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カテゴリ:読書
『犯罪被害者の声が聞こえますか』 著者は、数々のNHK報道番組を手がけている『東大作』氏である。 彼は、NHKスペシャルやクローズアップ現代等の 企画・制作に携わるディレクターである。 私たちは、事件が起こった時、 その犯罪者が、何故そのような事件を起こしたのか 犯罪者の性格は? 生い立ちは・・ などど、ついそちらに関心がいってしまう。 犯罪被害者が、事件の後、 どのような過酷な生活を強いられているか・・・ あまり知らない・・・ 私もそうであった(-_-;) 先日、1999年10月に起こった 『桶川ストーカー殺人事件』に関する書物を何冊か読んだ。 (こちらについては、衝撃が大きかったので、後日ゆっくり書きたいと思う。) この事件は、警察の不祥事が大きな社会問題となったが、 また、遺族である猪野さん一家も、 数々の報道被害に、大変な苦しみを味わっていた。 この時、犯罪被害者の本を読んでみようと思った。 この本を読んで、まず驚いたのが 犯罪被害者に対する国の対応である。 私は、事件に巻き込まれた人の治療費などは、 当然、国が補償しているものと思っていた(勉強不足であった(-_-メ))。 しかし・・・で ある。 1999年9月に起こった『池袋通り魔殺人事件』。 この時、事件に巻き込まれ、 29歳の若さで亡くなられた女性がいる。 彼女は、救急車で病院に運ばれ、帰らぬ人となった。 突然の出来事に悲しむ両親の元に、 さらに追い討ちがかかる その時の、救急救命費として、 174万円もの請求がされたのである これが、日本の現実だ 加害者には、国の税金で国選弁護人がつき、 刑務所、医療費等などで、年間466億円(2002年度)もの国費が使われる。 一方、被害者には、一部の被害者・遺族にだけ、 国の見舞金のようなものが出る。 11億円ちょっと(2002年度)である。 加害者の数より、犯罪被害者・遺族の方が圧倒的に多いのに、 たったこれだけである・・・ これに立ち上がったのが、 弁護士でありながら、愛する奥さんを殺され、 自ら犯罪被害者となった『岡村勲』氏である。 2000年1月、『犯罪被害者の会(現:全国犯罪被害者の会)』発足。 それからの数年は、忍耐と努力の地道な運動の積み重ねであった 2004年、小泉内閣は「犯罪被害者等基本法」を成立させた。 ようやく日本も、重い腰をあげた。 まだまだ始まったばかりである・・ 私たちはいつ、犯罪に巻き込まれるかわからない。 2004年の犯罪件数は、305万5018件。 「毎年これだけの犯罪があるということは、 一生の間に、犯罪被害者にならずに過ごすことの方が困難である。」 と筆者は締めくくっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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