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2012.12.09
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カテゴリ:時代劇
カムイ1

「カムイ外伝」 2009年 日本映画

監督 崔洋一
脚本 宮藤官九郎
出演 松山ケンイチ 小雪 伊藤英明 小林薫 佐藤浩市

 大御所漫画家白土三平先生の代表作「カムイ外伝」を原作とする映画です。僕は、白土三平先生の作品も大好きで、この「カムイ伝」「カムイ外伝」はもちろん、「サスケ」「ワタリ」「忍者武芸帳 影丸伝」など、ほとんどの単行本を購読しています。

この「カムイ外伝」は、かなり昔の漫画なので、説明が必要ですかね。

 まず、「カムイ伝」から説明しなければならないでしょう。
 以前、映画「無能の人」の記事で説明させていただいたマニアックな漫画雑誌「ガロ」で、1964年から1971年に連載されていた看板漫画が「カムイ伝」(第1部)でした。
 百姓の下人正助、非人から忍びになるカムイ、日置藩次席家老の息子草加竜之進の3人を中心に、架空の日置藩(日本のどこにあったかは劇中では、はっきり語られていません。海に面しているが結構山深く、冬は結構雪が積もり、京都所司代の支配下にあり、海ではカツオやクジラの漁をしているところです。現在の三重(太地とか)のあたりでしょうか。イメージ的には東北ですが。鹿児島県に日置市というのが有りますが。)花巻村近辺を舞台に、江戸時代中期と思われる時代に、身分差別や一揆など、当時の農民や被差別民の生活や社会をリアルに描いた社会派群像劇です。
 第2部は、1988年から2000年に「ビッグコミック」で連載されていました。作画担当が変わったこともあり、絵柄が劇画調に変わり、より骨太なストーリーになっています。
 第3部は、現在構想中のようで、まだ始まっておりません。作者がかなり御高齢となっていることもあり、完結できるかどうか心配なところです。

 「カムイ外伝」は、「カムイ伝」のスピンオフという意味でこういう題名になっているのですが、はっきりとカムイひとりが主人公です。「カムイ伝」第1部で、被差別民非人の生まれで差別・貧しさに耐えかね、強さと自由を求めて忍びとなったカムイですが、掟に縛られていることから、再び自由を求めて“抜忍”となったカムイの、逃亡生活を描いた作品です。
 第1部は、「カムイ伝」第1部と平行に、1965年から1967年にかけて、「週刊少年サンデー」に不定期連載され、主に“追忍”との戦いが描かれております。
 第2部は、1982年から1987年に「ビッグコミック」で連載された作品で、絵柄も内容もガラッと変わり、漫画というよりは劇画という方がふさわしい作風で、数回から十数回の短編の連続という形で、“追忍”との戦いだけでなく、各地で隠遁生活をするカムイと周囲の人々との交流を描いています。
 今回の映画は、その第2話、「スガルの島」という副題のついているお話を原作としています。

カムイ2

 “抜忍”となったスガル(小雪)が、“追忍”と戦っている場面から始まります。スガルは追っ手を次々と倒しますが、断崖絶壁に追い詰められ、深手を負って、崖から海に落下してしまいます。その追っ手の中に、まだ少年のカムイがいたのです。
 14年後、同じく“追忍”に追われている若い忍びがいました。それは、被差別民の非人の身分から脱却するため、強さを求めて忍びとなったが、厳しい掟に耐えかね、“抜忍”となったカムイ(松山ケンイチ)でした。
 必殺技“飯綱落とし”“変移抜刀霞斬り”を駆使し、追手を振り切ったカムイは、山中に潜んでいました。
 すると、鹿狩りを饗するために山を訪れていた、土地の藩主水谷軍兵衛(佐藤浩市)の愛馬、右前脚のみが真っ白で美しい“一白”を襲い、その白い脚を切り取り奪って行く半兵衛(小林薫)を見かけるのでした。
 なぜ馬の脚を奪うのか気になったカムイは、半兵衛の逃亡を手助けし、行動を共にします。しかし、小舟で海に出た2人は、嵐に会ってしまいます。半兵衛は「悪いなあ、ひとりなら助かるで。」といって、カムイを海に突き落としてしまいます。
 翌朝、運良く半兵衛の住む島に流れ着いたカムイは、半兵衛の家族に助けられます。しかし、彼のために用意されたという小屋には、扉を開けると包丁が飛び出す仕掛けが施されていました。
 半兵衛の女房お鹿は、14年前の“抜忍”スガルだったのです。カムイから忍びのにおいを嗅ぎ取ったスガルは、彼が“追忍”では、と疑っていたのです。

 この後、藩主に捕らえられた半兵衛を、スガルとカムイが結託して助けたり、付近の海にサメが現れ、“渡り衆”と呼ばれるサメ退治の一団との絡みがあったり、もちろん、カムイを追っ手と疑うスガルと、カムイの戦いもあり、原作通りに話は進んでいきます。
 カムイの必殺技“飯綱落とし”と“変移抜刀霞斬り”(若干“分身の術”と勘違いしている感は否めませんが。)の映像化を見れたことは、ファンとしてはうれしい限りですが、編集なのか、脚本なのか、ぶつ切り感の強い場面展開や、唐突に飛び出す感の強いワイヤーアクションや、ここで使うか感を抱いてしまうスローモーションや、いったい何分息が続くんだ感が残る水中シーンなど、違和感が残る映像が多々あることは否めません。
 また、原作通りなのでいたしかたないところではあるのでしょうが、藩主の名馬“一白”を巡るお話と、サメ退治集団“渡り衆”とのお話と、完全に2つに分かれてしまうところも、原作を知らない方々には、違和感となってしまうでしょう。
 アクション時代劇のメガホンを初めてとる崔洋一監督と、コメディを得意としている脚本家宮藤官九郎氏の、不慣れからくる苦労がうかがえてしまいます。殺陣師やアクション監督は経験豊富なベテランを起用しており、CGやワイヤーアクション以外のアクションは、見ごたえがありますので、やっぱり、編集や脚本の問題でしょう。
 モデル出身の長身美女ながら、なぜか時代劇が似合っている、スガル役の小雪さんの演技力は定評通りですし、主役の2枚目役が多いながら、“渡り衆”の頭目不動役の伊藤英明さんが、憎たらしい悪役ぶりを見せ、わがまま放題の君主水谷軍兵衛役の佐藤浩市さんのキレキレ具合や、半兵衛役の小林薫さんの渋さ、主人公カムイ役の松山ケンイチさんの見事な汚れぶりなど、主要役者陣はその演技力をいかんなく発揮していることもあり、編集や脚本のいまひとつ感が際立ってしまうのでしょう。残念です。

カムイ3

 未だ完結しておらず、非常に重く長い話になってしまっており、そのテーマからどうしても差別的な描写が多くなってしまう、「カムイ伝」を映画化することは大変難しいですが、短編が連なっている構成で、娯楽性の強い(でも差別にかかわる内容は無視できないところはありますが。)「カムイ外伝」なら、今後続けることは可能だと思います。
 いろいろと酷評されてしまっている本作ですが、原作の雰囲気は見事に再現された作品だと思います。崔監督、めげずに続編に挑んでいただきたい、と、カムイファンの一人として、切に思っている次第です。





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Last updated  2012.12.09 18:41:37
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