読書レビュー 「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」上間陽子:著 太田出版
同じ作家の上間陽子氏の本「海をあげる」。その本の内容は忘却の彼方だ。何を書いていたか思い出すには、もう一度読み直すしかない。本著読んで「海をあげる」の記憶は上書きされたように思う。それほどこの「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」の内容は凄まじかった。十代で夜キャバで働くシングルマザーたちにインタビューしてきた内容を書いた本である。ここでは十代、しかも中学生で妊娠してしまった女の子たちが登場する。中学生で妊娠し、誰の助けも得られず遁走してしまう女の子たち。一人で立ち向かうしかない状況が悲惨な状況を生む。 読み終えて、沖縄の現状を憂いだ。読み終えて、国会議員に読んでほしい。国会議員が読むべき本だと思えた。沖縄の基地の現状を大なり小なり知ってはいても、沖縄で生活するシングルマザーの状況を知っている人はほとんどいないのではないだろうか。著者・上間陽子氏はこの本の売り上げの一部をシングルマザーたちを助ける活動に提供したと聞く。また、彼女たちを手助けする運動を始めたとも聞く。良いことだと思うけれど、沖縄に住む十代シングルマザーを援助するのは行政の責務であるとも思う。支払い義務はないのに…「思いやり予算」1年で1974億円 子どもの貧困対策152年分相当 78年からの累計は7兆円超える - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)琉球新報の記事を見た時に、この「思いやり予算」の0.1%でもあれば十代シングルマザーはどれだけ救えるか。(0.1%でも1億9千万円)また、この本を読んで日本全国の労働者が寄付ではないが寄付の気持ちで一人千円支払えば良いのではないかと考えた。労働人口が約6000万人なので1,000円×60,000,000人=60,000,000,000円。600億円にもなってしまう。驚いた。ならば、一人100円にかえて60億円。強力な支援ができると思う。まもなく終戦から80年。沖縄で生まれた時から米軍基地があるという人がほとんどだろう。基地がある暮らしが騒音や犯罪を生んでいるのだから、沖縄住民は国からの手厚い補助を受けて悲惨な目に合っている10代シングルマザーを保護すべきではないだろうか。何をすべきか、何ができるのか。そのことを考える前提として、この本をぜひとも国会議員に読んでほしい。いや、読むべきだ。そのための図書費は国負担で良い。衆議院465人、参議院248人で合計713人。一冊1,870円(税込)なので1,870円×713人=1,333,310円。読書後、感想もいいが、10代シングルマザーたちに何ができるか、提案してもらいたい。この本を読んでとてつもない衝撃を受けて、最後の章「さがさないよ さようなら」を読み、筆者の思いの深さを大きく大きく感じた。裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち [ 上間 陽子 ]