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カテゴリ:ファンタジー
「フック」 Hook 1991年 アメリカ映画 監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 ロビン・ウィリアムス ダスティン・ホフマン ジュリア・ロバーツ マギー・スミス もう、30年以上もたつんですね。劇場公開当時非常に話題でした。ピーターパンにロビン・ウィリアムス、フック船長にダスティン・ホフマンと、演技派で知られる大スターを配し、ティンカー・ベルが、この前年「プリティ・ウーマン」の大ヒットで一躍スターの座を射止めたジュリア・ロバーツ、そして監督がヒットメーカーのスピルバーグです。しかもその題材が、誰もが知っている童話「ピーターパン」です。話題にならないわけがありません。そして、予定通り、大ヒットでした。 でも、どうでしょう、スピルバーグの映画を言ってみろと言われて、この映画をあげる人が一体何人いるでしょう。「ジョ-ズ」や「E.T.」「インディー・ジョーンズ」や「ジュラシック・パーク」あるいは「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」? 今の若い映画ファンには、「えっ、そんな映画あったの?」と言われてしまうかもしれません。ヒットはしているんですが、他の大大大ヒットなスピルバーグ映画ほどには、社会現象になるほどの大ブームを呼んだわけではないのです。 僕も、劇場公開当時、リアルタイムで劇場で観た覚えがあります。しかし、残念ながら、その内容をあまり覚えていませんでした。レンタルビデオ屋で何を借りようかなあ、と思って歩いていて、ふと目についたので、久々に観てみようと、手に取ったわけです。 40歳の弁護士であるピーター・バニング(ロビン・ウィリアムズ)は、アメリカの企業付きの弁護士で、猛烈な仕事人間であり、家族を省みずに仕事に熱中する為に家族からは嫌われていました。 そんな一家が妻の祖母・ウェンディ(マギー・スミス)のいるイギリスに里帰りした晩、子供達が何者かに誘拐されてしまいます。誘拐犯が残した脅迫状には、フック船長(ダスティン・ホフマン)の名前が記してありました。 途方に暮れていたピーターに義祖母であるウェンディは、実は彼がかつてのピーターパンである事を告げます。しかし、かつての記憶を完全に忘れてしまっているピーターは、すぐには信じようとしません。 そんな時、突然妖精のティンカー・ベル(ジュリア・ロバーツ)が現れます。 ピーターはティンカー・ベルと共に、さらわれた子ども達を救う為に、再びネバーランドへと向かうのでした。 なるほど、まあまあ面白いお話ですが、久々に観て僕は、いくつかのマイナス点に気づいてしまいました。 まず、このかつてはピーターパンであったというピーター・バニングというおっさんが、非常に嫌なヤツだということです。 もちろん、後半、自分がピーターパンダということを思い出し、空を飛び大活躍する姿との対比で、大人になったピーターパンが家庭を顧みない仕事人間になっていた、というコンセプトはいいと思いますよ、息子のジャックの野球の試合を仕事のために見に行けず、息子との関係がギクシャクするというベタな展開は、お約束だからいいんですよ。 ただ、僕が気になったのは、ロンドン(ピーターはなぜかウェンディの孫娘と結婚して、アメリカで暮らしています。)のウェンディおばあちゃんの家へ行ってまでも、電話(今では全く珍しくありませんが、当時は持っている人は非常に珍しかった携帯電話です。)で、仕事の話をしている、その内容です。 それは、よくはわからないのですが、森林の開発にかかわる話で、電話の相手(部下あるいは同僚)が、自然保護協会に阻まれて話が進まなく困っているということで、ピーターがどなっているのです。「フクロウか!!!」「たかがフクロウのために50億ドルが……。」 そこまで嫌なヤツにしなくてもういいだろう、ということです。仕事のため、金のため、自然環境を壊しても開発第一、そんなヤツかよ、ピーターパンって、と思ってしまいました。 2つ目に、ティンカー・ベルが、なぜジュリア・ロバーツ?ということです。 はっきり言って全くイメージと違いますよね。 確かに、この前年、「プリティ・ウーマン」が大ヒットして、ジュリア・ロバーツは次代を担うスター候補生として大ブレークしました。まさに今が旬ということなのですが、話題性としては、ダスティン・ホフマンがフック船長を演じるということで充分だと思うんですが、違いますかね。 スピルバーグ監督って、こんなに旬なスターを使いたい人でしたっけ、どちらかというと、無名な人を使ってスターに仕上げる方の監督だと思うんですが。 それから、ネバーランドの迷子たち(大人になることを拒否してネバーランドで暮らしている子たち)のリーダー、ルフィオの結末(どんな結末なのかは、一応ネタバレしないように秘密にしておきます。)です。 はっきり言って、あんな結末になる必要は全くなく、完全に余分です。 ネバーランドは、大人になりたくない子どもたちが暮らす楽園のはずで、基本的に遊びがその中心であるはずで、口では「殺せ!」とか「やっつけろ!!」とか言っていますが、実際にそうなるはずはならないのがお約束なのではないでしょうか。(ごめんなさい、ネタバレせずに書くのは不可能です。はっきり書きます。ルフィオはフックに刺されて死にます。) しかも、ピーターパンは復活したとはいえ、さらわれた子どもたちを取り戻したら、現実世界に帰るのは明らかで、今後も迷子たちをまとめるリーダーとしてルフィオは絶対に必要な人間です。 しかもはっきり言って、どうしても彼が死ななければ話が成り立たないとは思えず、「えっ、死ぬの????」という死に方でした。なぜ彼が死ななければならなかったのか、全く理解できません。 だから僕は、非常な違和感、いや嫌悪感を抱いてしまいました。 あと、細かいところでは、ウェンディの弟たち、かつて一緒にネバーランドに行ったマイケルとジョンはどうしたんだとか、人魚の出番がたった一瞬だったとか、タイガーリリーたち、ネイティブ・アメリカンの皆さんはどうしたんだとか、ティンカー・ベルがドレスを着て一瞬大きく(等身大)になるくだりが意味わからないとか、ピーターが時計を息子のジャックに預けた意味が分からない、まさかその後フックが怖がることがわかっていたわけないよねとか、などなど、いろいろと目についてきてしまいました。 ということで、後々あまり話題にならない作品には、それなりの理由があるんですね、というお話でした。 まあ、ちょっと時間が空いた時間に、暇つぶしに見るのには、ちょうどいい感じの作品ですね。 ところで、すっかりおばあさんになってしまったウェンディを、マギー・スミスが好演していましたが、「ハリー・ポッター」を全部見終わった身としては、どうしてもマクゴナガル先生に見えてしまって仕方ありませんでした。(ラドクリフ君は今後大変だよなあ。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.07.28 17:59:52
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