製作が1970年なので、CGの軍艦などはもちろん出てきません。ミニチュアをリアルに見せる古典的手法で作られた、太平洋戦争の口火を切った真珠湾攻撃の全貌を描いた作品です。「トラ・トラ・トラ」は「我奇襲に成功せり」の日本軍の暗号です。戦史をかじった人には知っている人も多いのではないでしょうか。
制作費120億円の巨費を投じて完成をみた戦争作品です。
私の知識の範囲では歴史のドキュメントをある程度正確にシナリオにしています。
感心したのは、真珠湾攻撃は、いきなりの航空攻撃だけで始まったのではなく、日本軍の一人乗り潜水艇による真珠湾進入で始まっていることを押さえていることです。潜水艇の進入はアメリカ海軍に察知され、進入した潜水艇の内1隻を除いて全て撃沈されています。残った一隻は捕獲され、兵士は捕虜になりました。捕虜になった日本兵を除いて、戦死した日本兵は、当時の日本で軍神に祭られました。
アメリカ側の対応は、当時のアメリカの機密文書が、公開年を超えているにもかかわらず公開されていないので、実際はアメリカは真珠湾攻撃を事前に知っていたのではないかと言われていますが、真実は未だに分からず推測の域を出ていません。公開されると現在の日米関係に影響を与えるような内容があるのかもしれません。
作品は分かっている範囲の事実に登場人物の心理をうまく演出しています。見所はやはり、真珠湾の航空攻撃のシーンです。古い作品ですがダイナミックで見ごたえがあります。
「トラトラトラ!」「パール・ハーバー」こっちは2001年製作