人種に限らず人を区別するということは将来的に大惨劇を引き起こしてしまう可能性があります。人種・宗教など人間は、歴史上何度も違う人間に対し、虐殺を繰り返してきました。そして、歴史から学んだ形跡がないとしか思えない悲劇を繰り返しています。
ルワンダもそんな悲劇が起こった国です。
この国にはフツ族とツチ族という大きく二つの民族に分けられる。しかしながらこの二つの民族は同じ場所に住んで同じ言葉を話し人種間結婚もしていたのでまったく異なる種族に分けることはできないはずです。しかしルワンダを植民地としたベルギーが根拠不明瞭なまま国民1人1人をフツ族とツチ族に分類して人種が記載されたIDまで発行します。そして顔立ちがヨーロッパ系に近いという理由だけでツチ族に特権を与えて経済的にも教育的にも優遇するのです。そんなわけで子供のうちから教育で人種差別思想が徹底されて、ベルギーの気まぐれで分類された二つの人種の間には溝が絶望的なほどに深まってしまったいました。
で、この根深い差別意識が被害者100万人ものルワンダ大虐殺を引き起こしてしまうわけですが、このとき、国連は介入をせず平和維持軍を引き上げてしまう。ルワンダみたいな小国にそんな価値なしということだったんでしょうか。あの頃はボスニア戦争なんかがあって世界の目はそちらに向いてましたし。フツ族の人たちは逃げまどうツチ族を探し出してはスイカを割るように殺していったのでした。
この映画のすごいと思うところはこんな歴史的背景を何の予備知識もない僕にさりげなくそしてわかりやすく描いてくれる。彼らの差別意識も争いもすべて外国が導いたことなんですね。もともとは民族同士きれいにまとまっていた国なんです。こんな事情が決して説明的にならずストーリーを追っていけば自然と頭に入っている演出は見事。
一応ジャンルとしては社会派ドラマになると思いますが、実は一級サスペンススリラーだと思います。そこら辺のサスペンス映画なんか問題にならないほどにハラハラドキドキです。ベルギー資本の高級ホテルの支配人であるポールは自分の家族を含めて1000人を超える難民をホテルの中に匿うわけですが、いつ虐殺されても不思議ではない状況なのです。頼みの綱である国連の平和維持軍は虐殺を尻目に撤退していくし、ベルギーの本社からも見放されます。日に日に虐殺はエスカレートしてついにはホテルの中にも武装した過激派が入ってきて・・・。
製作年:2004年
監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル/ソフィー・オコネドー/ニック・ノルティ/ホアキン・フェニックス他
1994年、ルワンダで民族間の大規模な抗争が勃発。ホテル支配人のポールは家族を守るため、虐殺者たちとの交渉に奔走します。しかし大量の難民がホテルに押し寄せ、事態はますます混沌としていき・・・。
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別件ですが。リンジー・ローハン、飲酒運転で捕まってますね。あと、トム・クルーズとケイティ・ホームズどうでしょう?