早朝動物
私は渓流釣りに行く時は早起きをする。午前3時に起きて車に乗りこむ。まだ暗い中を、車を運転しながらリポDを飲みつつ、カーステレオでワグナーを聞く。音楽とカフェイン、それとこれからはじまる魚釣りへの期待感で気分が高揚してくる。おもわず絶叫だ。両神の田園地帯を走っているときはイノシシやタヌキ、キツネが道路で遊んでいるのに出くわす。路上で軽く追いたててみたりする。カーチェイスならぬアニマルチェイスだ。荒川から大滝へ向けての国道には鹿がよく出る。中には馬のように大きなものもいる。こうなると馬だか、鹿だか見分けがつかないことがある。うん?ある日、午前4時に中津のループ橋の途中にあるトイレに寄った。すると駐車場に大きなクマがいた。ヘッドライトの光にあわてて逃げていった。車の中にいたので大丈夫だった。クマは助かった。私の今は封印しているロシアンフックをもらわずにすんだのだから。魚釣りの前に野性のクマを見たおかげでボルテージは爆発した。アドレナリンの量が最高になった。早朝動物は狩猟本能を刺激してくれるたのしい友達たちだ。きっと彼らも私を歓迎しているはずだ。ちょっとシャイなところがあるけれど。おしまい