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2008.06.12
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 再び彼女と顔を合わせたのは、その翌日の事だった。

柔らかな日差しが雲居から差し漏れて、学舎の豊かな緑に映え、

心地よい風がそよそよと吹いては木々の枝葉と戯れていたように思う。


軽い足取りで独逸語の教場に足を踏み入れると、例の彼女がこちらに手を振っていた。

やはり、この人は繁雑な世俗からは切り離されているらしい。

人にまとわりついては精神を消耗せしめる教場の熱気の中にあっても、

彼女の周囲には清涼な気が漂い、

俗人ながらに老荘に憧憬の念を抱く自分を惹き付けるには充分であった。


それにしても、思えばこの時の幸せはよく噛みしめておくべきものだったのかもしれない。

今はこのように親しげな振る舞いを示してくれることは珍しいのだから。

ともあれ、その日彼女の隣に席を取った事が、

恋心を確固たるものにした事は疑いようもなかった。








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Last updated  2008.06.15 17:11:45
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