ピーナッツ
「ピーナッツ」 2006年 日本映画監督・脚本・主演 内村光良出演 三村マサカズ 大竹一樹 ゴルゴ松本 レッド吉田 ふかわりょう 実は、お笑いではなく、俳優・映画監督志望で芸能界に入ってきたという、ウッチャンナンチャンの内村光良、待望の初映画監督作品です。 このほど、第2回監督作品が公開されるということで、盛んにCMをやっていますし、出演の俳優さんたちがバラエティ番組で番宣しまくりなので、この映画のTV放映もその一環なのでしょうが、なぜか、ゴールデンタイムではなく、深夜の放送でした。同じく次回作が公開の「相棒」の方は、宣伝のための前作の放映は21時からの「日曜洋画劇場」です。 どちらもテレビ朝日関係の映画なのですが、この違いはなんでしょう。まあ、期待度の違いなのでしょうが、実はあまり多くの人には見せられない裏事情があるのでは、と、つい勘繰りたくなってしまいます。 草野球チーム富士沢ピーナッツで“伝説のサード”と呼ばれた男、ピーナッツを題材にしたエッセイ「たかが草野球」が評価を受け東京でスポーツライターとして活躍していた、秋吉(内村光良)は、10年ぶりに地元へ戻ってきました。 かつては大会で優勝し、甲州最強としてその名を轟かせたピーナッツでしたが、今は弱小チームとなっていました。今日の試合もグラウンドに現れたのは、酒店の店主・相良(三村マサカズ)と、レコード店の店長・宮本(ふかわりょう)、クリーニング店の似てない3兄弟・ハルオ、ナツオ、アキオの5人だけでした。監督で商店街の組合長でもある草野は、再開発のため、商店街が消えてしまうという問題を抱えていたのです。 秋吉は、ピーナッツを再生させるべく、元チームメイトと再会します。 幼稚園で保父をしながら入院中の妻を支えるスラッガーの赤岩(レッド吉田)、肩を壊したことを機に、ロシア人の妻と小料理屋を営んでいる豪速ピッチャーの一鉄(ゴルゴ松本)、借金の取立てから逃げ回り、パチンコでその日暮らしの生活をしている文野(大竹一樹)など、それぞれ、事情を抱えていたのです。 一方、秋吉自身も執筆活動に対する情熱を失いかけており、再起を図るため、自らの出発点である地元に帰って来たのです。 そんな矢先、監督の草野がメンバーたちに黙って、友好試合の話を決めてきました。商店街の再開発を計画している会社のチームで、社会人最強の東和ニュータウンズがその相手です。しかも、ピーナッツが勝てば再開発の計画は即効中止、負ければ再開発に全面協力するという条件つきでした。 はっきり言って、あんまりおもしろくなかったです。 ありきたりで、結末が読めるストーリー、お世辞にもうまいとは言えない、演技については素人な主要人物の面々、そして、予想通りの結末、はっきり言って退屈でした。 特に、準主役の相良役の三村マサカズさんの大根ぶりには、まいってしまいました。 結局、深夜の人気番組「内村プロデュース」の延長で作られた映画、それ以上も以下もないものでしかなかったのです。 ぼくは、この番組はとても好きでした。簡単に言ってしまえば、ウッチャンが後輩芸人たちとバカなことをやる番組だったわけですが、実は、この番組で、“バカルディ”が“さまぁーず”に、“怪砂利水魚”が“くりーむしちゅー”に改名し、いまいち伸び悩んでいたこの2組のお笑いコンビがブレークし第一線に出て行ったということ、“猿岩石”の大大大ブームが去り、解散して全く仕事がなく、貧乏のどん底にいた有吉弘行が、再ブレークするきっかけになったこと(当時は、この番組で、真っ裸になったりして、非常にはじけてのびのびとしている有吉を見て、「ああ、彼も頑張っているんだ。」と「電波少年」ファンだったぼくはうれしく思っていたりしたものでした。)など、今思えば、すごい番組だったなあ、と思います。(でも、いくら人気があるからといって、ゴールデン進出なんてことになれば、絶対面白くなくなってしまうだろうなあ、と思っていました。だって、深夜だからこそ、あれだけはじけていられたんですから。) そんな人気番組の集大成ということで、ウッチャンが一番やりたかったことをやってしまったという映画なので、やっぱり「内P」の延長線でしかない映画なのです。だからそれを「面白くない」とか、「平凡な話」とか、批判する方がおかしいのかな、と思いました。 ということで、人気番組の打ち上げで、ちょっと映画を作ってみました、という映画なので、堂々と次回作の宣伝に使えなかった、と解釈させていただきました。したがって、ウッチャンの実質的第一回監督作品は、このたび公開された「ボクたちの交換日記」ということになります。もちろん、絶対観るつもりです。(レンタルビデオが100円になってからかもしれないけどね。)