カテゴリ:第四章 4-364 ~ 420 話
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武藤大介 「椿さーーん! 大変ですばい!」 魚沼 貴子 「あ、あなたは・・・」 椿 勇姿 「どうしたんだ、武藤君。 そんなに慌てて・・・。」 武藤大介 「この間の、胴着にあのマークを付けた連中が・・・」 椿 勇姿 「なに、全拳武道団が?」 武藤大介 「その連中が、この地域一帯で何か人探しをしていると耳にして。 民家や温泉宿に入り込み、くまなく探していると。 今ここに駆けつける時にも、すぐ そこの旅館でやっとったわい。 もしかしたら椿さん、あんたらを探しておるのとちが うかと思って・・・」 魚沼 貴子 「やだ、もう~また何か始めたの? あの連中・・・。」 椿 勇姿 「なるほど、だがそれは私を探すのが目的ではない。」 武藤大介 「というと・・・」 椿 勇姿 「うん、やつらの目的は 『利江ちゃんを探せ』 と指令が飛んでのことだろう。」 魚沼 貴子 「利江・・・ちゃん? と言えば・・・」 椿 勇姿 「こう・・、いゃえっとナンちゃんの彼女だ。 ゆうすけ君の推測では、全拳武道団は全力で利江ちゃんを探し出すだろうと話していた。 それに私を探すのであれば、民家までと幅広くは探すまい。」 武藤大介 「そ、そうでしたか・・・。 しかし利江ちゃんをって・・・?」 椿 勇姿 「人質にして自分達を有利にする目的と推測する。」 武藤大介 「きたないやつらじゃ・・・。」 魚沼 貴子 「でも今探しているんでしょ?」 椿 勇姿 「別の者にさらわれて、ちまなこになって探しているらしい。」 魚沼 貴子 「なんで彼等がそんな一人の女の子を奪い合うように・・・凄い人気者なのね。 この私もその人気にあやかりたいたいわ。」 武藤大介 「確かに・・・。 利江ちゃん一人にかなり大げさな捜索ですたい・・・。 そこまでしなくとも、なんかこう・・・直接の総攻撃とか・・・やることも出来るのに。」 首を傾げながら瞳は空を見て、一生懸命に考える武藤。 魚沼 貴子 「そうよ、全国組織なんだから物量で物を言わすことだって可能なはずよ。 それをこそ くに人質だなんて・・・。 いっその事、私を奪ってくれればいいのに。。。 そしたらナンちゃんが私の事を助け に来てくれるわ。。。 きゃ~♪ 素敵~☆ 」 椿 勇姿 「%▽×#△&・・・・」 武藤大介 「それより、まもなくここにもやつらが来ますたい。 椿さんは身を隠した方が。」 椿 勇姿 「そうだな。」 魚沼 貴子 「屋根裏部屋があります、そこへ!」 椿 勇姿 「よし、頼む。」 ~ ~ ~ 程なくして、全拳武道団の5人が貴子の旅館にも現れ、建物内を荒々しく探して出ていった。 魚沼 貴子 「まったく、他人宅だと思って汚しまくりなんだから・・・。」 そう言うと、まるで骨董品のオブジェのように壁に掛けてあったハシゴを手に取り、廊下に 出て、柱の裏に結んであった紐を解いて下に引っ張った。 すると、その天井の 50×100cm くらいの枡が一辺を固定されてゆっくりと降りてきた。 そして手にしたハシゴを掛けて、 魚沼 貴子 「椿君、もういいわよ。」 その声に顔を出す椿。 ゆっくりとそのハシゴを伝って降りてきた。 椿 勇姿 「ありがとう、助かった。」 魚沼 貴子 「あんな雑に探しているんじゃ、見つかるモノも見つからないわね。 本気で隠れていたら・・・。」 そして奥の廊下からのっしのっしと姿を現した武藤、料理人の割烹着を着衣したまま、 武藤大介 「確かに。」 その時、外が慌しくなった。 魚沼 貴子 「どうしたのかしら・・・?」 三人が窓越しに外の様子を見ると、大声を出しながら全拳武道団が、同一方向に一斉に走 っていく姿が・・・。 次から次へと駆けて行く。 複数の班も同じ行動をとっているよ うだ。 椿 勇姿 「武藤君、後を追いかけよう!」 武藤大介 「よっしゃ!」 魚沼 貴子 「気をつけてね。」 担いでいたリュックを放り捨て彼らの後を追う椿と、そして武藤であった。 ~ ~ ~ 彼らが集団で駆け込んだのは、木々の緑と、空の青さ、そして周りの山々が湖面に写り心が 洗われる、そんな神秘的な猪苗代湖の湖畔。 その一画の広場に大勢が囲んでいた。 全拳武道団 「貴様か! うちの団員にアヤ吹っかけてきた小娘というのはっ!」 テイ・チョンミン 「なにさ! そっちが勝手に言い掛かりつけてきたんだっ。 ひどいにも程がある。」 なんと、囲まれていたのは[大竹林寺]に今は亡きブルーガーと一緒に[探神霊石:源石 球]を盗みに忍び込んだあのテイ・チョンミンではないかっ! 何故ここに・・・、この大日本国に姿を現したのであろう・・・。 全拳武道団 「だがな、同士3人がこの様だ。 このまま帰すわけにはいかん。」 テイ・チョンミン 「ふん、あたい一人に大げさだね。 人数はそっちが上だろ? 倒される方が悪いよ。 実力が無いと数で押さえ込むしか脳がないか。 まっ、一人・・・じゃないけど。」 チョンミンが片手を添えて寄りかかる木の上に、太い枝に寝そべり、腕組みをした男が いた。 その枝から身体を起こし、木の下に飛び降りて、 彡スタ。 チョウ・ギョッキ 「てめぇら・・・、随分と集めたじゃねぇか。 女一人によ。」 全拳武道団 「紐がついていたか。 まぁいい。 舐めた口利いてっと痛い目に遭うぜ。 この全拳武道団によ。」 全拳武道団 東北の荒熊 大木竜平 「おら、どけどけ!」 全拳武道団 「大木さんっ!」 全拳武道団 東北の荒熊 大木竜平 「道場荒らしだと聞きつけてくりゃ、なんだ、 見たことのない男と女の二人じゃねぇか・・・。」 団員を掻き分けて現れた東北の荒熊こと、大木竜平。 二人を囲む団員の最前列に仁王 立ち。 そこへ後を追ってきた椿と武藤も到着し、遠くの物陰でこの様子を伺い始めた。 チョウ・ギョッキ 「あんたがこいつらの大将って訳かい?」 テイ・チョンミン 「どおりで、お間抜けが多いわけだねぇ。 言い掛かりつけられて、自己防衛で3人 倒したら、次は道場荒らしときたもんだ。 とんだお笑い種さ。」 全拳武道団 東北の荒熊 大木竜平 「そんなきっかけはどうでもいい。 お前らはうちの団員に手を出してんだかんな。 それだけで十分だ。」 チョウ・ギョッキ 「けっ、只やり合いたいだけか。 女一人に3人が地べたに張り付いたんだ。このま まじゃ恥ずかしいよな。 貴様はこのおれが相手してやるよ。 この[死神の狂剣] チョウ様がよ。」 全拳武道団 東北の荒熊 大木竜平 「ほぅ~? 一人でこのおれとやるってのか。 なんなら二人相手にしてやってもい いんだぜ。」 テイ・チョンミン 「悪いけど、二人相手はやめた方がいい。 恥かくだけだよ。 しょうがない、あた いは後ろの雑魚でも相手してやるかね。 ほぅ~、ざっと50人くらいに増えたか・・・。 それでこのあたいが倒せるか、試 してみなっ!」 サササ 全拳武道団 『ほざけぇぇぇっ!』 『なまいきなっ!』 『大口叩くのはここまでだっ!』 『 おぉぉぉぉぉぉぉりゃゃゃゃゃゃゃゃっ! 』 大木後方の団員達が一斉に、横に走り出したチョンミンを追いかけるっ! -つづく- (貴様もな・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月08日 14時05分14秒
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