カテゴリ:第四章 4-421 ~ 480 話
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~ ~ ~ ナンちゃん 「さてっと、ウルフ、そこに居るのは分っているよ。 出ておいで。。。」 透明な生物が地下に身を移し終えたのを見計らい、声を掛けるナンちゃん。 『あなたには息をひそめても無駄のようで・・・。』 ( 木陰の上から声が聞こえた ) ナンちゃん 「夜じゃないから。。。」 木の枝から地面に着地し、ナンちゃんの元に駆け寄る[月光軍長]曹 富夜。 そしてナンちゃんの前で片ひざを着いて、 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「御謙遜を。。。」 ナンちゃん 「おいらは軍の一員じゃないからその丁寧な姿勢はいらないよ。 それに、元大将を倒した [仇]にもなるんだし・・・。」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「いえ、[仇]とは思っていません。 ( 立ち上がりながら、 ) この表の世界を、我らの一族が支配するという考えは間違っていたと元帥様から教えを請 うた為、みな理解しております。 それに共存の道を教えられました。」 ナンちゃん 「チュウランらしいや。」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「して、・・・・」 ナンちゃん 「うん、ここがあいつらのアジトかも。 ただの拠点の一つかもしれないけど。 チーランの指示の通り、しっかりと見張っててね。」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「はい。」 ナンちゃん 「ウルフは見えないやつらの[気]、察知できるの?」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「いささかおぼろげではありますが、闇夜の中を思えば目視以外での気配、我らの軍は 長けているかと。 それとなくなら。」 ナンちゃん 「よかった。 それを聞いて安心したよ。 見えないとおいらもここに一緒に居なきゃなら ないもの。 十分に注意して見張っててね。 姉ちゃんの方には何人くらいつけてるの?」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「はっ、3名ほど。」 ナンちゃん 「おっけ。。。 なら十分か。 姉ちゃんも張り付きっ放しからも開放できるし。 じゃ頼むね。 おいらは別の所にも集結しているやつらの監視に行ってくる。 こりゃ凄い数が動き出したもんだな・・・。 そそ、水使いの西艶さんもいずれここに到着すると思うから、よろしくね。」 [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「かしこまりました。」 ナンちゃん 「タロ、行くよ♪」 タロ 『Cooo~♪』 ( 歩きだしたナンちゃんにしっぽを振りながら付いていくタロ ) [月光軍長]曹 富夜(そう フウヤ) 「あの時の白い子虎かぁ。。。 随分と勇ましくなってきたもんだ。 成長が早え。 あの日、痛い思いをさせちまったおれを目の前にしても、一つも表情を変えずにいた。 忘れた訳ではない。 あの、こういち殿の敵ではないと判断しての行動・・・・。 精神的にも立派に育っているようだ。。。」 曹 富夜は、ナンちゃんとタロに向かって深く頭を垂れたのであった。 ~ ~ ~ 警察官 山下 「なんですってっ! あの自衛隊駐屯基地を襲ったのと同じ能力のっ!」 リツコ 「若干、程度の違いはありますが、その卓越した能力も兼ね備えているようです。」 チーラン 「装備、必要・・・。」 ゆうすけ 「うん、さらに見えないのだから自衛隊ですら危険な相手と心得て下さい。」 警察官 山下 「そ、そんな・・・、それでは警察の手に追える・・・」 その時、ゆうすけの携帯が鳴った。 BU、BUーーーー! チーラン 「もうその音に騙されない・・・。」 ゆうすけ 「うん、メールの着信・・・ えっと、姉さんからだ。 ・・・・ ・・・・ 大群で・・・動き出すようだ・・・。」 リツコ 「姉さんからってことは、全拳武道団がってことよね。」 ゆうすけ 「そういうこと。 団長が各支部長を呼びつけてエリート部隊を編成するらしい。 それも長旅だと伝えたみたい。」 チーラン 「長旅・・・か。」 ゆうすけ 「まさか・・・とは思うが、嫌な予感がする・・・。」 チーラン 「なにっ!」 ゆうすけ 「ここに来て利江ちゃんの告知、チーランの所の軍団との出会い。 そして透明な第三勢力 の出現やら・・・。 慌しい動きの中だけに・・・。 しかし、今までは団長が迷走するかのように、それも何かピンポイントで現れていたが、 チーランの軍団を見た途端に部隊編成。第三勢力に対抗する目的だけならまだしも・・・」 チーラン 「くっ・・・。」 ゆうすけ 「謎解きも、時間掛けていられなくなってきたな・・・。 恐らく・・・想像ではあるが、もし全拳武道団が中華皇国に出向くとなったら・・・、利江ち ゃんとチ-ランの軍団、二つを結びつけての事だとしたら間違いなくチーランの軍団を知 りそれに大竹林寺に行ったことのある男がスペック戦闘員の組織の幹部に居ることが確定 する。 もし今の大竹林寺の状態、つまり黄龍道のように長い年月を掛けて力を蓄えたツワモノが 不在の状態で あの全拳武道団のエリート軍団に襲われたら・・・・」 チーラン 「チーラン、直ぐに向かうっ!」 リツコ 「待ってチーラン。 まだ確定した訳でもないのよ。 あなたの[足]なら彼らを追い抜いて現地に到着できる わ。 もし、彼らの行動がそこではなかったら、スウランに続いてチーランまでが抜ける と私たちの戦力は手薄になってしまうの。透明な生き物と戦える実力のある者が・・・。」 ゆうすけ 「そうだね、まずは次の姉さんの報告を待とう。 それからでも遅くは無いさ。」 それから30分の後、[月光軍]から伝令を受けた[空軍兵]の一人が、同様の内容をチーラン の元へと報告していた。 ~~~ ~~~ ~~~ ここは中華皇国にある山間の農村部。 いつもの平穏な日々を人々は過ごしている。 青龍 が巻き起こした大洪水で、下流の港に続く町などでは大災害となり、多くの命と家屋の 損壊を失ったものの、こういちのおかけでそれでも被害をそれ以上に大きくせずに済んだよう だ。 今は昔の活気がようやく取り戻しつつあり、人々には笑顔もこぼれていた。 そのまま山間部奥に目を移すと、同様に平穏な日々を経過していた大少林寺がある。 その第一門の前。 いつものように門番が二人、キリっとした顔つきで棒を片手に扉の両側に立っていた。 そこへ、 ひゅ~~ 彡スタっ チュンホー 「うわっ!」 突然、二人の目の前に着地したスウラン。 あまりの驚きに 一人は腰を抜かしてしまった。 スウラン 「ごぶさたある~♪」 きょとんとしたまま、目をパチクリとさせながら、 チュンホー 「ス、スウランさん・・・?」 スウラン 「はい~♪ チュンホーあるね、門番に昇格したね。 おめでとう。」 チュンホー 「あぁ、あ・・・ありがとう・・・ございます・・・。」 スウラン 「驚かせた ゴメン 館長様に用事あって来た。 通るよ?」 チュンホー 「は、はい、どうぞ・・・。」 スウランが通っていった後、もう一人の腰を抜かした門番がもそもそと起き上がりながら、 門番 「そ、空から・・・来たよな・・・?」 チュンホー 「う、うん・・・。」 二人揃って空を見上げていた。 第二門の前に到着するころ、 スウラン 「スンチャ~、久しい。。。♪」 ( 笑顔で手を振りながら歩いてくる ) 突然の来訪者、それも自分の名前を呼んでいる。 そして容姿に見覚えが・・・・ と、少し間を置いてから、 スンチャ 「スウラン~♪ なんだ、スウランじゃないか。。。」 スウラン 「元気そう。」 スンチャ 「あぁ、スウランも変わらないな。」 スウラン 「まぁね。」 ( スンチャの前で立ち止まる ) スンチャ 「あれ? 一人・・・か?」 スウラン 「うん、ゆうすけ 頼まれた。」 スンチャ 「そうかぁ。 懐かしいな。 まっ、好きにしてよ、師範代殿。」 スウラン 「その呼び名、照れくさいある・・・。」 スンチャ 「何言ってるのさ、名誉な事なんだから。。。 このおれを飛び越えてだし・・・。 ところで、どこに用事があるの?」 スウラン 「館長様に。。。」 スンチャ 「そっか、今日は一日いらっしゃると聞いてる。 ささ、どうぞお入り下さいませ。」 スウラン 「ありがと。 また後でね。。。」 第二門を通過したスウラン、真っ直ぐ館長室に向かわず、二十八房に向かい始めた。 『たぁーー』 -つづく- ([気配]を感じて防御するよろし) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年10月26日 11時45分14秒
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