カテゴリ:第四章 4-421 ~ 480 話
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ゆうすけ 「不自然な事件がいくつもあるんだ。 ひったくり事件。 盗まれた人は、空中にバックがひとりで飛んでったと。 そして強盗事件。 目撃者の話によると、窓が割れる音がして、直ぐに見ていたんだけど、 侵入者の姿は無かったと証言している。」 リツコ 「ナンちゃんの遭遇した透明な生き物、何か爬虫類を思わせる容姿かもって言ってたけ ど・・・。 もし同じなら、こそ泥のように資金を集める必要があるってことかしら?」 ゆうすけ 「そんな研究をする、もしくは方法を購入したのであれば資金は豊富に有る一団ってこと になる。 けど、その一団としての行動ではなくて、透明になったその[人?]個人が、透明をいい ことに、何か悪さしただけかもしれないし・・・。 想像の域を脱しないけど、これらの事件 が、[透明な生物]が存在することを前提に考えると、つじつまが合ってくるからね。」 リツコ 「ナンちゃんの所のと同一・・・とは限らないってことよね。 あちらではこの手の事件って 発生してなかったんでしょ?」 ゆうすけ 「あぁ、オヤジの調べではね。」 ( 車窓から外の景色を見つめるゆうすけ ) ~ チーラン 「ここだ、ここに向かう。」 手にした地図を[空軍兵]に渡すチーラン。 [空軍兵] 「えっと、こっちが海、あそこを走る広い道が・・・これで・・・ 分りました。」 チーラン 「うむ、さすがだ。 ところで、お前、名はなんと申す?」 [空軍兵] 「はい、呂 淘汰(ろ・とうた)といいます。 淘汰(とうた)とお呼び下さい。」 チーラン 「淘汰(とうた)か、良い名じゃ。 では頼むぞ。」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「はい、お任せ下さい。」 広げてその場に停滞していた翼を、バサン、バサンと上下させ、目的地に体を向けて突如速度を 上げる[空軍兵]淘汰(とうた)。 大空を自由に駆け抜けていった。 ~ ~ ~ [空軍兵]淘汰(とうた) 「[近衛軍長]殿、目的地上空に差し掛かりましてございます。」 チーラン 「やっぱこっちの方が早くて楽で気分も爽快。 どうも箱物に囲まれての移動は苦手 だ・・・。 にしても早過ぎだろう・・・。」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「 !! [近衛軍長]殿、あそこっ!」 下界の道路を指差す[空軍兵]淘汰(とうた)。 チーラン 「どうしたのだ?」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「人々が、何か追われるように逃げ回っている様子が!」 チーラン 「なんだとっ! どこだ!」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「あそこでございます。」 ( 一生懸命に指を刺す淘汰 ) チーラン 「わ、分らんっ! 口で説明せよ。 われにはここからの視界は不慣れ、慣れておるお主 のようにはいかん!」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「失礼しました。 まず高速道路が真下に走っております。」 チーラン 「うむ。」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「その両側を2つの川がうねるように走っております。」 チーラン 「うむ。」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「その向かって右にある川のうねった頂点より2時の方向、広いグランドが見えます。おそら くは学校かと思われますが、そこより3時方向横に、真っ直ぐに伸びる道がありま・・・」 チーラン 「見えたっ! 数十人が走っておる・・・。 おい、その後方では他の人々が波状に走って ゆくではないか! その中心に何かあったのか? その中心に近づけろっ!」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「分かりました。」 [空軍兵]淘汰は、その中心に向かって進路をとった。 真上に来ると、その上空をゆっくりと 旋回を始める。 チーラン 「いったい何が・・・。 あっ、子供連れが転んだ! あの上を低空で通過せよっ!」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「了解!」 引き連れていた子供と一緒に転んでしまった母親と思われる女性と隣で泣き叫ぶ女の子を目掛 け、一直線に飛行する[空軍兵]淘汰。 急に高度を落とし、その上を通過する。 チーラン 「ハっ!」 ( 飛び降りたチーラン ) スタン彡 片ひざで着地し、その親子の下へと素早く駆け寄るチーラン。 チーラン 「大丈夫か? 何があった?」 母親 「突然、ひ、人が血まみれに・・・。 そして周囲の人達も次々と・・・」 娘 「えぇ~ん、えぇ~ん・・・・」 チーラン 「突然血まみれに !? なら、早く逃げろ!」 腕を掴み、母親を抱き起こしてあげるチーラン。 もう一方の手で子供も立ち上がらせてあ げた。 母親 「あ、ありがとうございます。 さっ、千恵、走って!」 チーランにお礼を告げると、娘の手を引き走り出す母親。 それを見送るチーラン、そして後方 を振り向いた瞬間! 何かを察知し、体を横に転げて回避っ! するとっ! ==シュっ 何かが空振り、空気を切り裂くその音だけが耳に入った。 チーラン 「くっ・・・」 チーランはとっさにバク転を続けて後方に回避。 その時、 チーラン ( 居る。 見えない何かが・・・。 ) そして大少林寺でのこういちの言葉を思い出していた。 こういち 「暗い所から急に明るい所に出たりだったり、相手から砂やほこりを撒き散らされて目に入っ てしまった時など、目が利かなくなった時には、目の回復を試みるよりも、相手の[気]、 [殺気]、[空気]、[臭い]、[音]など、五感をフルに生かして相手の動きを感じ取る こと。そんな時に目で見ようとしていたら、たちまちに餌食になっちゃうよ。 また、目で見えている事だって、嘘の情報ってこともあるから、自分の張り巡らせたレー ダーを信じて戦う事も大事だね。」 チーラン ( 今、まさにその時っ! ) 心にこういちの言葉を蘇らせたチーラン、ピタッ と着地した時には目を固く瞑ったままであ った。足を前後に、体の前で両手を上下に広げて構えた姿勢で。 が、突如っ! ==シュッ 横に避けたチーランであったが、頬にチクリとカスった何かを感じた。 続けて、 チーラン 「げほっ・・・」 ドテッ腹に蹴りらしき衝撃を受けた! 続けて来るであろう攻撃を想定し、必至に左手、右ひじを素早く防御目的で動かすチーラン、 その3つ目の動作の時、 ガシっ 左ひじで何かを受け止めた。 すかさず、 チーラン 「ハァーーイっ!」 相手の体があるであろう場所に、右足を回転しての後ろ蹴りを見舞うっ! ズコン★ ドサ彡 手応えを感じるチーラン、何かが倒れた。 顔をやや下に傾け、耳で音を探るチーラン・・・。 時折小さく右、左へと首が動く。 チーラン ( 少し慣れてきた・・・。 だがここに居るのは一匹ではない・・・。 二匹・・・、いや三匹は居る・・・ ) 自分の五感をフルに活用して、辺りの様子を伺うチーラン。 足音、呼吸、筋肉の躍動、空気の揺れ・・・可能な情報で探っている・・・。 そして再びっ! チーラン 「くっ・・・」 気配を感じ、とっさに左腕を立てながら屈んだチーランっ! その頭の上を何かが通過し空を 切った!さらに、横からの気配に逆方向に体を転がし、起き上がるのと同時に 彡さっ と後方 に跳躍! だが、着地と同時に、足音を伴い、 スタスタ ガツン★ わき腹に一発、そして後方から一発! ズゴっ★ チーラン 「うぐっ・・・ げほっ・・・」 パンチと蹴りらしき打撃を受けてしまった! 体制が崩れ、地面に転げたチーラン。 そのまま回転を続けて立ち上がると、再びその場から 後方への跳躍で回避する。 片ひざで着地し、わき腹を押さえるチーラン。 チーラン ( この蹴りはスペック-1、異人と同じ威力・・・。 くそ、それも3匹が相手とは・・・やはり前に遭遇したやつらの仲間か・・・ ) かたくなに目を瞑り、五感を頼りに様子を伺う。 その時っ! [空軍兵]淘汰(とうた) 「[近衛軍長]殿っ!」 -つづく- (水も滴るいい女になったか?) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月08日 16時40分03秒
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