|
カテゴリ:本の感想 作家別-あ行
おまえさんの負けだよ。ここじゃ、守らなきゃならないものを持っちまったやつは生き残れないのさ。そういうおまえも、無事に春を越せるのか……。 「西ブロック」でイヌカシに仕事を紹介された紫苑。「NO.6」の研究員に連れ去られた沙布。紫苑の母・火藍からの緊急メッセージを受け取ったネズミはその事実を紫苑に隠す。ネズミの心の葛藤……。彼らは成功率がほとんどない仲間の救出に向かうのか?それとも……。疾走する近未来サバイバル小説 待望の第3弾! 51冊目 読む本の冊数をかせぐのにぴったりの作家あさのあつこ氏の作品 といっても 私が読んでいるのは バッテリー、The Manzai, とNo. 6だけ(!シリーズばかりだわ) 読みやすい (児童文学だからあたりまえかな) おもしろいから即読み終える こまぎれに読んでも苦にならない⇒途中でやめれる 泣かせる!!! ?? バッテリー や The Manzai 泣いたかな? No. 6 第3巻 #1と#2の感想 スラム街での生活も板(?)についてきた紫苑 昔ホテルだったという廃墟同然の建物を 家を持たない者達に貸し出している イヌカシの所で 犬を洗うバイト(とりま~?)をしているところから始まります。 何頭も犬を飼っているイヌカシは 冬場 その犬達を毛布代わりに貸し出し 借りた者たちは犬と寄り添って犬の体温を頼りに冬の夜をしのぐのです。 犬のことや、貸し出すお客のことを考えながらゆっくり丁寧にいたわりながら犬達を洗う 紫苑にイヌカシの叱責が跳びます。「適当にとっとと洗え」と それに正論をかざして反論する紫苑 曰く 犬を借りてくれるお客のことを大切にしなきゃならない 曰く 犬を洗った水を上流に流しては人の迷惑になる 曰く 現時点で理想郷とも思われる聖都市No. 6の住民も生き馬の目をぬく 西ブロック(スラム)の住民も同じ人間 だからなんでも大切に他人を困らせることをしてはいけないと いちいちごもっともながら今の紫苑をとりまく環境は そんなことほざいてたら2日と生きてられない という劣悪な環境 読んでいる側もさすがに紫苑の言葉が鼻についてきます。 でも紫苑が心底から話しているのもわかり それに思い至ったイヌカシは らしくないと思いながら紫苑を諌めます。 「ここでそんな甘っちょろいこと言ってたら死ぬぞ」と 対する紫苑は「ネズミにもよく言われる」とどこ吹く風 でも前の巻から日が経ってて 紫苑がどんな目にあってきたか 忘れかけている 私にはどうも紫苑の言葉が空回りをつづけてしまうのですが そこが作者の狙い目 もう一人の主人公ネズミの名前がでてきたことにより 理想都市No.6で育った紫苑ではなく 西ブロックで生き抜いている 本来は金と命にかかわる持ちつ持たれつのかかわりしかなさそうな ネズミとイヌカシとの ”本能的に生きる”とは無関係の 交流のエピソードにうつっていき不覚にも涙腺が、、、 おもわずそうきたか~ と作者にむかって思ってました。 無頼漢が 天然タイプに ほだされるというのは よくあるパターンなんですが 無頼漢 VS 天然タイプ から少し道をはずして 文字通り食うか食われるかといった生活を送っている無頼漢同士の対峙 エピソードに 持ってこられると 真実味が増してきます。 その天然タイプの紫苑 彼は 甘ちゃんな行動をして痛い目にあっても(実際すでにひどい目にあってますが) 頬を腫らし、口の中切ってようが 自分の行動、考えををねじまげない少年です。 それは人としての優しさ、強さではありますが 作中に描かれている世界では 本当にそれは致命的な甘さなのです。 (まあネズミが絶体絶命の時は護ってくれるでしょうが) が同時に こういった人が 増えていけば また私たちの心にもこの”頑な優しさ”を 強くもっていけば少しづつでも住み良い世界というのが広がっていくというのが 作者のいいたいことかなとも 感じました。 肝心のNo. 6の物語は全然すすんでいないんですが 描いていることが細かなことばかりで(内容はとても大事なことです) SF的な世界観はスケール大きそうにしていながら 筋の方がなにかしら失速しそうな予感もしてるんですが 次巻の文庫化を待ちます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本の感想 作家別-あ行] カテゴリの最新記事
|
|