カテゴリ:第四章 4-421 ~ 480 話
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ゆうすけ 「えぇっ!」 チーラン 「ここ・・・なのかっ!」 ナンちゃんが部屋に入った後、タロが窓から飛び込んできた。 警察官 山下 「うわ~っ! ト、ト、ト、トラが・・・・」 ゆうすけ 「よく見て下さい。 首に国家保安局の紋章ぶら下げているでしょ?」 警察官 山下 「あ・・・、そっか、このトラが例の・・・」 タロ 『Cooo~♪』 (ナンちゃんの横に、ちゃんとお座りしたまま優しく返答していた。) ゆうすけ 「で、ここなのかよ・・・。」 ナンちゃん 「うん、途中の公園に集結していたよ。」 チーラン 「なら話は早いっ! 一網打尽にするチャンスだっ!」 ( イスから勢い良く立ち上がる ) リツコ 「ちょっと・・・、まだなにもやってないのに・・・?」 チーラン 「だけど・・・」 ゆうすけ 「国家としたら、今は手出しが出来ないのさ。 検挙する理由がないとね・・・。 だが、監視するにしても、ナンちゃんじゃないと無理だ・・・。 くそ、あっちもこっちも人数束ねていやがるとは・・・。」 チーラン 「二つの勢力がぶつかるのか?」 ゆうすけ 「ならいいけど、どうもそうとは思えない・・・。 我々の知る限り、やつらの接点は昨夜 のあの一件だけ。 あれだけで人数揃えてぶつかるとは到底・・・。」 チーラン 「団長もおとなしく引き上げてた・・・。」 リツコ 「のようだし・・・」 ゆうすけ 「[土軍兵]は誰も残ってないんだよね?」 チーラン 「あぁ、返した。」 ゆうすけ 「山下巡査、数ある公園の周りを普通に巡回警備することは可能ですか?」 警察官 山下 「夜間に差し掛かっているので限られた人数になるが。」 ゆうすけ 「いいです。 まず、やつらが集まっているところに二人、そして他の公園は姿を見せるだ けなので自転車で一人が複数箇所巡回する方法でも。」 警察官 山下 「それなら交番勤務の者にも応援を要請できる。」 ゆうすけ 「すぐに始めて下さい。 問題の公園付近にはこのナンちゃんに付いてもらいます。」 警察官 山下 「はぁ、しかしこの少年を配置する意味とは・・・」 ゆうすけ 「以前、空港で複数の武闘家が襲われた事件、覚えてますか?」 警察官 山下 「あぁ、それなら全国各地の武闘家が襲われて、海外脱出する時に集団に襲われてとい う・・・。 覚えているが・・・」 ゆうすけ 「その騒ぎを収めたのが彼なんです。」 警察官 山下 「ええぇぇぇっ!」 ゆうすけ 「そしてこのレディーお二人も、我がS.F.F(Special Fighting Forces )の中心的戦闘 員です。」 警察官 山下 「じょ、女性の方も・・・・」 (会釈するリツコ) チーラン 「任せておけ。」 ゆうすけ 「では早速、巡回の手配をお願いします。 やつらには、普通の巡回という姿を見せるだけでいいんで。 自分達は見えないと思って いるので、やる事はやってくるかもしれませんが、その時は我らも黙っていませんから。」 警察官 山下 「わ、わかりました。」 ( 慌てて部屋を飛び出していった山下巡査 ) ゆうすけ 「やつらは何をやらかそうとしているんだろう・・・。 もし、その多人数でここやウルフの居る所などの複数個所で同時に暴れられたら・・・」 リツコ 「さすがに手が回らない・・・。」 チーラン 「やるなら、今だっ!」 ( またまた急にイスから立ち上がるっ! ) ゆうすけ 「だからぁ・・・」 リツコ 「ねぇ、タロちゃんが居るのよね。。。」 ゆうすけ 「あぁ。。。」 タロ 『 Cooo。。。 』 ゆうすけ 「確かに一瞬でやつらの動きを止められるが・・・ その判断は誰が行う? 我々に見えるのは一般の市民に手を加えたり、暴動を起こした時だけだ。 その時にタロ が凍らせも、市民まで凍り付いてしまう・・・。 それは避けたい・・・。 タロが見えてて、やつらだけ・・・といけば別だが・・・。」 タロ 「 Cooo・・・ 」 ナンちゃん 「無理みたい・・・。」 リツコ 「見えないってのは始末に悪いわね・・・。」 片方の手をアゴと頬に添えるように考え込むリツコ。 ・・・・・ ・・・・・ しばらく沈黙が続いて、 ゆうすけ 「やつら・・・ やつら仲間同士は見えてるのかな・・・」 チーラン 「急にどうした?」 ゆうすけ 「一般に物質が消える、見えなくなるというのは光の屈折を起こすことで可能になる。 その場合、ある立ち位置からは見えないが、角度を変えると見えることもある。 今回の透明生物、立ち位置を変えても見えないのだから、透明なビニールのように、地肌 そのものを透明? 透ける? などの方法で変えている可能性が高いと思われる。 もし、もしも仲間同士が見えているのなら、我々にも何か見えるようになる手段があると 考えられるのさ。」 チーラン 「なんかむずかしい・・・」 リツコ 「つまり、何か見える手段を手にすれば、楽な対処が出来るようになるってことよね。」 ゆうすけ 「そういうこと。 何かサンプルでもあれば・・・」 チーラン 「さっき倒したやつ拾ってくるか?」 [空軍兵]淘汰(とうた) 「[近衛軍長]殿、あのモノは、既に車に引かれたか 意識が戻り引き上げたかかと・・・。」 チーラン 「くそ。」 ナンちゃん 「捕まえてくっか?」 ゆうすけ 「それだと助かるけど・・・ 一匹だけ・・・とはいかんだろ。 他のやつらに見つかると 、暴れだされるのもどうかと・・・。」 ナンちゃん 「うまくやればいいんでしょ? それに、リツコさんにもあの[気]だけの雰囲気に実際に 触れておいてもらわないとね。」 リツコ 「そう、私はまだそいつらと接触してないから・・・」 ゆうすけ 「わかった。」 ナンちゃん 「じゃ、リツコさん、散歩にいこう~♪」 チーラン 「チーランも行くっ!」 ナンちゃん 「ゆうすけを一人には出来ないよ。 タロとチーランはここでお留守番。。。」 チーラン 「くっ・・・、わ、わかった・・・。 ナンちゃんの指示なら・・・。」 ~ ~ ~ こちらはずっと目が上から下に、そして横にズレて再び上から下にを繰り返す三人。 スウラン 「もう、 この館長録にもない。」 パタン 読み終えた一冊を閉じて、遠くを見るようにしていたスウラン。 スウラン 「視界 ボケる~~~。」 師範 秦 岱明(しん たいめい) 「時折遠くを見つめてからまた読んでと、目を休めるインターバルを取るといい。」 館長 「まだ若いからのぉ。 わしは、一日何時間も読み続けておる。 一気に読もうとするから 疲れるのじゃ。 様子を浮かべて、味わいながら目を通すことで、自然と心で読むことが 出来るようになるものじゃ。 慌てず、急がずじゃ。」 スウラン 「は、はい・・・、そう心がけます・・・。」 しばらく遠くを見つめていたスウラン、新手のくすんだ色の館長録を手にし、表紙をめくり 始めたのであった・・・。 ~ ~ ~ リツコ 「こんなに・・・堂々としていていいの? 隠れなくても・・・・」 ナンちゃん 「見える相手だとコソコソとしちゃうでしょ。 でも今は彼らに見つかっても、おいら達は 只の通行人だもの。 自分達を探してる、監視していると思ってないからね。 一般の人にまぎれ込む考えが優先・・・みたいな。。。」 リツコ 「そう言われればそうね。 コソコソとしなくてもいいんですものね。」 ナンちゃん 「そう言うこと~♪ なんか結構な数がちらほらとまばらに動いてて、さっきの公園に向 かっているよ。」 リツコ 「うそ、もう[気]を感じるの?」 ナンちゃん 「まだ遠いけど・・・。」 二人は、夕方の燕市内を、姉弟のような雰囲気で散策していた。 -つづく- (今買わなきゃ、売り切れちゃうってば) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月08日 16時46分56秒
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