小・中学生の医療費、都が助成 育児環境格差を解消へ
東京都は、小・中学生の医療費の一部を独自に助成する新制度を導入する方針を18日、固めた。小学校入学前の乳幼児を対象にした医療費助成は全国的に進んでいるが、小・中学生の通院・入院とも対象にするのは、都道府県レベルでは全国で初めて。助成額を底上げすることで少子化対策を充実させ、区市町村ごとに異なる子育て環境の格差も是正するのが狙い。来年度から導入する見通しで、年間経費は30億円弱になるとみられる。 東京都の医療費負担の仕組み 都の現状では、3歳未満の場合、医療費のうち本来は自己負担になる2割分を、3歳以上で小学校入学までは3割分を、都と区市町村が全額助成している。しかし、小学校入学後は都などの助成がなくなり、全体の3割に当たる自己負担が生じている。このため、一部の区市町村は独自の制度で中学卒業までは自己負担分を助成しているが、住む区市町村で負担額が大きく違うのは不公平だとの声も出ていた。 都の新制度では、小・中学生の医療費で自己負担となる3割分のうち1割分を都と区市町村で半額ずつ助成する。国の児童手当に準じて所得制限を設ける見通しで、サラリーマン世帯の場合、年収860万円未満の世帯が助成対象となる見込み。都内に約85万人いる小・中学生のうち、8割前後が対象になるとみられる。 国は少子化対策の一環で、小学校入学前の自己負担相当額を、08年度から一律2割にそろえる方針で、その場合は都と区市町村の負担が約25億円減る。これを新制度の原資に回し、中学卒業まで自己負担を2割に抑える考えだ。 全国的に見ると、都道府県が医療費を助成する対象は、入院費では小学校入学までとしているのがほとんどだが、通院費では小学校入学まで助成しているのは約4割にとどまっている。都の新制度は入院・通院を問わず、中学生まで対象にしている。 都は新制度で、助成額の拡充によって出産や子育てのしやすい環境を整え、子育て家庭の定住を促したいとしている。