soul-eye

毛利邸
人が住んでいるじゃないか。これは土産持っていかないと入れないぞ。
「とりあえず写真撮って次行くぞ」

俺とよっちゃんを乗せたＭＸ６は、でかい図体だが４ＷＳで狭い一方通行もへいっちゃらだ。サンルーフも開けて

着いた先が、

住吉公園
「本当にここか」
との俺の問いによっちゃんが、
「ここに案内板が・・・あっ、ごめん」と謝る。
「何が？」
「何も書いてないや」
見ると、なぜか案内板が真っ白になっている。謝ったよっちゃんも面白いが。
「う～ん、確かにここが住吉公園なら、この石碑のどっちかに十太夫さんが書いているはずだが読めないなあ」
一応高台に登って湾をみると、戦場になった場合の事が想像できたなあ。
しかし川の綺羅が良い。多分雨の日でも良いだろうな。
ここでは肩に鴉を連れた十太夫ではなく、シャム猫を肩に乗せた人を見た。彼もゆったりと川を眺めていた。それはそれで不思議な風景だった。

「次はどこだよっちゃん！」
「ハリストス教会だ！」
先の松崎さんの話によると、函館戦争に行った仙台藩士たちがずたずたになって帰ってくる時に「殿様も日本の神様だって仏様だってあったものじゃない」と、ロシアの何とかというロシア艦隊に従軍していた宣教師に洗礼を受けたらしい。

隣は石ノ森漫画館のようだ。
その前に八幡神社を見つけたので寄ってみた。ものすごいでかい石碑が高い塀越しでも見えたからだ。
「よっちゃん、これ何て読むんだ」
「竜神だろ」
「おお、そうか」
俺は暑くなってきた。一枚脱いでTシャツだけになって歩いた。
石ノ森漫画館に集まっている人を尻目に、隣の公園に入る。

ハリストス教会
「閉まっているじゃないか」
俺の声には怒気が含まれていたらしい。
「い、いつも閉まっているんじゃないかな」とよっちゃん。
「受付机が中にあるぞ」
「う～ん」
困るな、よっちゃん。
俺達は裏に回った。俺は泥棒ではないのだがよく神社仏閣や記念館の裏側を覗き、入り口があると入る。
「松崎さんの話を聞いていなかったら本当に怒っただろう」
入り口を発見できなかったので窓から中を覗いていた俺によっちゃんは笑って話しかけた。
「多分な」

車に戻る最中、


岡田座
「なんだこりゃ」と俺。
「映画もやっているな」
ここにはきちんと「案内板」があった。
観光客がその前に溜まっていた。住吉公園には溜まっていない。
ここで柄の悪い車が柄の悪いエンジン音を吹かせて通っていったので、「石巻の恥だ」と怒ったら、「いつの間に石巻市民になったんだ」とよっちゃんに笑われた。

もう少し続く