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カテゴリ:本の感想 作家別-あ行
3冊目 読んだきっかけズバリ今年の大河ドラマ原作だから 昔は大河ドラマをそこそこ楽しみにして年明けまえから原作読んだりしてたのですが、 ある時原作はとても面白かったのにドラマの方は甘々のホームドラマと脚色されて 耐えられなくなってそれ以来、大河ドラマをほとんどみないできましたが、 今年はちょっと期待して第一話から観てます。 キャストがGacktはいろんな意味で別にして地味で、でもその分浮ついていず演技達者ばかりで 安心してみれます。でも人物像/関係がちっとも頭に入らないので頭を抱え、 原作が文庫1冊きりでドラマを見るのに手っ取り早いというので手にしました。 もちろん井上作品が好きというのもあります。 内容は武田陣営の人間ドラマを期待したのですが、短さもあってちょっとちがうかなと、 国取物語のような血が沸き立つような見せ場はなかったですが面白かったです ドラマと違って勘助が策を打って武田に仕官するのは50代、片足が不自由で隻眼の故か 仕官がかなわないなか、その異形や何を考えているか掴みかねる素行に尾びれがついて 様々な噂をまとう怪物然とした人物。兵法を知るための諸国行脚も実戦経験も皆無! しかし情報収集とその情報を実際の現状に対応して策をねる才能、物事を成すことに対する気迫、 人を説得する絶妙のタイミング、軍師として抜きんでる才能を武器に武田勢を 勝利に導いていきます。 異形、仕官先のなかった不遇時代などのせいか人を信頼したり心に留めるようなことの 無かった勘助が「愛する」存在を見つけていきます。 それは勘助の才を認めとりたてた春信(後の信玄)と自ら謀殺した諏訪頼重の娘で勘助の 説得によって父の敵である信玄の側室となった由布姫、 そしてそのふたりの血がひとつとなった勝頼を武田の跡継ぎにし天下へという思いへと つながっていきます。 由布姫は美しい人であると同時に実に激しい性をもっています。 「あの方のお頭を頂戴いたしかったの」 「でも、心配しなくてもよろしい。いまはただもうお会いしたいだけ」 「でも、また明日になったら、お命がほしくなります」 愛憎という意味がこんな平易な言葉で表現されているのに感動しました。 信玄への憎しみと愛情、さらに他の側室への嫉妬に苦しみながらその時 その時の自分の感情のままに行動をおこす。苦しむことから逃げずに 自分の思うままに振る舞う姫のわがままに振り回されるのを受け止め 勘助は姫のその気高さに思慕をつのらせこの親子を守ることを誓いそれを生き甲斐にして 戦に向かっていきます。 平穏な日々はなく攻めるか攻め落とされるかの戦に明け暮れ、由姫の死の悲嘆を胸に 舞台は川中島の合戦へと移り勘助の死で幕を閉じます。 午前中に読んでその夜観たドラマの第三話 脚色はされていても人物関係がすっきりしていて 理解度がアップしているのに満足 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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