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カテゴリ:本の感想 作家別-あ行
小川洋子さんの連作短編集『偶然の祝福』を
読みました。 小川作品は二冊目ですが 一冊目は心と響き合う読書案内 という 書評と言うか おすすめ本の紹介でしたので 小説は実質はじめてということになります。 本作は各編 女性小説家を主人公とした物語ですが その小説家を同一人物ととらえていいのか (実際共通項はしっかりあるのですが) それとも各編 まったく違う人物として 考えた方が良いような そんな迷いも むしろ心地よいものとなるような魅力的な物語でした。 偶然にも川上弘美さんが解説を書いてたのですが 川上ワールドが 気がつくと異世界に引きずり込まれてしまい そして それを恐ろしく感じないままに そちらの世界にいってしまうのに対し 小川洋子の世界は あくまでも現実世界を離れず それでいて酩酊するようなファンタジーの世界を ただよい いつのまにか骨肉をもった現実の 世界にふたたびもどってくる うしなったものに対する哀しさと慈しみを かかえて、、、 小説家が主人公ということが 奏でられる物語の数々が作家自身の創作内容なのか はたまた 彼女が垣間みた白昼夢を自身の作品へと 昇華させていったのか どちらともつかないところに これまたここちよい境目のない世界を堪能できました。
【内容情報】(「BOOK」データベースより) お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。 【著者情報】(「BOOK」データベースより) 小川洋子(オガワヨウコ) 1962年、岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒。88年、海燕新人文学賞を受賞。90年、『妊娠カレンダー』により芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.11.07 23:42:46
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