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カテゴリ:本の感想 作家別-あ行
阿部看護婦長、またの名を“血まみれのマリア”は心に決めた。 温泉に行こう。雪に埋もれた山奥の一軒宿がいい…。 大都会の野戦病院=救命救急センターをあとに、彼女がめざしたのは?なんと我らが「プリズンホテル」。真冬の温泉宿につどうのは、いずれも事情ありのお客人。天才登山家、患者を安楽死 させた医師、リストラ寸前の編集者。命への慈しみに満ちた、癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。 5冊目 浅田次郎作品との初遭遇は実はマンガ! 痛快極道いえ"悪党”小説(「きんぴか」でした。 作画は誰かおぼえてませんが、あまりの小気味の良い面白さに 原作者をチェックしてマンガ連載が終わってしばらくしてから (すぐじゃないところが私)原作手にしました。 文面にマンガそのままのリズムと雰囲気が表現されていて (実際は小説が先でそれをマンガで表現してあるのですが、 perfectと叫びたいほどのコラボ) 読みほれてしまったのを覚えてます。 でも2巻目の主人公の一人ピスケンと血まみれのマリアこと 阿部婦長のせつないというか相容れない恋のありさまに それ以上読みすすめることができなくて3巻目に 手が伸びなかったことを思い出しました。 今度1~2巻読み直して3巻目も購入しよう。 さてそんな昔のことを思い出させてくれたのが ”プリズンホテル(3)冬” その阿部婦長が傷ついた心を癒しに 我らが(行った事無いですが)” 奥湯元あじさいホテル”にご宿泊!+冒頭の内容説明の訳ありの宿泊客! おなじみしょうもない小説家木戸幸之助、仲蔵おじにホテルの従業員の面々! 前2作同様 わっはっはと大笑いするなかに ほろりとするシーンを期待していたのですが、 今回はあっちもこっちもせつない話ばかり 季節が冬だからでしょうか 生きてる という重み喜びが 登場人物のそれぞれのエピソードの中に語られます。 いじめを苦に自殺を思い立った少年とその凍死しかかった少年を 拾った登山家の風呂場での言葉のザイルの引き合いや、 マリアと鎮痛治療ゆえに患者を安楽死させた平岡医師との 惹かれあって必要としあっているのに相容れない でも認めている互いの考えがもたらす溝をはさんで 向き合う姿に涙腺がゆるみっぱなしでした。 吹雪の中に閉じ込められるかのように、 人生にっちもさっちも行かなくなる時や 辛くて辛くてすべて投げ出したくなる時、 縮こまっていてもかまわない。 心臓さえ動いてればきっと暖かいものに触れられる。 何を暖かいと感じるかは、 それが本当に暖かいのか信じるかは自分で決めろ エンディングで登山家がふるうハンマーの音がそんな風に聞こえました。 でも木戸先生、清子が意識を回復したら誓ったようにもう一度 彼女にしっかり言葉をつむいでね。お父さんのように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.08.02 19:35:31
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