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カテゴリ:ダンシング・オン・ザ・ウォーター
ショーの日が近くなる度に、白雅はぴりぴりと神経を尖らせている。それは私達にも伝わってきて、皆は彼の顔色を伺っていた。どうやら家には帰らないで、klavierに泊り込んでいるらしかった。あまり眠れていないのか、目の下にはうっすらとクマが浮かんでいる。朱砂からの妨害工作は、彼の神経を少しずつ疲弊させているんだわ!チクリと心が痛む。
「染姫さん、白雅さん結構参ってますよね・・・なんだか見てられないって感じです」買出しの途中、歩きながら話す紅緒君。「そうね・・・ショーの準備は出来たけれど、『作品がまた持ち去られないように、前日も泊り込む』って黄麻君に話ししていたみたい」小さく呟く。 「そうですか。俺らにも何かできる事はないですかね?一人で全て背負ったらきついですよ!白雅さん喘息も出てるみたいだし、今回はいつも以上に、体調良くないんじゃないのかな」 「もう、私も家を出てしまっているし、彼には何もして上げられないわ。白雅も、私からの働きかけを望まないでしょうし」話しながら、前日の離婚の話し合いの光景を想い浮かべる。 「この馬鹿息子っ!!こんないい子をお嫁さんに貰っておいて、あんたから離婚を切り出すってどういうことよっ!!Σ(`oдО´;)それも過去の出来事が原因なんて、どんだけ器量がちっさいのよっ!!ホント親として情けなくなっちゃうわっ!!」 「うっうっせーっ!!エリザには関係ないだろっ!!これは俺と染姫との問題だっ!!」「何を言うかっ!!私はあんたの母親よっ!!関係ないわけがなかろうがっ!!」 喋っているのはほぼこの2人で、私と弁護士さんはあっけに取られて、2人の口撃を見守る!まるで親子喧嘩のようだったわ!白雅はさすがに、エリザさんには敵わないみたいだったけど。ふと想い出し笑い。 「どうしたんです?想い出し笑いですか?染姫さん?何か楽しい出来事でもありました?」「ううん!何でもないよ!それより買う物結構多いね!」白雅から渡された書かれたメモ用紙には、ショーで使う小道具が沢山書いてあった。照明の代わりに使うのね。セッティングが大変そうだけど、なんとか頑張らなくちゃ! 「さっ!!今日も頑張ろう!紅緒君!」「おっ!!朝から元気ですね~!(´∀`*))ァ'`,、 染姫さん!さすがklavierのムードメーカーですねっ!!」可愛い年下君は傍らで笑いかけた。 「どうだった?離婚の話し合いは?」「ん~?私と白雅の、親子喧嘩みたいになっちゃった!」「そんな事だろうと想ったよ!(´ω`ι)どうせお前が、ほぼ一方的に捲し立てていたんだろっ!!光景が目に浮かぶっ!!」(>д<;) 「ふーんだっ!!阿呆の息子が悪いのよっ!!あんなにいい子と離婚するなんてっ!!親子揃って女を見る目がないのよっ!!残念ながら離婚する意思は固いみたいだわ!」 心底呆れた顔をして、不貞腐れた様子を見せるエリザ。どうやら余程、染姫が気に入っているようだ!俺の昔の女が息子の妻だっていうのに、気にはならんのかね?やれやれ、女は解らんな。 「なーに、見てるのよ!朱砂っ!!」「ん?いい女だなって見てた。」素直に言ったつもりだったんだが、一気に顔を紅くするエリザ。「なんだよ?照れてるのか?」 「もうっ!!急にそんな事言わないでよっ!!」「言いたかったんだもん!お前が好きで好きで、たまらないんだから・・・今度こそ幸せにしてやるからさ・・・」この言葉が余程嬉しかったのか、エリザが後ろから背中にしがみ付く。「嬉しい事言ってくれるじゃない?朱砂!私も貴方が大好きよ!」耳元で囁かれる愛の言葉。もうすぐ元妻との結婚式。白雅、俺とエリザみたいに、離婚してから後悔するなよ!悪戦苦闘しているであろう息子を想う・・・ 「鳳梨!ここでいいか?」「もうちょっと左に置いて下さいっ!!あっ!そこでいいですっ!!」数日後、俺達はショーの最終リハに追われていた。結局舞台照明は諦めて、ふと閃いたのが、照明の代わりに、沢山の蝋燭で幻想的な雰囲気の中、ファッションショーを行ってみようと考えた。オーラスを彩るのは、デビューしたばかりの「funny face」の面々! 俺の頼みを、リーダー伽は快く応じてくれていた。控え室から出てきた彼らは、ステージを興味深そうに見つめている。作業の手を休めて、立ち上がった俺に伽が話しかけてきた。「蝋燭の灯り綺麗ですね!(´∀`*))ァ'`,、 一度でいいから、ファッションショーのステージって、立ってみたかったんですよ!funny faceのメンバー、皆目立ちたがりですからねっ!!」 「目立ちたがり、大いに結構!ショーは見ている人にも、ステージに立つ人にも、楽しんで欲しいですから!パリコレモデルになった気分で、目一杯、盛り上がっちゃって下さい!」「それにしても、蝋燭の灯りの中で歩くなんて幻想的ですね!転ばないようにしなきゃな・・・」呟くのはボーカルのSimon 。「そうですね、足元が暗いので充分注意して下さいね!すみません、舞台照明会社が見つからなくて、急遽こんな形になってしまって」謝罪する俺に、伽が笑い掛ける。「いや、大丈夫ですよ!こいつはね、目が悪いんで気になっただけですよ!な?Simon!」 Simonの呟いた言葉に、さりげなくフォローを入れるのは、気配りのある伽らしい。「すみません、言葉が足りなくて。俺、いっつもこれで失敗しちゃうんですよね」(>д<;) 申し訳なさそうに呟いて、薄く笑う。「あーっ!!白雅さんて、Simonに似てますね~!ヮ(゚д゚)ォ!目元なんかそっくりかも~!(´∀`*))ァ'`,、 」まじまじと顔を覗き込むのは、紅一点サウ゛ィニー!「そうですか?こんなイケメンに似てるって言われたら、非常に光栄ですね!」答える俺に、サウ゛ィニーはとても嬉しそうに、傍らのSimonを見つめて微笑む。ふーん・・・どうやらこの2人は恋仲のようだ! いいよな、好きな人間が側に居てさ!心底羨ましいと感じるよ。若いカップルを見つめて想う。「白雅さーんっ!!そろそろセッティング終わりますんで、実際にステージを、皆さんに歩いてもらいましょう!」「おうっ!!わかったっ!!」ステージ上から掛かる鳳梨の声に返事をし、俺は彼らを伴い、ステージ横に設置された、小さな階段を登り始めた。 「ステージ上って結構狭いのな!歩くのって簡単かと思っていたけど、綺麗に歩くとなると難しいもんだな!あーっ!!モデルの大変さが少し解ったぜ!」「ま、確かに難しいな。頭を振らずに、だらだら歩きにならないよう気をつけていたけど、最後の方は、俺、がに股になってねえか冷や冷やしたぜ!」(>д<;) 「ちょっとっ!!私っ!!大変な所見ちゃったっ!!」「なんだよっ!!騒々しいなっ!!サウ゛ィニーっ!!」「どうした?サウ゛ィニー?」 「白雅さんの奥さんがっ!!控え室でっ!!ちうしてたっ!!」「別にいいだろ?ちうくらい。どってことねぇ!」(´ω`ι)「馬鹿ねっ!!カイルっ!!ちうしていた相手は紅緒君よっ!!ああ~!白雅さん可哀想~!奥さんに浮気されちゃっていたのね~!」 「マジかよっ!!」 寝転がっていたカイルと伽は同時に叫び、起き上がるっ!!「やるわね~!紅緒君っ!!(。-∀-) ニヒ♪代表者の妻に横恋慕するなんてっ!!あーんっ!!でも知っている人達だけあって、なんだか複雑~!でもでもっ!!秘められた関係って萌え~!私とSimonみたい~!」((藁´∀`)) 「おいおい。お前とSimonの関係を、俺と伽が必死に隠しているんだからなっ!!社長にばれたらお前ら引き離されるぜ!」「冗談じゃないわよっ!!カイルがくっつけって言ったのよっ!!あんた、何としても隠し通しなさいよねっ!!」「そうだよ!そもそも、お前がブラコンのサウ゛ィニーから逃れたくて、Simonとくっつけたんだろ?責任持てよな~!」(´ω`ι) funny faceの控え室から聞こえてくる声っ!!「なんだよ・・・今の会話・・・紅緒と染姫がキスしてたって・・・」ドアをノックしようとしていた手が、込み上げてくる怒りで震える!やっぱりあいつらっ!!関係を持っていたんだっ!!振り返って廊下を全速力で走り出すっ!!紅緒、染姫っ!!お前らぜってーゆるさねえっ!! 両親の挙式と誕生日へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/08/09 10:35:03 PM
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