令が出たんでな。 私としても名残惜しいのだが。」 部屋で荷物をリュックに詰めながら話す椿。 その傍らで悲しそうな顔で留まるように説 得している貴子。 女将 「宿代は請求しませんから、もう少しこちらにいらして頂くわけにはまいりませんか?」 女将も出入り口の襖の脇に正座し、貴子と共に留まるようにお願いしていた。 壁に掛かった振り子時計を目にして椿、 椿 勇姿 「大変お世話になりました。 寛大なるご好意に甘えすぎるほど甘えていた上に、この 先もとなりますと、私の良心も痛みますから。 それにまもなくバスが到着してしま いますので・・・。」 立ち上がり、リュックを背負いながら深々と頭を下げる椿。 女将 「残念ですね・・・。」 魚沼 貴子 「椿君・・・、ナンちゃんにもよろしく伝えて下さい。」 椿 勇姿 「承知しました。 落ち着いたらまたみんなで遊びに伺います。」 とそこへ、柔道部の合宿でその地に来ていた武藤大介が慌てて飛び込んできたっ! -つづく- (きたないやつらじゃ) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月08日 14時02分54秒
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