海外生活と英語 其の壱
今年で、アメリカでの生活も合わせて9年半を越そうとしています。私の経験から言って、海外生活(アメリカでの生活)で一番の障害は、食事と言語だと思います。これって,人間が生活していくのに最低限必要なものの2つですから、これが肌に合わないと, 海外生活が85パーセントぐらい惨めなものになってしまうと言っても過言ではないと思います。実際、アメリカに来ても, この2項目両方、もしくは一方が耐えられなくて, 渡米前に夢見たアメリカでの生活に挫折して、日本に帰国される方がたくさんいらっしゃると思います。一人暮らしをしていると食事の管理は何とかなるでしょう。お台所があれば, 毎日だって日本食を作る事も簡単です。実際、日本食は健康食ですから, 渡米後の体重増をコントロールするにはむしろ日本食をきちんと食べれる環境は大切だと思います。でも、言葉だけはそう都合よくいきません。読み書きって, 時間がかかってもどうにかすれば何とかなります。宿題のエッセーを書く事や、論文を仕上げる事、専門書を読む事も, 時間をかければなんとかできます。でも、会話ばっかりはそうはいかない。参加態度も重視するアメリカの学校では、授業中に一言も発言しない生徒は, 参加態度に問題ありとなり、(多くの外国人学生は言いたい事があっても、英語力がないから, 発言できなくて躊躇してしまうというのが本音なんですけど).また、授業中に黙って、おとなしい生徒は『自分の意見がない奴』って思われます。これと逆にしゃべり過ぎの生徒ってのも必ずクラスに一人はいて、これもうざいんですけどね。そういう欲求不満の生活をしているうち、日本人の知り合いができる、『英語がいつまでたってもしゃべれない!』『アメリカ人の友達ってなかなかできない」なんて情報交換をしているうちに、ストレスをためて、無理にネーティブと友達にならなくったって、日本人といた方が楽だし、学校だけ我慢すればその他は英語を特にしゃべらなくたって生活できるってことに気がつくのです。そうして日本人ばっかりでつるんでると、いつまでたっても英語が上達しないし、英語が上達しないからネーティブと友達になれないって言う悪循環になるのです。そうこうしているうちに、なんとか学位が取れて形ばっかりはアメリカの大学を出たけど、全然英語が話せないって言う日本人がたくさん生まれてしまうという悲しい現実は否定できません。