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カテゴリ:ダンシング・オン・ザ・ウォーター
「白雅さんっ!今工場から連絡があって、黒の染料が入ってこないそうですっ!!このままじゃ工場での、染色作業がストップしてしまいますっ!!」紅緒の声に驚いて振り向く!「なんだって!ありえねぇっ!!だって染料は、暁闇さんの工房から一年契約で買い取っているんだぜ?それが止まったって言うのかよ?第一何の連絡も、俺にもklavierに入っていないじゃねえかっ!!」
「まさか、これも妨害なんでしょうか・・・一体どうなっているんでしょう・・・」「私、父に連絡取ってみます!」染姫が慌てて電話の受話器を取り上げた。呆然としてその様子を見つめる俺。「何でだよ?こんな事、立て続けに起きるわけがないだろうが・・・」声が動揺で震えている。 「もうっ!!お父さん、携帯電話持っていっていないの?駄目です・・・繋がらない・・・」力なく項垂れる染姫。「お前何か聞いていないのか?親父さんから?」「いいえ、私は何も・・・」「そうか・・・」深く溜息をつき腕を組む。暁闇さんの工房から、染料が入らないとなると黒の染料が高沸している今、値段の高い染料会社と、契約を結ばなくてはならなくなる!それは何としても避けなくちゃならない!考えろっ!!最善策はなんだっ!!このままじゃ染色が止まっちまうっ!! 俯いたままの白雅。朱砂の妨害の第三弾は、どうやら父を巻き込んでいるみたい。普段持ち歩いている携帯電話に出ないのは、おそらく朱砂に、出るのを止められているからよね!徹底的に白雅をやり込める気なんだわ!どうしよう!このままじゃ布の染色が出来ないわ!さすがに調合は父しか出来ないし、私にもなす術がない。 「しょうがねぇっ!!とにかくショーの作品作りが最優先だ!染料の件は、同業者に頭を下げてみる!みんなは作品作りを急いでくれっ!!あともう一息だ!頑張ってくれよっ!!」俺の言葉掛けに、皆が力強く頷いた。 「どうせ、あのくそ親父の仕業だろう!」舌打ちしながら工房から出て行く。鳳梨の尽力で、ショーを盛り上げるダンサーは確保できたが、舞台照明の会社は、どこも断られてしまった。照明の代わりになるものは・・・必死に思考を廻らせてみる。「あっ!!これなら使えるかもっ!!」浮かんだアイディアに、一人ニヤリとほくそ笑む。ショーの最後に出てくる「funny face」の皆の出演も、今のところ確約が取れているし、何とかショーにはこぎ付けそうだ!「頼むぜ!みんなっ!!こんな妨害如きに、klavierの職人が負けてられっかよっ!!」歩きながら右手を強く握り締めた。 携帯電話に白雅からの着信!「もしもし?よう!白雅!久しぶりじゃん!(´∀`*))ァ'`,、 klavierに訪ねた以来だな!えっ?黒の染料が止められた?何でまた?親父さんの妨害!ヮ(゚д゚)ォ!なんじゃそりゃっ!!お前相変わらず、親父さんと犬猿の仲なのかよ~!成長しねーな!白雅っ!!」 「だーっ!うっせーよっ!!瞬夜っ!!とにかく急ぎなんだ!一時でいい!お前のところで使ってる黒の染料、分けてくれないか?金はきちんと払うからっ!!」 「払うものさえ払ってくれれば、うちとしては文句はないけどな。社長に聞いてみる!ちょっと待ってろ!折り返し電話すっから!あ!そうそう!お前さ、招待状届けに行った晩、美織となんかあった?あいつ真っ赤な目して朝帰りだぜ!こちとら心配して、眠れなかったっつーのにっ!!(´ω`ι)まさか手を出してねーだろーなっ!!」Σ(`oдО´;) Σ(OДΟ;)「だだだっ!!出してないっ!!ぜってーないっ!!」ここで出したなんて言ったら瞬夜のことだ!ぶち切れて俺を殴りにすっ飛んでくるだろうっ!!ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ「ホントかっ??美織に手を出していたら、瞬殺だからなっ!!っつーか、泣かせた時点でぶっ飛ばしたいところだっ!!」 「ちょっと待てっ!!落ち着けっ!!瞬夜っ!!」「これが落ち着いてられっかよっ!!俺の可愛い妹なんだぞっ!!アホ白雅っ!!お前には妻がいるだろうがっ!!」Σ(`oдО´;)「なぁ、前から想っていたんだけどさ、瞬夜って美織のこと好きなんじゃね?あっ!!言葉に詰まったっつー事は図星だなっ!!ァヒャヒャ(ノ∀`*)ノ彡☆瞬夜はシスコンだったんだっ!!」 「るせーっ!!社長に聞いてやんねーぞっ!!」大きく叫び、乱暴に携帯電話が切られるっ!!あちゃー!ちょっとからかい過ぎちゃった!でも律儀なやつの事だ!ちゃんと聞いてくれるさ!ふーん。瞬夜が美織をね・・・ってっ!!あいつら兄妹でじゃん!(>д<;) 2人の姿を想い、ツーツーと鳴ったままの受話器を、小さく溜息をつきながら戻す。 「ばっかやろーっ!!白雅の奴、年上の俺をからかいやがってっ!!」Σ(`oдО´;)ぶつくさ言いながら、スタッフルームから奴の携帯に電話を掛ける。白雅のところ色々大変みたいだな。美織が同業者から聞いてきた、昨晩の妹との会話をふと想い返していた。 「ねぇ、瞬夜、日雅の代表者が、息子の白雅に妨害掛けているんだって!白雅って、いいとこのお坊っちゃんだったのね~!あーあ!玉の輿に乗り損ねちゃった~!もっと強引に、高校時代からアタックしておくべきだったな~!そうすれば、美味しい物も、たくさん食べられたのかもしれないのに~!」口を尖らす妹に「おいおい!」って美織に思わず突っ込みを入れた!冗談じゃないっつーのっ!!俺の気持ちを知らない妹は、まだ白雅に未練がたーっぷりっ!!そんな様子を見る度に、切なくなるっつーのにさ!!(>д<;) スリーコールで繋がった!「もしもし?俺だよ!染料いいってよ!でも前金な!そっちの工場の住所教えろよ!こっちから宅配便で郵送してやるから!困った時はお互い様だろっ!!心の広い社長で救われたな!白雅っ!!」(。-∀-) ニヒ♪「サンキュー助かったぜっ!!瞬夜っ!!社長は?え?出かけちゃった?お礼言いたかったんだけど。そっか、じゃ、代わりに瞬夜から宜しく言っておいて!また改めて御礼の挨拶に伺いますって!」 「了解!なぁ白雅。ホント美織となんも無かった?って何でそこで絶句するかな~!ゥヮァ─・゚・(゚`Д´゚)・゚・─ァァン ・゜やっぱりお前らっ!!しちゃったのかよっ!!」+゚(。pдq)+゚。エグッ... 「ちょっちょっと待てっ!!瞬夜落ち着けっ!!酒飲んで酔っていたから、正直憶えてないんだよっ!!ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ朝起きたら美織が俺のベットの中にいてっ!!でも全く記憶が無いんだよっ!!手を出した記憶もなんも無いっ!!」(艸дo`;) 「なんじゃそりゃっ!!Σ(`oдО´;)どういう状況だったんだよっ!!兄として聞く権利があるぞっ!!」問いに、白雅は言葉をつっかえながら、事情を話し出した。聞き終えて、少しの思案の後話し出す。「つまり話をまとめると、お前は知らない間にまっぱにされていて、美織も裸で、一緒のベットに寝てたって事なのか?」「そう。あいつはさ、手を出したくっても出せないっつー感じなんだよ。美織に対して、性差を超えた友達だって想っているからさ、俺。記憶は無いけど、多分手は出していないと想うんだ・・・」 少なくとも口ぶりからして、こいつが嘘をついているとは考えられない。それに一方的に、美織が熱を上げている感じなんだもんな。美織なら、白雅の服を脱がせて関係を持ったように装う事は、充分考えられた。ちょっぴり邪なところがあるからな。「ふーん・・・なるほどね。話は解った!美織に聞いてみる!もしあいつがやった事だったら、疑ってホントごめん!たださ、美織はさ、マジお前を好きだったみたいなんだよ!それからお前に言って無かったよな?俺と美織は血の繋がりが無いって」話す言葉に、電話口の白雅が息を呑む感じが伝わってきた。 「マジ?初耳だね!そうだったんだ!それで瞬夜は美織を・・・納得。あいつは気持ち知ってるの?」「残念ながら全くね!お前にぞっこんなんだもん!気づきもしないよ!あっ!なんか切ねーっ!!俺っ!!」.+゚.+゚(*´∩ω・`).+゚.+゚クスンッ「泣くなっ!!瞬夜っ!!お前の気持ちぜってー伝わるさっ!!いいな、お前らは。これから恋愛に発展していける可能性があって!そんな時に水を差すようだけどさ、俺らは離婚する方に向かっているんだ。ま、理由は俺の我儘ってやつだけどな」今度は瞬夜が電話口で息を呑む! 「そっ!そうなんだ・・・なんだか複雑・・・それは美織には伝えないぞ!お前にあいつは渡したくないからなっ!!」「いいよ!言わなくて!あいつの気持ちを振り回したくないし。瞬夜の気持ちを知ったら尚更だ!それから、染料の件ホント助かるよ!金は後で従業員に届けさせるからさ!」 電話を切りたそうな雰囲気を察し、これ以上の会話を諦めた。「了解!じゃあな!白雅!」今度は静かに電話が切られる。その音を確認して溜息をつく。「瞬夜が美織をね・・・」兄妹以上の感情が、瞬夜、お前にあったんだな。心に棘がちくりと刺さるような痛みが走るよう!「つくづく自分の軽率な行動が嫌になるぜ・・・」強い自己嫌悪の想いを、吐き捨てるように呟いて、手にしていた携帯電話を切った。 真実を知る時へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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