|
カテゴリ:本の感想 作家別-は行
きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。 調子がわるくなって絶対入院だと外来にむかった先週の金曜日 予想通りでしたが、実のところ診察は待たされて待たされて 9時前に病院に行ったのにドクターにお目見えしたのは 午後1時近く、 幸いにも最初の時と違って 痛みは断続的にあるものの ひどくなかったので 待ち時間で読んでしまったのが この「ぬしさまへ」 前作「しゃばけ」が 私的に物足りないって感想だったので あまり期待してなかったのですが おっおもしろかったです 「一週間で病屋に舞い戻るアホ~な患者なんか知らん」 と捨て置かれてるんじゃないかと 心配しいしい待合室で待ってた やさぐれた気分をなごましてくれました。 さて 本題「ぬしさまへ」感想 なんと言えばいいのでしょう。前作で不満に思ったところが きれいさっぱり抜け落ちたというか 非常に良い塩梅に肉付けされて 登場人物たちの描写、心情が 映像をみるかのように 生き生きと伝わってきます。 短編の各話の事件の真相にも さもありなんといったやるせなさや、 闇に落ちる落ちないの違い、瀬戸際は何なのだろうと 考えが及んだり、 甘甘の砂糖菓子よろしく甘く綿菓子でくるまれるように 大事にされている若旦那の病弱ゆえのジレンマが しみじみと伝わり それが事件の謎解きへの 情熱になっているのが納得がいきます。 二人の兄や(=手代)こと妖の白托と犬神の 「若旦那が第一」ぷりの人とは一本ずれている 行動もまさしく腑に落ちてしまうおかしさです。 表題作「ぬしさまへ」でぶっちょう面で 若旦那の気晴らしになるならと 自分への恋文の分厚い束を なんの感慨もなく手渡す仁吉には吹きました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本の感想 作家別-は行] カテゴリの最新記事
|
|