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カテゴリ:本の感想 作家別-あ行
「おれはピッチャーです。だから、誰にも負けません」いよいよ、巧たち新田東中は、強豪・横手二中との再試合の日を迎えようとしていた。試合を前に、両校それぞれの思いが揺れる。巧と豪を案じる海音寺、天才の門脇に対する感情をもてあます瑞垣、ひたすら巧を求める門脇。そして、巧と豪のバッテリーが選んだ道とは。いずれは…、だけどその時まで?巧、次の一球をここへ。大人気シリーズ、感動の完結巻。 19冊目 読み始めて3年越しでしょうかバッテリーやっとこの完結でした。方々でラストが「え~そこで」状態で終わると聞かされていたのでへたすれば”プレイボール”のかけ声で”完”とかなるんじゃないかと多少の覚悟をして読んでいたので試合に突入してほっとしていた自分に苦笑いしました。 わたしとしては納得のいく結末でした。(でも多分ラストイニング読みそう) 横手の面々も楽しいのですが自分が目をむけていたのはいつも原田巧という天才投手を抱え、豪のように真っ向から向き合ったり、茫洋と自然体で受け入れる同級生やいらだったり理解しようと考えあぐねる上級生達の姿が中心だったので、買った負けたといった観点にならなかったのが妙に納得できました。 勝ち負けにこだわりぎりぎりのその一瞬にむけて真摯に向き合う、真摯だからこそ苦しくても投げ出さず悩んで傷ついて這いずりまわって勝負にむかっていく、辛い一方、勝ち負けに対するだけではない高揚感があふれていくのが大半だと思うのですが、巧はそういったことがあたりまえというかすっとばしていてつまるところ原田巧は原田巧でしかない、こんな存在にまさしく捕われたと認め逃げ出さない豪の強さやぼけをかまして軽口をたたくチームメート達の姿にいつも「ちっくしょう。こどもだとあなどってちゃいけないんだ!」と毎巻心の中でつぶやきながら読んでいたのを思い出しました。 個性的な登場人物がひしめくなか、人、みんなそれぞれに生き方や考え方、捉え方があってあたりまえなんだとしみじみ思えます。 6巻を通してわずかな描写ですが私はなぜかしらこの作品に登場する大人達も好きです。巧の父母や祖父、オトムライや1巻でプレーした草野球の選手(うろ覚え) しょせん子供がと思う中、物事に直面した時 変に良い子ぶるのではなく 自分の(年齢、立場をふまえて)自分の持ちうる度量で巧という存在に接する姿に潔さを感じてました。 一番好きな存在は豪ですが 瑞垣をはじめ強者ぞろいの登場人物ひしめく中、最強の存在は巧の弟の青波だといつも思います。 喘息を患いすぐに熱をだして寝込んでしまう。自分の感情を考えを言葉にすらできない兄に対し顔色をうかがうのではなく理解というかまっすぐにそれを受け止めその手を握る、花の香りや季節の肌でうけとめて嬉しそうにそれを言葉に紡げる、巧をして「なかなかにしぶとい」といわしめ場面ににんまりしました。 読んでいるといつも深く深呼吸している気分になる作品です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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